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公開日: 2021.02.01
ポスト「Zoom」を狙うウェブ会議進化型のイノベーション
リモートワークの機会が増えてウェブ会議の機会も多くなったが、ウェブ会議をさらに進化させるツールも続々と開発されている。本記事ではホログラム、AR・MR、AIなど、先端技術を搭載したウェブ会議ツールを詳しく紹介する。

【画像】shutterstock
今や、リモートワーカーの間ですっかり定着した感があるのがウェブ会議ツールの「Zoom」。リモートワーカー同士の飲み会や忘年会を指す「Zoom飲み会」、「Zoom忘年会」という言葉まで登場し、まさにウェブ会議システムのデファクト・スタンダードと化している。
だが、デファクトはデファクトであるがゆえに、より優れたサムシングニューが出現すればアッと言う間に王座をひっくり返される可能性があるのが、日進月歩のインフォメーション・テクノロジーの世界だ。現状でもZoomのユーザーはZoomの操作性やパフォーマンスに必ずしも満足してはいない。短所を指摘させれば口からぞろぞろ飛び出してくるだろう。
ゆえに、Zoomのポジションは絶対とは言えず、新しいテクノロジーでZoomを超え、ポストZoomの王座を奪わんと、実験段階も含めさまざまなプロダクトが登場してきている。それぞれが、ホログラム、VR、3D、センサー、ロボット、AIなど、Zoom超えのキーポイントになるかもしれないコアテクノロジーをひっさげている。
だが、デファクトはデファクトであるがゆえに、より優れたサムシングニューが出現すればアッと言う間に王座をひっくり返される可能性があるのが、日進月歩のインフォメーション・テクノロジーの世界だ。現状でもZoomのユーザーはZoomの操作性やパフォーマンスに必ずしも満足してはいない。短所を指摘させれば口からぞろぞろ飛び出してくるだろう。
ゆえに、Zoomのポジションは絶対とは言えず、新しいテクノロジーでZoomを超え、ポストZoomの王座を奪わんと、実験段階も含めさまざまなプロダクトが登場してきている。それぞれが、ホログラム、VR、3D、センサー、ロボット、AIなど、Zoom超えのキーポイントになるかもしれないコアテクノロジーをひっさげている。
“透過ホログラム”の臨場感が売り物の「HoloD」

【画像】取材時にH2L株式会社より提供
すでに2020年5月から販売を始めているのが、H2L(本社:東京都港区)のホログラムウェブ会議「HoloD」である。リモートワーカー側はZoomと同じように個人のパソコン、回線でそれに参加できる。会社に設置した魚眼レンズを通じて、作業場のパソコンではオフィスの内部全体を見渡すことができ、誰が出社しているかなど細かい様子が分かる。
一方、会社側では専用プロジェクターでリモートワーカーの等身大映像が立体的に映し出され、まるで本人が会社に来ていて、すぐ目の前に座っているかような臨場感がある(写真)。例えば課長1人だけが会社に来ていても、ホログラムのバーチャル画像を見ながら、部下と一対一で顔を突き合わせるかのように個別に話を聞くことができる。Zoomのディスプレー越しの小さくて平板な画面では、とてもこうはいかない。これは3次元の「透過ホログラム」というテクノロジーを活用している。
リモートワーカーの映像はVR(バーチャル・リアリティー)技術を応用して、顔だけが本人で体は別人の画像やアニメーションを組み合わせる「合成アバター」に変えられるオプションもある。それを使えば、たとえ在宅中の実際の上半身が裸でも、課長には背広とネクタイ姿の自分を見せることができる。
HoloDのホログラム・プロジェクターは平板のものだけでなく、ピラミッド型でより立体的に見える「3Dホログラム」を搭載した進化版も市場投入している。H2Lは以前から「ボディーシェアリング技術」の研究を進めており、筋変位センサーや加速度ジャイロセンサーを搭載した「FirstVR」を開発した実績がある。そのVR技術に遠隔操作ロボット技術も組み合わせたHoloDの次世代進化版の開発を進めている。
例えば課長が「頑張ってくれ」とリモートワーク中の課員の肩をたたくような動作をしたら、課長の手の動きを筋変位センサー、加速度ジャイロセンサーが検知・解析し、その情報が通信回線経由でリモートワーク中の部下の自宅に設置したロボットアームに伝えられる。そして人間そっくりの手指がついたロボットアームは課長がしているのと全く同じ動作を同期・再現して、リアルタイムに課員の肩をたたく。それを可能にする遠隔操作ロボット技術はすでに実用段階に達しており、遠隔手術のような医療分野への応用が期待されている。
連動するロボットアームで指を触れる、肩をたたくといった触覚コミュニケーションが実現すれば、例えば家具職人のような手業の世界にもリモートワークが広がる可能性がある。お互い遠く離れていても通信回線を介して、ベテランが若手に「ベテランが手業をやってみせる」「若手にやらせる」「うまくできれば褒める」という「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)」が可能になれば、その世界の教育・研修や人事評価のあり方に変化が起きることも考えられる。
一方、会社側では専用プロジェクターでリモートワーカーの等身大映像が立体的に映し出され、まるで本人が会社に来ていて、すぐ目の前に座っているかような臨場感がある(写真)。例えば課長1人だけが会社に来ていても、ホログラムのバーチャル画像を見ながら、部下と一対一で顔を突き合わせるかのように個別に話を聞くことができる。Zoomのディスプレー越しの小さくて平板な画面では、とてもこうはいかない。これは3次元の「透過ホログラム」というテクノロジーを活用している。
リモートワーカーの映像はVR(バーチャル・リアリティー)技術を応用して、顔だけが本人で体は別人の画像やアニメーションを組み合わせる「合成アバター」に変えられるオプションもある。それを使えば、たとえ在宅中の実際の上半身が裸でも、課長には背広とネクタイ姿の自分を見せることができる。
HoloDのホログラム・プロジェクターは平板のものだけでなく、ピラミッド型でより立体的に見える「3Dホログラム」を搭載した進化版も市場投入している。H2Lは以前から「ボディーシェアリング技術」の研究を進めており、筋変位センサーや加速度ジャイロセンサーを搭載した「FirstVR」を開発した実績がある。そのVR技術に遠隔操作ロボット技術も組み合わせたHoloDの次世代進化版の開発を進めている。
例えば課長が「頑張ってくれ」とリモートワーク中の課員の肩をたたくような動作をしたら、課長の手の動きを筋変位センサー、加速度ジャイロセンサーが検知・解析し、その情報が通信回線経由でリモートワーク中の部下の自宅に設置したロボットアームに伝えられる。そして人間そっくりの手指がついたロボットアームは課長がしているのと全く同じ動作を同期・再現して、リアルタイムに課員の肩をたたく。それを可能にする遠隔操作ロボット技術はすでに実用段階に達しており、遠隔手術のような医療分野への応用が期待されている。
連動するロボットアームで指を触れる、肩をたたくといった触覚コミュニケーションが実現すれば、例えば家具職人のような手業の世界にもリモートワークが広がる可能性がある。お互い遠く離れていても通信回線を介して、ベテランが若手に「ベテランが手業をやってみせる」「若手にやらせる」「うまくできれば褒める」という「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)」が可能になれば、その世界の教育・研修や人事評価のあり方に変化が起きることも考えられる。