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公開日: 2022.01.18
新素材の開発も トレーサビリティーの実現で、レザーフリーを目指す自動車業界
これからの高級車の内装におけるトレンドは何か。ボイスコントロール技術とかヘッドアップディスプレイとか3Dオーディオとか大画面による映像とか、いろいろ思いつく中で、もうひとつ。レザーフリー化が着実に進んでいる。

レザーフリーとは、本革の使用を止めること。あるいは、使用しても、トレーサビリティーを確保して、サブプライチェーン全体を把握できるように。それによって、環境や動物福祉の観点で正しいガイドラインを守っているレザーの選択を可能にする。
英国の高級車メーカー、ジャガー・ランドローバーが2021年10月、世界初のブロックチェーン技術を用い、レザーのデジタルサプライチェーンを(試験的に)開始すると発表した。それが話題を呼んだ。
「ジャガー・ランドローバーが、サステナブルで責任あるプレミアム素材の選択肢をお客様に提供する」。ジャガー・ランドローバーの日本法人では、広報資料内でこのように目的を説明。
「コンプライアンスだけでなく、農場から製品化されるまでの全ての段階で、レザー・サプライネットワークのカーボンフットプリントを確認することができるようになる」という。「製品のライフサイクル全体で環境および倫理的な影響を低減させる」ことが目標とされる。
同社がパートナーに選んだのは、サプライチェーン・トレーサビリティー・プロバイダーのサーキュラー(Circulor)、英国のレザーメーカーであるブリッジ・オブ・ウィアー(Bridge of Weir Leather Company)、それにノッティンガム大学。レザーのサプライチェーンにおいてトレーサビリティー技術を確立するという。
「Innovate UK」(技術革新を主眼に主に企業に研究費を助成している英国政府の研究資金助成機関)の助成による研究の一環だそう。大ざっぱな仕組みは、原材料のデジタルツイン(デジタル空間での複製)を生成し、現実世界とデジタル環境で同時に、レザーのサプライチェーン全体を追跡するというもの。
「GPSデータ、生体認証、QRコードを組み合わせてブロックチェーン技術を使用することで検証プロセスを定義することにより、1 枚のレザーが完成するまでの全ての段階で再現可能な青写真ができ上がります」とジャガー・ランドローバー。
英国の高級車メーカー、ジャガー・ランドローバーが2021年10月、世界初のブロックチェーン技術を用い、レザーのデジタルサプライチェーンを(試験的に)開始すると発表した。それが話題を呼んだ。
「ジャガー・ランドローバーが、サステナブルで責任あるプレミアム素材の選択肢をお客様に提供する」。ジャガー・ランドローバーの日本法人では、広報資料内でこのように目的を説明。
「コンプライアンスだけでなく、農場から製品化されるまでの全ての段階で、レザー・サプライネットワークのカーボンフットプリントを確認することができるようになる」という。「製品のライフサイクル全体で環境および倫理的な影響を低減させる」ことが目標とされる。
同社がパートナーに選んだのは、サプライチェーン・トレーサビリティー・プロバイダーのサーキュラー(Circulor)、英国のレザーメーカーであるブリッジ・オブ・ウィアー(Bridge of Weir Leather Company)、それにノッティンガム大学。レザーのサプライチェーンにおいてトレーサビリティー技術を確立するという。
「Innovate UK」(技術革新を主眼に主に企業に研究費を助成している英国政府の研究資金助成機関)の助成による研究の一環だそう。大ざっぱな仕組みは、原材料のデジタルツイン(デジタル空間での複製)を生成し、現実世界とデジタル環境で同時に、レザーのサプライチェーン全体を追跡するというもの。
「GPSデータ、生体認証、QRコードを組み合わせてブロックチェーン技術を使用することで検証プロセスを定義することにより、1 枚のレザーが完成するまでの全ての段階で再現可能な青写真ができ上がります」とジャガー・ランドローバー。

