Business
公開日: 2022.10.25
大丸松坂屋の「服を売らないサブスク」が示す、小売業界の危機感と希望
大丸松坂屋百貨店は、パルコやギンザ シックスなどを擁するJ.フロント リテイリンググループの中核企業だ。大規模小売業として名を馳せてきた同社が今、服を売らないファッションサブスクリプション(以下、サブスク)サービス『AnotherADdress(アナザーアドレス)」を展開している。

AnotherADdress事業責任者 田端竜也氏
AnotherADdressは月額1万1880円で1ヶ月に3着までレンタルができるサービスで、『Maison Margiela(メゾン マルジェラ)』や『MARNI(マルニ)』など名だたるブランドを揃え、公開ブランド数は118(2022年9月現在)、会員数は1万人に到達した。
ECでの失敗を二度と繰り返さない
普通に考えれば、服のサブスクサービスを展開すれば服は売れなくなってしまうのではないか。田端氏に疑問をぶつけると、意外な答えが返ってきた。
田端氏「グループ全体としても『小売』の範疇だけにこだわることは全くなく、『新しい消費スタイルを作ろう』と前向きです。なぜかといえば、きっかけとしてはECでの失敗が大きな要因です。
服とは、実物を実際に見て触らないと買えないもの。そんな固定観念が私たちに根強かった。その結果、EC化に乗り遅れ、すでに追いつくことができない状態になってしまいました。
この状態から脱すべく、次のメガトレンドと捉えたのがサブスクでした。NetflixやSpotifyなどの情報のサブスクに比べると、経年劣化が起こる分だけモノのサブスクは難しい。しかし、ECでの失敗を繰り返さないためにも挑戦すべきだと社内ベンチャーの形で始まりました」
田端氏「グループ全体としても『小売』の範疇だけにこだわることは全くなく、『新しい消費スタイルを作ろう』と前向きです。なぜかといえば、きっかけとしてはECでの失敗が大きな要因です。
服とは、実物を実際に見て触らないと買えないもの。そんな固定観念が私たちに根強かった。その結果、EC化に乗り遅れ、すでに追いつくことができない状態になってしまいました。
この状態から脱すべく、次のメガトレンドと捉えたのがサブスクでした。NetflixやSpotifyなどの情報のサブスクに比べると、経年劣化が起こる分だけモノのサブスクは難しい。しかし、ECでの失敗を繰り返さないためにも挑戦すべきだと社内ベンチャーの形で始まりました」
ファッション業界の2大課題
しかし、単にトレンドだからといった理由でだけではなく、新サービスのコンセプトとして「サブスク」にこだわったのは、サステナビリティ(持続可能性)への思いが込められているのだという。
田端氏「私たち大規模小売業界は、モノの大量生産、大量消費の循環の中で成長してきました。しかし、その循環はもう、限界に来ていると感じています。
お客さまに話を聞いてみると『洋服を買って家に帰ってみたら、パートナーさんやお子さんから、似合っていない、可愛くないと言われてしまって、10万円も払ったのに1回か2回しか着ていない』なんてことをよく耳にします。
そんな服が大量にクローゼットで眠っている。ですがAnotherADdressのサブスクモデルなら、合理的に服を循環させることができ、より多くの服を体験したり試したりする機会を増やせます。服をみんなでシェアするイメージですね。
お洋服たちにとっても、着られる機会が最大化されるので、きっとハッピーでしょう。お客さまのお財布とクローゼットの中身を合理化できるし、今のファッション消費に潜む無駄を排除することで、もっと気軽にファッションを楽しんでいただけるはずです。
だからこそ、私たちはビジネスモデルそのものを、サステナブルなモデルに入れ替えるチャレンジをしなければならないと考えました」
さらにもう1つ、特にこだわったのが「ファッションの楽しさをもう一度、多く人に知ってもらうこと」だったという。
田端氏「ファッションは本来、生活を彩るものです。身にまとうアイテム次第で、気分が上がったり自信がついたりすると思います。
ところが今は、ファッションが『一部のファッション好き』だけのものになってしまっている。あるいは、服が人生を彩るモノではなく、単に機能として着るだけのモノになってしまっている。
AnotherADdressを使えば、いろいろなデザインの服を着て、いろいろな場所に行き、いろいろな人に会える。さまざまな場所に出ていくために着る服の選択肢を増やせます。デートや商談、お子さんの授業参観にも使えますから。
服が持つ力、本来の楽しさと豊かさをもう一度、多くの方に知ってもらいたい。これも、私たちの大きなテーマです」
田端氏「私たち大規模小売業界は、モノの大量生産、大量消費の循環の中で成長してきました。しかし、その循環はもう、限界に来ていると感じています。
お客さまに話を聞いてみると『洋服を買って家に帰ってみたら、パートナーさんやお子さんから、似合っていない、可愛くないと言われてしまって、10万円も払ったのに1回か2回しか着ていない』なんてことをよく耳にします。
そんな服が大量にクローゼットで眠っている。ですがAnotherADdressのサブスクモデルなら、合理的に服を循環させることができ、より多くの服を体験したり試したりする機会を増やせます。服をみんなでシェアするイメージですね。
お洋服たちにとっても、着られる機会が最大化されるので、きっとハッピーでしょう。お客さまのお財布とクローゼットの中身を合理化できるし、今のファッション消費に潜む無駄を排除することで、もっと気軽にファッションを楽しんでいただけるはずです。
だからこそ、私たちはビジネスモデルそのものを、サステナブルなモデルに入れ替えるチャレンジをしなければならないと考えました」
さらにもう1つ、特にこだわったのが「ファッションの楽しさをもう一度、多く人に知ってもらうこと」だったという。
田端氏「ファッションは本来、生活を彩るものです。身にまとうアイテム次第で、気分が上がったり自信がついたりすると思います。
ところが今は、ファッションが『一部のファッション好き』だけのものになってしまっている。あるいは、服が人生を彩るモノではなく、単に機能として着るだけのモノになってしまっている。
AnotherADdressを使えば、いろいろなデザインの服を着て、いろいろな場所に行き、いろいろな人に会える。さまざまな場所に出ていくために着る服の選択肢を増やせます。デートや商談、お子さんの授業参観にも使えますから。
服が持つ力、本来の楽しさと豊かさをもう一度、多くの方に知ってもらいたい。これも、私たちの大きなテーマです」
月額1万1880円。絶妙なプライシングの理由
実際に使っているメインのユーザー層は、40代の都市圏で働く女性(男性向けの展開は現在ない)だそうだ。
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