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Innovators 公開日: 2018.10.12

AIは使い方も技術も成長期 今後は「意味理解」に焦点──札幌市立大学 学長・中島秀之氏

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1980年代から第一線でAI研究を牽引してきた札幌市立大学学長の中島秀之氏。AIは、もっと幅広い領域で活用可能で、そのためには「意味理解」が重要なテーマになってくると指摘する。

 AIがさらに普及していった先には、どのような社会が待ち受けているのだろうか。第2次AIブームのころからAIの研究に従事し、大学院時代に「Prolog」を出版するなど、日本のAI研究を牽引してきた、札幌市立大学学長の中島秀之氏に聞いた。(日経クロストレンドより転載)。

 AIが身近な領域に入り込み始めている。代表例がAIスピーカー。2018年5月にGoogleがイベントで見せた、AIスピーカーが理髪店に電話して代理で予約をとるデモ(Google Duplex)は、これから先の社会の一端をのぞかせた。他にも、調理家電に搭載されたAIがユーザーの好みを学習して「今晩のおかず」を提案したり、AIをフル活用した店舗でレジに並ぶことなく商品を購入できたりと、AIが活躍する場面は生活のあちらこちらで見かけるようになっている。では、AIがさらに普及していった先には、どのような社会が待ち受けているのだろうか。第2次AIブームの頃からAIの研究に従事し、大学院時代に『Prolog』を出版するなど、日本のAI研究をけん引してきた、札幌市立大学学長の中島秀之氏に聞いた。

企業などでの活用例が増えている他、AIスピーカーの登場などもあって、AIが一般に身近な存在になりつつあります。中島先生は現状をどうご覧になっていますか。

ようやく実用段階に入ったなと思っています。マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューターサイエンス研究所では、“知的ブルドーザー的作業はAIに任せるべき”、つまり知能が必要ではありながら単純な作業はAIにやらせよと言っていますね。まさにその通りだと思います。IBMのワトソンは、1日当たり3000本発表されているともいわれる、人間にはとても読み切れない量の医療関連の論文を読み、知見を蓄えています。こうした作業はAIの得意とするところです。

 ただ、広がっているとはいうものの、欧米や中国の様子に比べると、日本はまだまだ歩みが遅いと言わざるを得ません。のんびり構えていると、日本はどんどん置いていかれてしまいます。もっと加速させていく必要がありますね。
── ペースが遅いのはなぜなのでしょうか。

 背景はいろいろありますが、大きな要因は、日本は海外に比べると、“使う人がさまざまに使う”環境に恵まれているとは言えないことでしょうね。技術があっても、ルール上、使えないというケースが非常に多いのです。自動運転の技術があっても公道を走れないというのはその代表例です。創薬の分野でも同じようなことが起こっています。

 中国では、国がやると決めたので、道を行く人の顔を認識し個人を特定する技術が急速に発展しています。それが必ずしも良いことかどうかは分かりませんし、日本がそこまでやるべきだとも言いません。ただ、日本はやっていいことだけを書くホワイトリスト方式に基づいているため、中国のようなことをやってみようと思っても、なかなか手を付けられません。

 やってはいけないことだけを決めておくブラックリスト方式なら、もっと柔軟にいろいろなことを試せます。新しい技術を採用したり、新しい文化を生み出したりするには、そのほうが適しているわけです。ブラックリスト方式に見直すべき法律はいくつもあります。環境が変われば、日本でも試せることが増え、その結果、新しい概念も生まれるでしょう。

── AIの使い方は、まだまだ広がるということですね。

 そうです。今はまだ、既存の社会の仕組みを置き換えようとするケースが多いと思いますが、それでは不十分です。本当に効果的に使いこなしていくには、発想自体を新しくしていく必要があります。

 「54字の物語」という超短編小説をご存じですか? もしもこんなことがあったら、こんな社会があったら、というユーモアを、54文字ぴったりで表現した小説です。その中に、馬車を使っている社会に暮らす人々に先進技術を教えたら…というものがあります。彼らが作ったのは、馬のロボットでした。先進技術なら自動車でさえ作れただろうに、発想が馬ロボット止まりだったわけです。笑い話のようですが、実際に、ごく普通に起こり得そうな話です。

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