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公開日: 2021.02.01
「新しい街づくり」の鍵を握るMaaS
利用者のニーズに応じて快適な移動を実現する「MaaS」。それがもたらす街づくりへの可能性とは。

【画像】astudio/Shutterstock
MaaS(Mobility as a Service)とは、AIやクラウド、オープンデータなどのICTを活用することで、従来の公共交通機関に加えてシェアリングサービスや自動運転車といったさまざまな移動手段をシームレスにつなぐ次世代の交通サービスである。利用者のニーズに応じて、オンデマンドで利用できることが特長だ。
MaaSが実用化されると、例えば、出発地から目的地まで移動するとき、スマ-トフォンの専用アプリで目的地までのルートを検索し、鉄道やバス、レンタカー、レンタルサイクルなどの移動手段を選択して組み合わせ、予約から決済までを一度に済ませられるようになる。
国内ではまだ実証実験の段階であるMaaSだが、北欧フィンランドではすでに都市交通にてMaaSが実現されている。フィンランドは「MaaS発祥の地」と呼ばれており、ヘルシンキのベンチャー企業・MaaS Global社が2016年に実証実験を行い、その後、「Whim(ウィム)」という名称で正式にサービスを開始している。
Whimはスマートフォンアプリを用いた移動サービスで、利用者はWhimが提示する鉄道やバスなど複数の移動手段から最適なものを選択、予約・乗車・決済までをアプリ上で一括して行うことができる。Whimサービス開始後、フィンランドでは公共交通の利用が48%から74%と大きく伸びたほか、これまで利用の少なかったタクシーの利用が増加。逆に自家用車の利用は40%から20%と約半数に減少しており、MaaS導入の効果が表れている。
MaaSが実用化されると、例えば、出発地から目的地まで移動するとき、スマ-トフォンの専用アプリで目的地までのルートを検索し、鉄道やバス、レンタカー、レンタルサイクルなどの移動手段を選択して組み合わせ、予約から決済までを一度に済ませられるようになる。
国内ではまだ実証実験の段階であるMaaSだが、北欧フィンランドではすでに都市交通にてMaaSが実現されている。フィンランドは「MaaS発祥の地」と呼ばれており、ヘルシンキのベンチャー企業・MaaS Global社が2016年に実証実験を行い、その後、「Whim(ウィム)」という名称で正式にサービスを開始している。
Whimはスマートフォンアプリを用いた移動サービスで、利用者はWhimが提示する鉄道やバスなど複数の移動手段から最適なものを選択、予約・乗車・決済までをアプリ上で一括して行うことができる。Whimサービス開始後、フィンランドでは公共交通の利用が48%から74%と大きく伸びたほか、これまで利用の少なかったタクシーの利用が増加。逆に自家用車の利用は40%から20%と約半数に減少しており、MaaS導入の効果が表れている。
日本版MaaSの実現に向け、官民の動きも本格化
日本国内に目を向けると、2020年7月31日に国土交通省が「日本版MaaS推進・支援事業」として、地域課題の解決などに貢献しうるMaaS事業を公募し、38事業を支援対象として選定。支援対象に選ばれた事業は、実証実験の経費の一部補助を受けることができる制度だ。
日本版MaaS推進・支援事業では、地域や観光地の移動手段の確保・拡充や公共交通機関の維持・活性化などに加え、交通弱者や交通手段の少ない地域が抱える課題解決に貢献することを目的としている。国の後押しが得られることもあり、不動産デベロッパーやエネルギー関連企業、スタートアップ企業といった民間企業がMaaS実現に向け本格的に参入を開始している。
総合不動産企業である三井不動産はすでに2019年4月、フィンランドで「Whim」を展開しているMaaS Global社と提携。三井不動産の街づくりにおける幅広い事業領域と、MaaS Global社が持つMaaS事業の知見を生かし、街づくりにおけるMaaSの実用化に取り組んでいる。
同社は2020年9月に、千葉県柏市内で1ヶ月間の実証実験を行った。住民に専用アプリを配布し、タクシーやバス、カーシェアなどの乗り放題サービスを提供するというもので、この結果を踏まえて有料版MaaSの提供を目指すと見られている。
新たな交通手段ということもあり、自動車メーカーもMaaS参画に意欲的だ。スズキと博報堂は、2020年8月6日に富山県朝日町において地域住民の移動サポートに関するMaaS実証実験を開始した。朝日町では高齢化に伴い運転免許証を返納する住民が増加していることから、公共交通サービスへの需要が高まっていた。そこで、バスやタクシーだけでなく、将来的に持続可能な「住民同士の送迎」という新たな交通手段を提供することで、地域コミュニティの活性化を図る狙いがあった。
日本版MaaS推進・支援事業では、地域や観光地の移動手段の確保・拡充や公共交通機関の維持・活性化などに加え、交通弱者や交通手段の少ない地域が抱える課題解決に貢献することを目的としている。国の後押しが得られることもあり、不動産デベロッパーやエネルギー関連企業、スタートアップ企業といった民間企業がMaaS実現に向け本格的に参入を開始している。
総合不動産企業である三井不動産はすでに2019年4月、フィンランドで「Whim」を展開しているMaaS Global社と提携。三井不動産の街づくりにおける幅広い事業領域と、MaaS Global社が持つMaaS事業の知見を生かし、街づくりにおけるMaaSの実用化に取り組んでいる。
同社は2020年9月に、千葉県柏市内で1ヶ月間の実証実験を行った。住民に専用アプリを配布し、タクシーやバス、カーシェアなどの乗り放題サービスを提供するというもので、この結果を踏まえて有料版MaaSの提供を目指すと見られている。
新たな交通手段ということもあり、自動車メーカーもMaaS参画に意欲的だ。スズキと博報堂は、2020年8月6日に富山県朝日町において地域住民の移動サポートに関するMaaS実証実験を開始した。朝日町では高齢化に伴い運転免許証を返納する住民が増加していることから、公共交通サービスへの需要が高まっていた。そこで、バスやタクシーだけでなく、将来的に持続可能な「住民同士の送迎」という新たな交通手段を提供することで、地域コミュニティの活性化を図る狙いがあった。

【画像】shutterstock