「From Origin To Vehicle」(材料から車両へ)と銘打ち、ジャガー・ランドローバーはレザーのトレースシステムを計画
このプロジェクトは、「サステナビリティーに富んだモダン・ラグジュアリーの再構築、ユニークなカスタマー・エクスペリエンスの提供、ポジティブな社会的インパクトの創出を目指す、ジャガー・ランドローバーの『REIMAGINE』戦略の一環として行うものです」と説明されている。
ジャガー・ランドローバーは、今回のリリース内で、スコティッシュ・レザー・グループのイノベーション&サステナビリティー担当ディレクターである、ウォーレン・ボーデン博士の評価を紹介している。
「英国の農業と畜牛の追跡スキームに内在する、世界をリードするトレーサビリティーと透明性の基準がさらに強化される機会が確実にあると考えています」
今回開発されたブロックチェーン技術により、プロセスの各段階において、レザーのサプライチェーン全体を正確に追跡し、測定できるようになる。そのため、ブリッジ・オブ・ウィアーにとっては、家畜を森林破壊のない牧草で育てている農場から調達するという責任ある立場が明確化できるし、ひいては消費者は、温室効果ガスの排出量よりも吸収量が多い、カーボンポジティブなレザーを手に入れるチャンスが増えるのだ。
一方、レザーが”追放”された後はどうなるのだろう。
例えばここで紹介してきたジャガー・ランドローバーを見ると、さまざまな代替素材を用意している。具体的には、天然繊維のユーカリメランジテキスタイル、デンマークのクバドラによるウール混紡テキスタイル、それに、1台あたり53 本分のリサイクルプラスチックと再生ポリエステルを活用した 「ディナミカ」スエードクロスといった具合だ。実際にどれも質感が高い。
ジャガー・ランドローバーは、今回のリリース内で、スコティッシュ・レザー・グループのイノベーション&サステナビリティー担当ディレクターである、ウォーレン・ボーデン博士の評価を紹介している。
「英国の農業と畜牛の追跡スキームに内在する、世界をリードするトレーサビリティーと透明性の基準がさらに強化される機会が確実にあると考えています」
今回開発されたブロックチェーン技術により、プロセスの各段階において、レザーのサプライチェーン全体を正確に追跡し、測定できるようになる。そのため、ブリッジ・オブ・ウィアーにとっては、家畜を森林破壊のない牧草で育てている農場から調達するという責任ある立場が明確化できるし、ひいては消費者は、温室効果ガスの排出量よりも吸収量が多い、カーボンポジティブなレザーを手に入れるチャンスが増えるのだ。
一方、レザーが”追放”された後はどうなるのだろう。
例えばここで紹介してきたジャガー・ランドローバーを見ると、さまざまな代替素材を用意している。具体的には、天然繊維のユーカリメランジテキスタイル、デンマークのクバドラによるウール混紡テキスタイル、それに、1台あたり53 本分のリサイクルプラスチックと再生ポリエステルを活用した 「ディナミカ」スエードクロスといった具合だ。実際にどれも質感が高い。

ウール混紡素材をシートに使ったレンジローバーヴェラールの内装
他社に視野を拡大してみると、同様な取り組みが散見される。ひとつはテスラ。とりわけ、日本でも販売好調のピュアEVセダン「モデル3」では、本革と区別がつかない(いや、それ以上の手触りの良さといってもいい)人工皮革が使われる。

レザーフリー化をいち早く実現した「テスラ・モデル3」
レザーフリー化は、ピュアEVを「環境負荷の低い自動車のあるべき姿」と捉える同社の株主たちから強く要請されていたとも。当初は、汗を吸いにくい人工皮革をステアリングホイールにまで使うことについて、安全面からの懸念が(テスラの技術者には)あったものの、実際にドライブすると、それも技術的に克服したのだなと思える。
アウディは、動物由来の素材を使わないことを明言している英国のファッションデザイナーであるステラ・マッカートニー氏と組んで、レザーフリー化したプロトタイプ「アウディe-tron GTクワトロ」を、21年6月に中国で開催された「デザイン・シャンハイ」で公開した。
アウディは、動物由来の素材を使わないことを明言している英国のファッションデザイナーであるステラ・マッカートニー氏と組んで、レザーフリー化したプロトタイプ「アウディe-tron GTクワトロ」を、21年6月に中国で開催された「デザイン・シャンハイ」で公開した。
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