Business
公開日: 2018.09.21
初任給40万円のファーウェイ、手厚くも厳しい人事戦略
通信機器メーカーからスマホメーカーへ。世界で躍進するファーウェイの人事戦略とは?

世界第3位のスマートフォンメーカーで、日本でも知名度を上げているファーウェイ。以前、同社日本法人が初任給40万円以上で学生を募集し、大きな話題を集めていた。世界的に見ても、デジタルテクノロジー分野では人材の取り合いが続いている。ファーウェイにはハーバード大学など欧米トップクラスの学校を卒業した学生も続々と入社してくるという。同社の人材戦略はどのようなものか?
B2Bで力をつけ、B2Cで認知度を高めたファーウェイ
人事戦略の話を始める前に、まずは同社についての理解を深めよう。

キャンパス内で唯一の高層ビルはR&Dセンター
スマートフォン「Huawei P10」などで知られるファーウェイは、元々は4Gや5Gといった通信キャリアのネットワーク構築に使われる通信機器で成長してきた会社だ。1987年の創業以来、高額で製品ライフサイクルが長いこの分野でどんどん勢力図を塗り替え、今では王者エリクソンと並ぶ大手にまで成長した。その後、コンシューマービジネス事業を立ち上げ、キャリアなどのロゴを付けたOEM製品を展開。2011年から自社ブランドを用いたスマートフォンやWi-Fiルーターなどの製品を本格的に手がけるようになった。スマートフォンメーカーとしては、世界市場でサムスンとアップルに次いで第3位。日本のSIMフリー市場では堂々のナンバー1の位置にある。
現在は第3の成長の柱として、サーバーやストレージなどのエンタープライズ事業にも注力。サーバーでは出荷台数ベースで第3位にまで上り詰めた。2014年にはインターブランドの評価「Best Global Brands」トップ100に中国企業として初めて選出され、その後もランクインを続けている。
ファーウェイの売上高は920億ドル、日本円で10兆円を超えており、パナソニックやソニーなどを上回る売上規模を誇っている。中国という巨大市場に支えられている面がないわけではないが、売り上げの半分は中国以外から。ファーウェイの勢いは認めざるを得ない。
現在は第3の成長の柱として、サーバーやストレージなどのエンタープライズ事業にも注力。サーバーでは出荷台数ベースで第3位にまで上り詰めた。2014年にはインターブランドの評価「Best Global Brands」トップ100に中国企業として初めて選出され、その後もランクインを続けている。
ファーウェイの売上高は920億ドル、日本円で10兆円を超えており、パナソニックやソニーなどを上回る売上規模を誇っている。中国という巨大市場に支えられている面がないわけではないが、売り上げの半分は中国以外から。ファーウェイの勢いは認めざるを得ない。
従業員1人当たりの売上高はフェイスブック並み

キャフェテリア式の社食のほかに、タイ料理や日本料理のレストラン、コーヒーショップもある
同社の売上高は、この5年で2.6倍に増えた。従業員の数は5年前の150万人から180万人と1.2倍増にとどめつつ、従業員1人当たりの売上高は23万ドルから51万ドルへと倍以上に拡大させた。1人当たりの売上高はアップルより高く、フェイスブックをわずかに下回るレベル。スマートフォンや無線通信は成長産業とはいえ、人事戦略がうまくいっていることがうかがえる。
ファーウェイは、どのような人事戦略を構築しているのだろうか。2018年2月、上級経営コンサルタントとしてファーウェイの経営に関わっている黄衛偉氏の講演を聞く機会があった。ファーウェイに関する著書が複数ある黄氏は、中国人民大学商学院教授も務めている。
黄氏の話から、ファーウェイの人事戦略は創業者の任正非(レン・ツェンフェイ)氏の考えが多く影響していることがうかがえた。任氏は、「ファーウェイには依存できる天然資源がなく、社員の頭脳があるだけ。これこそがファーウェイにとっての資源だ」と述べているという。「資源はいつか枯渇するが、文化は永遠である」として、成長する文化、つまり社風を作ることを重視してきた。
だからと言って、人材採用の点で特別な戦略があるわけでもなさそうだ。黄氏が挙げる「人事の考え方、7つのポイント」を引いてみよう。
1、知的な労働力と起業家精神
2、人的資源の成長は財務資源に勝る
3、世界中から能力ある人を
4、献身をインスパイアする
5、個人の違いを尊重し、集合的な献身のバランスをとる
6、強みを評価して人を起用し、あらゆる種類の能力を歓迎する
7、能力ある人は自分の人生を意味あるものにしたいと考えている
どれも当たり前のように見えるが、人を戦略の柱として大切にしていること、目標を達成することに価値を感じる人を起用しようという気風が感じられる。
ファーウェイは、どのような人事戦略を構築しているのだろうか。2018年2月、上級経営コンサルタントとしてファーウェイの経営に関わっている黄衛偉氏の講演を聞く機会があった。ファーウェイに関する著書が複数ある黄氏は、中国人民大学商学院教授も務めている。
黄氏の話から、ファーウェイの人事戦略は創業者の任正非(レン・ツェンフェイ)氏の考えが多く影響していることがうかがえた。任氏は、「ファーウェイには依存できる天然資源がなく、社員の頭脳があるだけ。これこそがファーウェイにとっての資源だ」と述べているという。「資源はいつか枯渇するが、文化は永遠である」として、成長する文化、つまり社風を作ることを重視してきた。
だからと言って、人材採用の点で特別な戦略があるわけでもなさそうだ。黄氏が挙げる「人事の考え方、7つのポイント」を引いてみよう。
1、知的な労働力と起業家精神
2、人的資源の成長は財務資源に勝る
3、世界中から能力ある人を
4、献身をインスパイアする
5、個人の違いを尊重し、集合的な献身のバランスをとる
6、強みを評価して人を起用し、あらゆる種類の能力を歓迎する
7、能力ある人は自分の人生を意味あるものにしたいと考えている
どれも当たり前のように見えるが、人を戦略の柱として大切にしていること、目標を達成することに価値を感じる人を起用しようという気風が感じられる。
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