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Business 公開日: 2022.11.17

シリーズ:どうしてうちの会社のDXは進まないのですか? | 第5回:なぜうちの企業のDXは進まないのか? ~データ・システム環境編~

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 本シリーズでは、社会全体のDXブームの流れの中で、二極化する日本のDXの状況をご説明するとともに、DXに苦戦する企業の課題にフォーカスし、「どうしてうちの会社のDXは進まないのですか?」と題して、DXのボトルネックについて紹介していきます。
 今回は、多くの企業が課題として認識するデータ活用の分野にフォーカスして解説いたします。

【画像】shutterstock

目次

データ活用に十分に取り組む企業はいまだ3割

 データを経営に活かせているか?という問いに対して、自信を持って「はい」と言い切れる企業は少ないのではないでしょうか?

 大半の日本企業はデータ活用から十分な成果を得られていない状況が、ガートナージャパンが2021年6月10日に行った「日本におけるデータ利活用の実情」に関する調査結果でも明らかになっています。同調査の結果、回答した企業の60%超はデータ利活用に対して課題意識を持ち、このうちの20%超は、組織全体の課題 (経営課題) として認識していることがわかります。
参考:ガートナージャパン株式会社「日本におけるデータ利活用の実情」
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20210610

経営レベルでデータ活用に取り組む企業はまだ少ない

 企業が全社規模でデータ活用に取り組めていない一因は、体制にあります。当団体CDO Club Japanが2021年に実施した「最高データ責任者とデータ活用の実態調査」によると、最高データ責任者について、「専任」がいる企業が 16%、他の役職と「兼任」している企業が 26%である一方で、「決まっていない」企業は 58%という結果となりました。

 つまり、過半数の企業において、誰がデータの最高責任者なのか決まっていないという状況であり、データを経営資源として認識し、経営レベルで取り組んでいる企業が少ないことも課題として浮かび上がってきます。

データ活用できない理由は「環境面」が上位

【画像】shutterstock
 上記のような状況に加えて、データを活用するための環境が未整備なまま放置されていることも日本の企業においてデータ活用が進まない原因になっています。前述のガートナージャパンの調査結果において、データ利活用に貢献した要素として「活用できるデータの種類・量・品質」が59%を占めていることからも、データの集め方や活用するための環境の整備が重要であることが推察されます。

 一方で、日本情報システム・ユーザー協会が2020年に実施した調査によると、「レガシーシステムの存在が、デジタル化の進展への対応の足かせになっていると感じる」と答えた対象者が全体の約77%に上っています。また、その他のデジタル化進展の足かせとしては、「レガシーシステムとのデータ連携が困難」「影響が多岐にわたるため、試験に時間を要する」といった要因をそれぞれ60%近くが挙げており、日本企業ではデータを安全に素早く活用できる環境が整備されていない実態が浮き彫りになっています。
参考:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会 株式会社野村総合研究所「デジタル化の取り組みに関する調査-デジタルビジネスに関する共同調査-<デジタル化はどのように進展しているのか?>」
https://juas.or.jp/cms/media/2020/05/Digital20_ppt.pdf

既存データを使うだけでは「データ活用」には届かない

 また、現在社内で保有しているデータを使うだけでは、データに価値を与え、「データ活用」しているとは言えません。会社が保有している過去の実績データから分析できることは、過去から予測される傾向値だけです。実際のビジネス現場では日々変化する周辺環境の情報が重要であり、その情報と会社が保有するデータとの相関関係や因果関係も含めて分析した上で活用することが重要になってきています。

 実際に営業の局面を例にしても、過去の販売実績データだけでは営業活動に効果的な情報にはなりません。ターゲット企業の経営状況などの外部から入手できる情報と、ターゲットと自社の営業との接点や過去のやり取りの経緯などの情報を集めて複合的に分析することで、商談の成功確率を上げていくことが可能になります。

 このような営業活動でのデータ活用も、優秀な営業パーソンなら当たり前に実施しているかもしれませんが、企業としては、練度の低い従業員も含めて、全社的に優秀な営業パーソンと同程度の成績を上げられるようにする必要があります。その目標達成に向けて、まずは、「データ活用」を当たり前にしていくための「データを集める仕組みを整備する」ことが第一歩になります。

 また、データ分析の結果を基に判断する「データドリブン企業」になるためには、営業活動だけではなく、製造や保守などの企業活動の全てのプロセスで仕組みの整備が必要です。実際に全社規模でデータ活用に取り組む企業では、戦略的にデータを活用するための環境整備に取り組んでいます。

手動ではなく「自動連携」できる環境づくりがカギ

 上記のようにデータを複合的に分析し、活用するためには、データの品質と信頼性を維持しながら、企業内外にあるデータを素早く連携していくことが重要です。

 現在の日本の企業では、複数のデータを掛け合わせて分析するために、従業員がデータの集計やチェックに追われることが多いようです。個々のデータを別々のシステムから抜き出し、個別に従業員が表計算ソフトで集計するような方法では、「データの信頼性」を保つことは難しくなる上、スピードも落ちてしまいます。また、集計に関わる人的コストが膨大になるため、経営的にも負担が大きい状態にあるといえます。

 そのような状態を改善するためには、手動ではなく自動でデータを連携できる技術の導入やシステムのクラウド化によって環境を整え、データの連動性を高めることが重要です。そして、「データを加工する」業務を自動で行えるようにし、「内容を分析し行動を検討する」業務に時間をかけられるようにシフトすることで、「業務の価値をトランスフォーム」することにつながるのではないかと考えます。

 これまでシリーズでDXのボトルネックとなる要素についてご紹介してきました。DXの活動は多岐にわたるため、これまでご紹介した事項以外にもボトルネックは存在しますが、少しでも本記事を読んだ方のDXの活動の一助となれば幸いです。
【筆者プロフィール】
一般社団法人CDO Club Japan 理事 事務総長 水上晃 氏
大手コンサルティング会社でデジタルチーム(先端技術)責任者として活動してきた経験を活かし、次世代テクノロジーを活用した活動を実施。
主な活動は、次世代テクノロジーを活用した新規事業の企画、デジタル技術を活用した業務プロセスの改善、データ分析技術を活用した企画など。主な技術分野はIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボティクス、ブロックチェーン、ドローンなど。

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