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公開日: 2021.05.26
「人間中心」の自動運転技術——トヨタやレクサスの考えとは
トヨタ自動車は、2021年4月8日に新技術「Advanced Drive」を発表。自動車専用道走行中の運転支援システムの最新形で、高速の分岐などもクルマが行ってくれる。発表と同時に、この機能を搭載した「トヨタMIRAI」と、「レクサスLS」が発売された。

高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムがAdvanced Drive。車載ナビゲーションシステムに目的地を設定したのち、車載システムが作動する。「(システムは周囲の状況を)適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、車線変更、追い越しなどを行いながら、目的地に向かって分岐までの運転を支援します」と、トヨタ自動車ではする。

追い越しや分岐でのスムーズな走行など、Advanced Driveの走行イメージ
システムは「従来のミリ波レーダーとステレオカメラに加えて、望遠カメラ、LiDARと高精度地図に基づく情報を組み合わせた」ものだそうだ。LiDAR(ライダー=Light Detection And Ranging)は自動車に詳しい方なら先刻ご承知の通り、主にレーザー光を使って先方路面の状況を判断し、とりわけ小さなものでも三次元で形状を把握する機能に優れる。

Advanced Driveは従来のセンシングシステムに加え、LiDAR(現時点では前方用のみ)とカメラで構成される
2020年3月に発表されたAppleのiPad Pro搭載の計測アプリにもLiDARが採用されている。立体的な計測を可能とするためだ。そもそもは軍事目的で開発された技術であるものの、すでに私たちの日常生活に定着しつつある。

Advanced Drive搭載のLS500hのフロントにはLiDARのセンサーが備わる
クルマにおけるデジタル技術は、さまざまな方向へと進化している。大きな柱は、パワートレインの電動化、車内外のユーザーエクスペリエンス機能、MaaS(Mobility as a Service)とも呼ばれるスマートデバイスと連繋したユーザーへの付帯サービス、そして運転支援システムだ。
バラバラに四本の柱が立っているのではなく、それらは近い将来、一つにまとめられていくだろう。例えば米国では、ゼネラルモーターズ(GM)はいち早く1996年に、自社の衛星通信システムを活用する子会社「オンスター(OnStar Corporation)」を設立。
現在は、この通信システムを使って手放し運転ができる「スーパークルーズ Super Cruise」なる機能を、キャデラックを皮切りにシボレーやトラックブランドのGMCまで拡大中だ。
車載カメラがドライバーの目線を追っていて、その眼が前方から離れない限り(つまりいつでも運転に復帰する準備ができているとシステムが判断している限り)手放しでのドライブを可能とする。
当初は、フリーウェイに限り、かつ、GMの担当者が実際に走ってお墨付きを与えた区間でのみ使えるシステムだったものの、まもなく一般道へと範囲を拡げる予定だとか。
車載カメラがドライバーの目線を追っていて、その眼が前方から離れない限り(つまりいつでも運転に復帰する準備ができているとシステムが判断している限り)手放しでのドライブを可能とする。
当初は、フリーウェイに限り、かつ、GMの担当者が実際に走ってお墨付きを与えた区間でのみ使えるシステムだったものの、まもなく一般道へと範囲を拡げる予定だとか。
ただし、筆者が体験した2018年の時点では、ニューヨーク州は法律で手放し運転を禁じていたため、キャデラックの本社広報は、試乗のために、特別の許可を取ってくれていた。ちなみに、このシステムは、北米や中国(!)で使える一方、日本では許可されないということだった。
このように、技術が進んでも、通信環境や法整備など、越えるべきハードルは少なくない。トヨタも、ある時期は、2020年をめどに高度な自動運転技術(いわゆるレベル3=特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態)を製品化するとみられていた。
このように、技術が進んでも、通信環境や法整備など、越えるべきハードルは少なくない。トヨタも、ある時期は、2020年をめどに高度な自動運転技術(いわゆるレベル3=特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態)を製品化するとみられていた。
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