Lifestyle
公開日: 2019.04.01
胃酸で発電しながら、さり気なく体温を測る「飲む体温計」
飲み込んだチップで体内の温度を測定するという新発想。一歩進んだ健康管理へ。

飲む体温計の試作品(画像提供:東北大学)
手軽に自らの体調を知る方法の一つに体温測定がある。女性は特に、毎朝「基礎体温」の測定を日課にしている人もいるだろう。体温の変化から、おおまかな体調の変化を推測でき、病気の発見につながることもある。
ただ、市販の体温計では環境要因に左右されやすい「体表の温度」しか測定できず、誤差が大きい。健康状態(体内の生命維持活動)を示す基礎体温は、眠っている時に近い安静状態で測ることが前提で、目覚めたら布団から出ずに舌下や脇下で測定するのが基本とされている。筆者も測定を日課にしようと試みたことがあるが、忘れてしまうことや測定中に二度寝してしまうことが多くて止めてしまった。
一方で、内臓や脳のような主要臓器の温度である「深部体温」の変化を観察すると、より多くの体調変化を把握できるとされている。深部体温は本来、1日の中で規則正しく変動するのだが、このリズム(体内時計)が乱れると、例えばうつ病や認知症といった病気にかかるリスクが高まるという。また、深部体温を常時モニタリングできれば、現場作業時に熱中症の予兆を検知したり、冬山で低体温症になるのを防いだりすることができる。女性の排卵周期もより正確に把握できるようになる。さらにスポーツや学業の成績にも、深部体温が関係するといった指摘もある。
深部体温の測定は、現状では肛門に温度計を挿入して直腸温を測定する方法が正確かつ比較的容易とされている。とはいえ、これを日常生活に取り入れるのは難しい。欧米では、飲み込むタイプの体温計が実用化されているが、小型電池を搭載しているので機器が大きい。万が一、体内で電池が露出した場合は臓器を損傷する恐れもある。体外へ排出された後も、電池があるためトイレには流せない。このような課題やリスクがあるため、日本では認可されていない。
そこで東北大学の研究グループは、一般的な電池を使わず、胃酸で発電する「飲む体温計」の開発に数年前から取り組んでいる。2019年3月13日、動物適用実験に成功したことを発表した。試作したセンサー(飲む体温計)は直径約9mm、厚さ約7mmの錠剤サイズのため、滞留なく体外に排出されることが期待できるとする。
ただ、市販の体温計では環境要因に左右されやすい「体表の温度」しか測定できず、誤差が大きい。健康状態(体内の生命維持活動)を示す基礎体温は、眠っている時に近い安静状態で測ることが前提で、目覚めたら布団から出ずに舌下や脇下で測定するのが基本とされている。筆者も測定を日課にしようと試みたことがあるが、忘れてしまうことや測定中に二度寝してしまうことが多くて止めてしまった。
一方で、内臓や脳のような主要臓器の温度である「深部体温」の変化を観察すると、より多くの体調変化を把握できるとされている。深部体温は本来、1日の中で規則正しく変動するのだが、このリズム(体内時計)が乱れると、例えばうつ病や認知症といった病気にかかるリスクが高まるという。また、深部体温を常時モニタリングできれば、現場作業時に熱中症の予兆を検知したり、冬山で低体温症になるのを防いだりすることができる。女性の排卵周期もより正確に把握できるようになる。さらにスポーツや学業の成績にも、深部体温が関係するといった指摘もある。
深部体温の測定は、現状では肛門に温度計を挿入して直腸温を測定する方法が正確かつ比較的容易とされている。とはいえ、これを日常生活に取り入れるのは難しい。欧米では、飲み込むタイプの体温計が実用化されているが、小型電池を搭載しているので機器が大きい。万が一、体内で電池が露出した場合は臓器を損傷する恐れもある。体外へ排出された後も、電池があるためトイレには流せない。このような課題やリスクがあるため、日本では認可されていない。
そこで東北大学の研究グループは、一般的な電池を使わず、胃酸で発電する「飲む体温計」の開発に数年前から取り組んでいる。2019年3月13日、動物適用実験に成功したことを発表した。試作したセンサー(飲む体温計)は直径約9mm、厚さ約7mmの錠剤サイズのため、滞留なく体外に排出されることが期待できるとする。

【写真左】試作したセンサー(飲む体温計)と一円玉の比較。【写真右】センサーの断面概略図(出所:東北大学)
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