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Lifestyle 公開日: 2022.08.04

コロナ禍を経て新サービス続々誕生。メンタルヘルスケアの2022最新事情

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 誰しもが、日々自身のメンタルヘルスに向き合っていることだろう。最近では、メンタルヘルスケアビジネスが盛り上がりを見せ、今後より一層の発展も期待されているところだ。

 そこで本記事では、なぜ今、ビジネス界でメンタルヘルスに注目が集まっているのか触れた上で、注目のサービスについて紹介する。

【画像】Shutterstock

メンタルヘルスケアが企業にとっても課題となってきている

 以前からそうではあったのだが、昨今、企業にとってもより一層従業員のメンタルヘルスケアが重要になってきている。その背景にはどのような事情があるのか、解説したい。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響でメンタルヘルスを病む人が増加した

 2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大による社会へのさまざまな影響、いわゆる“コロナ禍”によって、メンタルヘルスを病む人が増えたのは周知の事実だ。厚生労働省が2020年9月に行った「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」によると、その年の2月〜9月において、半数程度の人が何らかの不安を抱えていたという。また、いずれの時期においても、6割以上が「自分や家族の感染への不安」を感じ取っていた。当然の結果と言えよう。

 コロナ禍という外発的要因によってリモートワークを余儀なくされたことから、多くのビジネスパーソンが孤独な環境に置かれるようになった。その結果として、鬱や自殺といったところまで追い込まれる方もいたであろう。

精神障害での労災支給決定件数は2022年も過去最多を更新

【画像】Shutterstock
 コロナ禍でメンタルヘルスを病む人が急増したことは、データでも実証されている。厚生労働省「過労死等の労災補償状況」によると、令和3年度(2021年)においては、精神障害によって労災支給を決定された件数は過去最多の629件となった。その内訳として、業種においては「医療・福祉」、年齢別では「40~49歳」がともに最多を記録している。

  「40〜49歳」というと、会社でも最重要な戦力と位置付けられる年齢層であるため、この年齢層のビジネスパーソンから労災認定される人が多く出てしまうのは会社にとっても痛手であろう。

 また、女性の自殺者数も増加している。2020年、2021年と、女性の自殺者数は2年連続で増加して高止まりしている状況にある。職場で自殺者が出てしまった場合には、職務に直接的な影響があるだけではなく、採用や広報の面でも悪影響が出るのは必至だ。

メンタルヘルスケアにおける政府の支援

【画像】Shutterstock
 メンタルヘルスケアは企業だけではなく政府の課題でもある。現状、日本政府がメンタルヘルスケアに対してどのような支援を打ち出しているのか解説する。

働き方改革

 2010年代後半あたりから、本格的に働き方改革の取り組みが推進されるようになってきた。その背景には、少子高齢化で労働人口の絶対数が減少することが見えている事実がある。働き手が減少していく以上、今いる働き手に、より多く働いてもらわなければ国全体としての生産性向上は達成できないというわけだ。より多様な働き手を確保するために、労働時間の削減や労働手段の多様化などを目指し、「働き方改革」というパッケージとして打ち出したという経緯がある。

 そこで政府は働き方改革関連法案を成立させ、以下の項目の実現に向けた環境を整備した。

・長時間労働の是正
・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
・柔軟な働き方がしやすい環境整備
・ダイバーシティーの推進
・賃金引き上げ、労働生産性向上
・再就職支援、人材育成
・ハラスメント防止対策

 この中の多くの項目が、ビジネスパーソンのメンタルヘルスケアにも関わってくる。これからも政府の支援は拡充されていくことだろう。

健康経営の推進

 健康経営の推進も、広い意味で働き方改革の一環だ。健康経営とは、従業員の健康を推進することが経営にとってもプラスに働くと考えて、積極的に健康推進のための諸施策を展開していくような経営のことを指している。

 政府は健康経営を推進するための法案や施策を打ち出している。例えば、経済産業省管轄の「健康経営優良法人認定制度」では、毎年健康経営において顕著な実績が見られた企業が顕彰されており、ここで銘柄に選ばれることが、会社の採用・広報的にもプラスの効果をもたらす後押しにもなっている。

メンタルヘルステックとは?

