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公開日: 2019.03.14
【欧州スタートアップ事情】小さなユニコーン大国エストニア、経済を切り開いたのは“Skype Mafia”
Skypeとその影響を強く受けたユニコーン企業。エストニアの経済を引っ張っているのは、成功を収めてたユニコーンたち、人呼んでSkype Mafiaだ。

皆さんはエストニアという国をご存知でしょうか?人口約130万人の小国はバルト三国の最北に位置し、東ヨーロッパ、北欧、ロシア大陸のちょうど境にあります。
国際的なベンチャーキャピタルであるIndex Ventureの評価によると、エストニアはスタートアップに対するビジネス環境のフレンドリーさにおいて世界第1位でした。スタートアップのしやすさとエコシステムの寛容さにおいて、非常に魅力的な場所として認識されています。
それを如実に表しているのが、エストニアを代表する4社のユニコーンです。この規模で4社ものユニコーンが存在する国は他にありません。ユニコーン4社とは具体的には、通話サービスのSkype、オンラインカジノソフトのPlaytech、個人間送金サービスのTransferWise、ライドシェアアプリのTaxify(2019年3月7日に「Bolt」に社名変更。以下ではTaxifyで記載)です。
Skypeは、言わずとしれた、あのインターネット電話サービスの開発元です。エストニアの位置を知らなくてもSkypeは知っている、という人が多いのではないでしょうか。このインターネット電話サービスは2003年8月29日、スウェーデン人、デンマーク人、エストニア人からなる6人のメンバーにより公開されました。すると初日に1万ダウンロード、数カ月後には100万ユーザーを獲得するまでに成長しました。
現在はSNS全盛期ということもあり、日本のLINE、米国のFacebook Messengerなど、メッセージアプリが大きなシェアを持っています。ただ、その中でもSkypeは世界で初めて、コミュニケーションサービスにおけるグローバルスタンダードとなったブランドであり、15年経った今も世界中で使われ続けています。
瞬く間に世界中でシェアを獲得したSkypeは、立ち上げからわずか2年後の2005年、eBayにより26億ドルで買収されました。エストニアの当時のGDPが約110億ユーロですから、どれだけこの国にとって重大なニュースだったか想像がつくのではないでしょうか。
その後、2011年に米Microsoftにより85億ドルで買収されましたが、月間約3億人ものアクティブユーザーがいます。本社もルクセンブルクにあって、ほとんどの開発チームと、全体の44%の従業員がエストニアで働いています。
実はこのSkypeが叶えた一連の”Estonian Dream”は、その後のエストニア経済において、資金的にも精神的にも計り知れない影響を与えました。まず、Skypeが巨額で買収されたことにより、当時の従業員やシェアホルダーは大きな資金を手に入れました。また、エストニアのスタートアップに対する世界の注目度も増し、シリコンバレーの投資家たちの興味を引きつけることにつながったのです。そして、これにより国内でスピンオフして急成長するスタートアップが増え、エストニアにおけるスタートアップのエコシステムが急速に形成されていきました。
当時独立からわずか10年ほどしか経過しておらず、目立たないところで地道に努力してきた小国で、Skypeは国民に未来への希望を与え、若者に大きな一歩を踏み出す勇気を与えました。そして現在、Skypeが教えた”Think globally from the beginning”の精神は、エストニアのスタートアップにおける共通認識となっています。小さな国の小さなスタートアップでも、世界で成功できることを知ったことで、その後Skypeの遺伝子を受け継いだグローバルカンパニーがいくつも誕生しました。
国際的なベンチャーキャピタルであるIndex Ventureの評価によると、エストニアはスタートアップに対するビジネス環境のフレンドリーさにおいて世界第1位でした。スタートアップのしやすさとエコシステムの寛容さにおいて、非常に魅力的な場所として認識されています。
それを如実に表しているのが、エストニアを代表する4社のユニコーンです。この規模で4社ものユニコーンが存在する国は他にありません。ユニコーン4社とは具体的には、通話サービスのSkype、オンラインカジノソフトのPlaytech、個人間送金サービスのTransferWise、ライドシェアアプリのTaxify(2019年3月7日に「Bolt」に社名変更。以下ではTaxifyで記載)です。
Skypeは、言わずとしれた、あのインターネット電話サービスの開発元です。エストニアの位置を知らなくてもSkypeは知っている、という人が多いのではないでしょうか。このインターネット電話サービスは2003年8月29日、スウェーデン人、デンマーク人、エストニア人からなる6人のメンバーにより公開されました。すると初日に1万ダウンロード、数カ月後には100万ユーザーを獲得するまでに成長しました。
現在はSNS全盛期ということもあり、日本のLINE、米国のFacebook Messengerなど、メッセージアプリが大きなシェアを持っています。ただ、その中でもSkypeは世界で初めて、コミュニケーションサービスにおけるグローバルスタンダードとなったブランドであり、15年経った今も世界中で使われ続けています。
瞬く間に世界中でシェアを獲得したSkypeは、立ち上げからわずか2年後の2005年、eBayにより26億ドルで買収されました。エストニアの当時のGDPが約110億ユーロですから、どれだけこの国にとって重大なニュースだったか想像がつくのではないでしょうか。
その後、2011年に米Microsoftにより85億ドルで買収されましたが、月間約3億人ものアクティブユーザーがいます。本社もルクセンブルクにあって、ほとんどの開発チームと、全体の44%の従業員がエストニアで働いています。
実はこのSkypeが叶えた一連の”Estonian Dream”は、その後のエストニア経済において、資金的にも精神的にも計り知れない影響を与えました。まず、Skypeが巨額で買収されたことにより、当時の従業員やシェアホルダーは大きな資金を手に入れました。また、エストニアのスタートアップに対する世界の注目度も増し、シリコンバレーの投資家たちの興味を引きつけることにつながったのです。そして、これにより国内でスピンオフして急成長するスタートアップが増え、エストニアにおけるスタートアップのエコシステムが急速に形成されていきました。
当時独立からわずか10年ほどしか経過しておらず、目立たないところで地道に努力してきた小国で、Skypeは国民に未来への希望を与え、若者に大きな一歩を踏み出す勇気を与えました。そして現在、Skypeが教えた”Think globally from the beginning”の精神は、エストニアのスタートアップにおける共通認識となっています。小さな国の小さなスタートアップでも、世界で成功できることを知ったことで、その後Skypeの遺伝子を受け継いだグローバルカンパニーがいくつも誕生しました。
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