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公開日: 2021.07.09
アウディが行う「クルマの音」作り 大切なのは「消す」ことと「出す」こと
クルマを”いい音”にするため、デジタル技術は大いに活用されている。ドイツのアウディ本社では、2021年4月にオンラインで記者会見を開催。音作りの最前線を、その技術を中心に、ジャーナリストに向けて公開した。

注目すべきは、音を「消す」と、音を「出す」。大きくいって二つの方向性が、音作りにはある。
音を消すのは、一般的には遮音といって、騒音を遮断する。それはおそらく、誰でも思い付くはず。アウディでは、さまざまな専門分野のエキスパートが「Rustle and Rattle」(ラッスル&ラトル)と呼ばれるチームを編成し、クルマのバックグラウンドノイズを消去する作業に当たっている。
エンジンノイズ、タイヤノイズ、シャシーに当たる風などはわれわれも容易に想像できる騒音源だ。ただし対策は一筋縄ではいかない。アウディ本社でHead of Development Sound and Acousticsを務めるトビアス・グリュンドル氏は、オンラインの画面上で、涙ぐましいと言いたくなるような対策について語ってくれた。
「不快ノイズが伝わる可能性のあるすべてのエリアは、注意深く対策し、分離。シャシーにおける、設計上の開口部や中空個所にはマイクロファイバーのフリースを詰めます。ホイールから発生するノイズの吸音材としては、テキスタイルファブリックやマイクロファイバーフリースを使用。フローリングなどの表面は特殊素材でコーティングし、シートメタルの振動を抑制します」
それでも、時々謎の音に悩まされることも。例えば、ノイズがフロントドアで発生し、コンポーネントを経由して後部に伝わり、Cピラーの近くで聞こえる可能性もある、とアウディ。「そのとき、部署横断的な”ラッスル&ラトル(カサカサとガタガタ)”チームの出番です」とグリュンドル氏は言う。
音の発生源を、まず論理的に設計図から追い込んで、その後、マイクロフォンや耳を使って探し当て、対策を施す。特にピュアEV(アウディだとe-tron)はエンジン音や排気音がない分、今まで気付かなかった騒音が現れる。
音を消すのは、一般的には遮音といって、騒音を遮断する。それはおそらく、誰でも思い付くはず。アウディでは、さまざまな専門分野のエキスパートが「Rustle and Rattle」(ラッスル&ラトル)と呼ばれるチームを編成し、クルマのバックグラウンドノイズを消去する作業に当たっている。
エンジンノイズ、タイヤノイズ、シャシーに当たる風などはわれわれも容易に想像できる騒音源だ。ただし対策は一筋縄ではいかない。アウディ本社でHead of Development Sound and Acousticsを務めるトビアス・グリュンドル氏は、オンラインの画面上で、涙ぐましいと言いたくなるような対策について語ってくれた。
「不快ノイズが伝わる可能性のあるすべてのエリアは、注意深く対策し、分離。シャシーにおける、設計上の開口部や中空個所にはマイクロファイバーのフリースを詰めます。ホイールから発生するノイズの吸音材としては、テキスタイルファブリックやマイクロファイバーフリースを使用。フローリングなどの表面は特殊素材でコーティングし、シートメタルの振動を抑制します」
それでも、時々謎の音に悩まされることも。例えば、ノイズがフロントドアで発生し、コンポーネントを経由して後部に伝わり、Cピラーの近くで聞こえる可能性もある、とアウディ。「そのとき、部署横断的な”ラッスル&ラトル(カサカサとガタガタ)”チームの出番です」とグリュンドル氏は言う。
音の発生源を、まず論理的に設計図から追い込んで、その後、マイクロフォンや耳を使って探し当て、対策を施す。特にピュアEV(アウディだとe-tron)はエンジン音や排気音がない分、今まで気付かなかった騒音が現れる。

