Lifestyle
公開日: 2022.07.12
デジタルで「運転する楽しさ」を追求する、マセラティの矜持
昨今、クルマを語るとき、デジタライゼーションなる言葉が広く使われる。“デジタル”というと自動運転やEVといった新しい時代を意味していることが多く、「運転の楽しさ」はその対極、という感がなきにしもあらずなのだ。

運転の楽しさには、しかし、デジタル技術が欠かせない。2つは手に手を取るようにして、自動車を進化させている。例えば、マセラティ。同社は2019年に「Innovation Lab(イノベーションラボ)」を設立。最新のコンピューター解析技術でもって、運転して楽しいクルマの開発に余念がない。

マセラティ「イノベーションラボ」ではさまざまなシミュレーションが行われる
マセラティといえば、多くの人が知っている名前。戦前からレースで名声を確立し、戦後はハリウッドなど北米の富裕層向けのGTを成功させ、独自の立ち位置を確立した。
1960年代までは「スポーツカー」とはレースにも出られる車両を意味し、それに対して、ドライビングも楽しめる快適志向のスポーツカーをGTと分類することもあった。マセラティは後者の代表格だ。
そのマセラティが、ここにきて、大きな転機を迎えている。2020年、同社は「MMXX」(ローマ数字で2020の意)なるスローガンを掲げ、この年をターニングポイントとして、新しい時代へと向けたクルマづくりをすると謳いあげた。
その証左のひとつが、2020年に発表されたスポーツ志向の強いGTの「MC20」。軽量で高剛性だが高価な炭素素材のシャシーとともに、フォーミュラ1由来の技術をエンジンに採用した。
マセラティが行ったのは、副燃焼室とツインスパークプラグからなる「プリチャンバー・イグニション」に「Nettune(ネットゥーノ)」なる名前を与え、新しいV型6気筒エンジンに搭載したこと。
「燃焼効率からいえばものすごく効果があることはわかっていましたが、量産車に使うにはコストや耐久性など、ハードルがいくつもあって踏み切れない。それをマセラティがやってのけたのには驚きました」
筆者が話を聞いた日本の自動車メーカーの技術者は、手放しで、といった感じで、MC20とグレカーレというSUVに搭載された「ネットゥーノ」エンジンを称賛していた。
1960年代までは「スポーツカー」とはレースにも出られる車両を意味し、それに対して、ドライビングも楽しめる快適志向のスポーツカーをGTと分類することもあった。マセラティは後者の代表格だ。
そのマセラティが、ここにきて、大きな転機を迎えている。2020年、同社は「MMXX」(ローマ数字で2020の意)なるスローガンを掲げ、この年をターニングポイントとして、新しい時代へと向けたクルマづくりをすると謳いあげた。
その証左のひとつが、2020年に発表されたスポーツ志向の強いGTの「MC20」。軽量で高剛性だが高価な炭素素材のシャシーとともに、フォーミュラ1由来の技術をエンジンに採用した。
マセラティが行ったのは、副燃焼室とツインスパークプラグからなる「プリチャンバー・イグニション」に「Nettune(ネットゥーノ)」なる名前を与え、新しいV型6気筒エンジンに搭載したこと。
「燃焼効率からいえばものすごく効果があることはわかっていましたが、量産車に使うにはコストや耐久性など、ハードルがいくつもあって踏み切れない。それをマセラティがやってのけたのには驚きました」
筆者が話を聞いた日本の自動車メーカーの技術者は、手放しで、といった感じで、MC20とグレカーレというSUVに搭載された「ネットゥーノ」エンジンを称賛していた。

高度な設計のV6エンジンを搭載したSUV「グレカーレ」
なぜそこまでするのか。「(高性能モデルと新技術によって)マセラティは過去の栄光を取り戻すのです」。マセラティを率いるダビデ・グラッソCEOの言葉だ。高度な設計技術によって実現したエンジンだけでない。操縦性もまた重要だと言う。
これらを実現するのに必要なのは、最新の設計と開発の技術と生産設備。マセラティでは2019年に新たに研究開発施設のひとつとして、先述の「イノベーションラボ」を立ち上げた。MC20は、その成果のひとつだという。
筆者は「イノベーションラボ」を2022年5月に訪れた。
これらを実現するのに必要なのは、最新の設計と開発の技術と生産設備。マセラティでは2019年に新たに研究開発施設のひとつとして、先述の「イノベーションラボ」を立ち上げた。MC20は、その成果のひとつだという。
筆者は「イノベーションラボ」を2022年5月に訪れた。
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