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Business 公開日: 2022.09.22

シリーズ:どうしてうちの会社のDXは進まないのですか? | 第2回:DXが上手くいかない企業の特徴 〜DXブレーキとなる企業の症例と特徴とは?〜

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 前回の記事では、ブーム化するDXについて社会的な背景や企業が取り組む動機付けの理由をご紹介するとともに、その反面で二極化する日本におけるDXの状況をご説明しました。
 今回は、DX推進に苦戦する企業の課題にフォーカスし、「DXが上手くいかない企業の特徴とは?」と題して、DX推進のボトルネックについて紹介していきます。

【画像】shutterstock

目次

DXに足踏みする企業とは? 〜未成熟な日本企業のDX〜

 前回の記事でも紹介したように、令和3年の総務省の情報通信白書によると日本の約6割の企業がDXを「実施していない、今後も予定なし」という状況になっています。規模別に見ると、大企業では約4割、中小企業では約7割がDXを実施しておらず、企業規模によって意識の差が開いていることがわかります。

 さらに業種別に見ても、顧客にDXを提案・提供していくべき役割の情報通信業でさえ、DXに着手している企業は45%にとどまっています。また、今後の人口減少社会で、最も人的資源を活用して効率性を上げていくべき業界であるサービス業では、実に16%にとどまっている状況です。
参考:総務省「令和3年版情報通信白書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/01honpen.pdf

DXに積極的になれない日本企業 〜中堅社員の足踏みと迫る離脱の危機〜

 DXへの取り組みの遅れや意識の格差は、業種や規模の違いにとどまりません。DX推進に参加するべき従業員の意識や意欲にも、格差が見られつつあります。2021年8月にInstitution for a Global Society 株式会社によって行われた「DX業務に関する意識調査」によると、「大企業人材の44%は、DX業務にネガティブ・無関心」という結果が出ています。

 さらに、その調査において20代でDX推進活動に「絶対に関わりたくない」「できれば関わりたくない」と答えた人は20%おり、30代では28%、40代では最多の38%いたという結果から、日本の企業では組織の中堅以上の層がDX推進のボトルネックとなっていると言えそうです。

 組織の中堅以上の層は社内で多くの責任や役割をもっているため、過重労働となっている場合も多いのが実情ではないでしょうか。DXに関与したくてもできない中堅社員の姿は想像に難くありません。そのような理由や背景に目をむけて改革をしない限り、DXが前に進まない状況からは脱却できないと思われます。

 一方、昨今はベテラン社員やエース社員が離職することで、人材不足が深刻化し、優秀な人材を確保することも重要な経営課題になっています。マイナビが毎年実施している「転職動向調査2022年版」によると、2022年では正社員の転職率7.0%と、過去6年で最高の数値となっています。

 このままDXを推進せずに組織の主要なプロセスを属人化させたままだと、ゆくゆくは社員の離職とともに事業が継続できなくなる危険があることを、組織の責任者は肝に銘じる必要がありそうです。
参考:PR TIMES「大企業人材の44%は、DX業務にネガティブ・無関心。DX人材育成の壁は、仕事の「境界線の維持」組織に潜む「DXバイアス」の問題があらわに」、2021年9月9日、
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000054457.html
参考:株式会社マイナビ「転職動向調査 2022年度版(2021年実績)」
https://career-research.mynavi.jp/post/reserch_cat/trend-survey/

DXに足踏みしている企業の特徴とタイプ

【画像】shutterstock
 多くの企業がDXに取り組みたい動機はありつつも、上手くいかないケースが散見されます。筆者が運営するCDO Club Japanには多くの企業からDX推進に対する問い合わせが寄せられており、それらの企業が抱えている課題がわかってきました。

 その中でも代表的な事例を以下にご紹介します。

〈DXに足踏みする企業が陥っている主な症状例〉
・経営者の理解不足と丸投げ
 経営者がDXに対して深い理解がなく、丸投げ状態になってしまっている

・笛吹けども踊らず
 経営者および推進部門は積極的にDXへの取り組みを実施しているが、現場が全く動かない

・混乱と調整で疲弊
 部署や事業部によって異なる理解度と問題意識で動いており、全社的な連携と変革になっていない

・資源不足による息切れ
 DXを進めるために必要な資源や予算が提供されていないため、結果として施策につながらず成果も上がっていない

DXにブレーキがかかる主な要素とは?

 前述した事例のようなDX推進に課題を抱えている企業に対して、CDO Club Japanではアセスメントなどの支援を実施しています。その活動の中で、DX推進にブレーキがかかってしまう企業には、共通の原因があることがわかってきました。

 以下に代表的な原因となる事項を挙げます。

〈DXにブレーキをかける主な原因〉
・組織的な構造や企業風土
・DXに対応できる人材不足
・老朽化したシステムなどの環境


 上に挙げた原因とは、具体的にどういったものなのでしょうか?次回はそれぞれについて詳しくご紹介していきます。
【筆者プロフィール】
一般社団法人CDO Club Japan 理事 事務総長 水上晃 氏
大手コンサルティング会社でデジタルチーム(先端技術)責任者として活動してきた経験を活かし、次世代テクノロジーを活用した活動を実施。
主な活動は、次世代テクノロジーを活用した新規事業の企画、デジタル技術を活用した業務プロセスの改善、データ分析技術を活用した企画など。主な技術分野はIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボティクス、ブロックチェーン、ドローンなど。

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