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Lifestyle 公開日: 2019.01.28

CESを横目に空飛ぶクルマ、ヘリ開発元のベルが本気を示す展示

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2年連続で空飛ぶクルマを展示。アーバンエアトラベルを目指すベルの本気度が垣間見えた。

 かつてデジタル音楽のリズムを「タテノリ」と言ったりしたが、“縦”はデジタル技術を駆使した次世代の交通にも、重要なキーワードのようだ。端的な例は、最近さまざまな技術が出てきているエアタクシーである。

 2019年1月にラスベガスで開催されたCESでは、米のヘリコプターメーカー「ベル」が、「NEXUS(ネクサス)」と名づけたエアタクシーのプロジェクトを公開して話題を呼んだ。

 流体力学を応用してデザインされたようなスリムなキャビンに、方向可変の6つのローターが取り付けられている。縦に飛ぶVTOL(垂直離着陸)技術を採用し、市街地でもスポットからスポットの効率的な移動を可能にするのが、ベルのエアタクシーの根本にあるコンセプトだ。
CES2019におけるベル・ネクサスの展示
6基の電気モーター駆動のローターで飛ぶ(写真・画像提供:Bell)
 「地上のスペースが限られてきているので、私たちは縦方向への移動でその問題の解決を図りました」。ベルのミッチ・スナイダー社長兼CEOはこう述べている。

 機内には操縦士1席分のコクピットがあり、背後に2人用のシーターが2列並ぶ。”乗客”の定員はいまのところ4名のようだ。現状のデザインでは、室内は快適そうで、軽量化を追究して簡素になりがちな通常のヘリコプターとは少し異なって見える。
操縦士は3列のいちばん前に陣取る(写真・画像提供:Bell)
 ポイントは、この種のVTOL型トランスポテーションで往々にして語られることだが、時間の節約にあると語られている。過密化する諸都市の市街地での渋滞や、空港への移動などを考えると、ヘリコプター技術の応用は最適解の一つかもしれない。

 パワートレインはハイブリッドで、開発したのは航空産業でさまざまな技術を手がけるSafranだ。6基のローターは電気モーターで駆動する。エネルギーの供給はガスタービンを使ったパワージェネレーターで行う。

 EPSがエネルギーのストレージシステムを担当し、フランスのThalesがフライトコントロールコンピュータを開発する。加えて、MoogとGarminが制御技術で協力している。
さまざまな航空関連企業が協力して開発中(写真・画像提供:Bell)
 「最近の技術とソフトウエアの進化により、アーバンエアトラベルは現実のものとなりつつあります。最後のステップは、フライトコントロール・エコシステムです。それによって個人でも安全、かつ効率的にエアトラベルできるようになるでしょう」

 ベルのWebサイトには上記のような記載がある。最後の部分は「the critical last step」とあるが、どちらかというと前向きの表現に感じられる。軍事用を含めてさまざまなヘリコプターを開発してきたベルだけに、最後の解決すべき問題点が見えている地点までたどりついたということなのだ。

 2018年と2019年と続けてCESでNEXUSのプロジェクトをお披露目したベルの本気度からして、エアタクシーの未来には、かなり期待できるかもしれない。


小川 フミオ


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.

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