アウディが使用する車内音測定マイクロフォンはさまざまな種類がある
「その音は硬いか、それとも柔らかいか。他の何に例えられるか。内側からか、それとも外側から来ているか。絶えず聞こえるか、それともたまにしか聞こえないか」(アウディ)。ラッスル&ラトルのチームはこれらを検討する。驚くのは、いかに多くのノイズがあるかということだ。下記はアウディのリストである。
Bedrock (基本音)
Buzz (ブーブー音)
Chirp (コロコロ音)
Clank (ガチャガチャ音)
Crack (カーン音)
Creak (ギシギシ音)
Crackle (パチパチ音)
Crunch (バリバリ音)
Drone (ブーン音)
Grind (ゴリゴリ音)
Hiss (シューシュー音)
Howl (うなり音)
Hum (ブンブン音)
Jangle (ジャラジャラ音)
Knock (ノック音)
Rattle (ガタガタ音)
Rustle (カサカサ音)
Scrape (キーキー音)
Shimmer (チカチカ音)
Sizzle (ジュージュー音)
Snag (引っ掻き音)
Squeak (きしみ音)
Vibration (振動音)
Whir(ウィーン音)
Whistle (ピーピー音)
Whoosh (ヒューヒュー音)
ここで、活躍するのがデジタル技術である。一般的にはアクティブノイズキャンセレーションという機能が採用される。オーディオメーカーと共同開発されるケースが多い。ノイズを打ち消す音波をスピーカーから出すのが基本的な考え方。
「エンジンノイズの一部をキャンセレーションサウンドによって低減することが可能です。このシステムは、ルーフライニングに埋め込まれ、車内のサウンドレベルを測定するANC(アクティブノイズキャンセレーション)マイクロフォンを使います。コントロールデバイスはその音波を反転させ、中和音をサブウーファーから流します」。アウディではプレスリリースでこのようにシステムを説明する。
Bedrock (基本音)
Buzz (ブーブー音)
Chirp (コロコロ音)
Clank (ガチャガチャ音)
Crack (カーン音)
Creak (ギシギシ音)
Crackle (パチパチ音)
Crunch (バリバリ音)
Drone (ブーン音)
Grind (ゴリゴリ音)
Hiss (シューシュー音)
Howl (うなり音)
Hum (ブンブン音)
Jangle (ジャラジャラ音)
Knock (ノック音)
Rattle (ガタガタ音)
Rustle (カサカサ音)
Scrape (キーキー音)
Shimmer (チカチカ音)
Sizzle (ジュージュー音)
Snag (引っ掻き音)
Squeak (きしみ音)
Vibration (振動音)
Whir(ウィーン音)
Whistle (ピーピー音)
Whoosh (ヒューヒュー音)
ここで、活躍するのがデジタル技術である。一般的にはアクティブノイズキャンセレーションという機能が採用される。オーディオメーカーと共同開発されるケースが多い。ノイズを打ち消す音波をスピーカーから出すのが基本的な考え方。
「エンジンノイズの一部をキャンセレーションサウンドによって低減することが可能です。このシステムは、ルーフライニングに埋め込まれ、車内のサウンドレベルを測定するANC(アクティブノイズキャンセレーション)マイクロフォンを使います。コントロールデバイスはその音波を反転させ、中和音をサブウーファーから流します」。アウディではプレスリリースでこのようにシステムを説明する。

「シェイカー」と呼ばれる悪路を想定した測定器に載せられ異音の発生をチェックされるアウディSQ5
音を消す。そして同時に、音を出す。「操作時のボタンやスイッチ類は、控えめでありながらも、明確な通知音を出す必要があります。(方向指示器の作動音や、ディスプレーのタッチスクリーンの音響フィードバック信号音などの)通知音は、機能的なメッセージを耳障りにならないように伝えるのが理想的です」とアウディではする。
サウンドエンジニアは「心地よい音」を作るために奮闘する。「全ての車両は、音響空間としての特別な課題を考慮しなければなりません」(アウディ)ということなのだ。
「(音を反響させやすい大型ガラス製の)パノラミックルーフを搭載したクルマもあります。インテリアに採用する生地やレザーは、 音を反射するものもあれば、吸収するものもあります」
その中には、例えばドアの開閉音も含まれる。オンラインでアウディが紹介してくれた例を見ると、まず音を聞き分けるプロフェッショナルであるサウンドエンジニアのミシャエル・ビシュニウスキ氏が、アウディSQ5の前席左右ドアの閉まる音が微妙に違うのに気が付く場面を流していた。
サウンドエンジニアは「心地よい音」を作るために奮闘する。「全ての車両は、音響空間としての特別な課題を考慮しなければなりません」(アウディ)ということなのだ。
「(音を反響させやすい大型ガラス製の)パノラミックルーフを搭載したクルマもあります。インテリアに採用する生地やレザーは、 音を反射するものもあれば、吸収するものもあります」
その中には、例えばドアの開閉音も含まれる。オンラインでアウディが紹介してくれた例を見ると、まず音を聞き分けるプロフェッショナルであるサウンドエンジニアのミシャエル・ビシュニウスキ氏が、アウディSQ5の前席左右ドアの閉まる音が微妙に違うのに気が付く場面を流していた。
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