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Innovators 公開日: 2019.05.23

【AIビジネスのカタリスト】事業化のポイントは「ニーズオリエンテッド」──マクタアメニティ(後編)

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「おいしさの見える化」を実現したマクタアメニティ。起業の背景と、目指しているビジネス像は?

前編からのつづき)

 幕田氏は、代々事業を営む家系に生まれた。明治のころは蚕種(さんしゅ)製造業を手がける篤農家(とくのうか)だったという。蚕種製造業とは、蚕の卵を農家に供給する事業で、交配によっていかに優秀な卵を作るかを問われる事業である。篤農家とは、実践的な農業技術・農業経営を研究し農業指導により先進的農法の普及に貢献した農業経営者を指す。

 こうした背景もあって、幕田氏は農業系の学校を卒業し、農業技術の研究機関に就職した。しかも、「先祖代々、起業意識が強く、自分もそうでした。脱サラして1988年にマクタアメニティを立ち上げました」と語る。

SCMを農業分野に生かす

 設立当初から、農業分野で多くの事業を手がけてきた。

「干し柿などを作るために、近赤外線を使って果実を乾燥させる機材を企画・販売したり、エチレンガスを使って老化ホルモンを抑制して植物を長持ちさせる仕組みや、有機農業用の肥料を開発して販売したりしてきました」

 そうした経験の中で、SCM(サプライチェーン・マネジメント)のことを知る。

 「福島大学の先生と出会い、SCMという考え方があることを知り、農業分野のSCMに関わるようになったのです」

 2005年には、農林水産省・経済産業省より異分野連携新事業開拓計画の認定を受け、IT技術を駆使した農業生産・流通システム「アグリSCM」を構築したり、福島県産学官連携推進事業により「コンピューティングユビキタス技術によるチェーン・トレーサビリティの構築」を福島大学と共同研究したりして、農業分野のSCM構築を経験してきた。

 「モノを作るだけではなく、販売してお客様の満足度を高めるというサプライチェーンを農業に応用することの大切さを学びました」

 その後、SCMの考え方を取り入れてビジネスを展開した。本社がある福島県の伊達市は県の中部地域である中通りに位置する。この中通りと太平洋側の浜通りの農家が生産する農作物を、紀ノ国屋、成城石井、玉川髙島屋など首都圏にある高級志向の店舗や、香港・上海のラグジュアリーマーケットに流通させるビジネスを仲介してきたのである。

 「いくらおいしい農産物を作っても、それを流通させる仕組みと、買ってくれる仕組みを作らなければ農業は成り立ちません。農業分野でのSCMに携わっていなかったら、おいしさの見える化を事業化していなかったかもしれません」と振り返る。
データを実社会に還元するサイクル(資料提供:マクタアメニティ)

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