 メンタルヘルステックとは、さまざまな精神疾患に対して、テクノロジーを利用してケアするサービス群のことを呼ぶ。AIを筆頭とするテクノロジーの発展により、メンタルヘルスケアにおいてもテクノロジーを利用したアプローチが有効となってきた。

 例えば、Report Oceanのレポートによると、2020年における世界の治療用アプリの市場規模は約26億ドルまで膨らんでいる。市場規模の拡張に後押しされてか、メンタルヘルステック領域での資金調達などが活発化されてきている現状もある。

メンタルヘルステック5分野の概要と注目サービス

【画像】Shutterstock
 政府も後押しするメンタルヘルス領域。ここでは、メンタルヘルステックの中でも特に注目が集まる5分野と、テクノロジーの面で優れているサービスを紹介する。

(1)AI

 メンタルヘルステック領域の中でも、特に注目が集まっているのがAI領域。

 中でもユニークなサービスを展開しているのが『emol(エモル)』だ。emolはAIロボと会話できるアプリで、会話をしながら自身の感情を記録しておくことができる。また、睡眠時間の記録も可能なため、孤独を解消するだけではなく、自身のメンタルヘルスの状態を把握しておくことで、対策を打てるようになる。認知行動療法に基づいているので、科学的に裏付けのあるアプローチを取れる点も魅力だ。

 また、国立精神・神経医療研究センターが開発したメンタルヘルスケアシステムである 『KOKOROBO(ココロボ)』を利用すると、質問に答えていくだけで、AIによってメンタルヘルスの状態を簡単に診断できる。診断が終わった後には臨床心理士や医師の診断を無料で受けることもできるので、気軽に利用可能だ。

(2)ロボット

 AIと同様に、テクノロジーの進展によってメンタルヘルスへの新たなアプローチが可能となったのが、ロボット領域だ。

 ロボット領域においては、アザラシの形をしたセラピーロボット『PARO(パロ)』がよく知られている。PAROは老人保健施設や小児病棟、児童養護施設などに導入され、本物の動物の代わりに精神的な安らぎを与えている。アニマル・セラピーと同様の効果を発揮できることも確認されているようだ。
 水滴のような形をした『Romi(ロミィ)』は、IT大手のミクシィが開発した会話AIロボットだ。会話AIが搭載されているので、ふとしたときに話しかけて気分転換することができる。孤独解消のための新たなアプローチとして、今後ますます注目されていくことだろう。

(3)VR

 メンタルヘルスケアの文脈において、VRが貢献できることも増えてきているようだ。

 ジョリーグッドはVRを活用して医療教育サービスを展開している。メンタルヘルスケア領域においてVRがどう活用されるのかイメージが湧かない方も多いだろう。ジョリーグッドは、パワーハラスメント研修のVR体験を管理職や経営層に提供し、ハラスメントを抑制・防止することで、間接的にメンタルヘルスケアを推進しようとしている点がユニークだ。

 『HIKALY』は、医療法人啓光会が運営するVRカウンセリングサービスだ。VRを利用すれば、経験豊富で優秀なカウンセラーのもとにわざわざ通う必要はなく、自宅にいながらにして最高のカウンセリング体験が可能だ。

(4)分析・可視化

 分析・可視化領域のサービスにおいても、最先端のテクノロジーが活用されている。

 分析・可視化領域のサービスにおいてユニークなサービスを提供しているのが、リスク計測テクノロジーズが運営する『Motivel』だ。Motivelを利用すれば、従業員の声を5秒聞くだけで、それぞれの従業員のモチベーションを把握することができる。工事現場や建設現場などの安全確保のために利用されている。

 また、RESVO(レスボ)は尿を分析することによってストレス状態を把握できるサービスを提供している。尿検査の要領で簡単にストレス検査をできるので、多くの企業で手軽に導入しやすいだろう。
【参考】RESVO

(5)産業保険

 産業保険領域においても、メンタルヘルステックサービスが充実してきている。

 わかりやすいネーミングで馴染みやすいのが、『産業医クラウド』だ。産業医クラウドでは、全国の産業医1549名中、厳選された340名の産業医の相談をクラウド上で簡単に受けられる。ストレスチェックだけではなく、健康診断や休職者対応など、さまざまなサービスを提供している。

 『newbie』は健康診断のデータなどのIT化も含め、健康経営をトータルでサポートしているSaaSだ。産業医との面談記録なども、簡単に記録し、従業員一人ひとりの健康データを詳細に分析・一元管理できるようになっている。

これからもメンタルヘルステック領域に要注目

 メンタルヘルステック領域は、全てのビジネスパーソンに関わる領域でもある。AIやロボット、VRなどの新しいテクノロジーによって、より洗練されたメンタルヘルスケアが可能になってきており、その傾向は今後も加速していくだろう。政府の後押しもあることから、メンタルヘルステック領域のさらなるイノベーションに要注目だ。

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