Lifestyle
公開日: 2023.07.05
デジタル体験やバーチャル試乗も ボルボのクルマを売らないショールーム
デジタル技術が、自動車のショールームを変えようとしている。ボルボ・カー・ジャパンが2023年4月にオープンした「Volvo Studio Tokyo」はその好例だ。

このスタジオは「EV(電気自動車)に特化した全く新しいブランド発信拠点」(ボルボ・カー・ジャパン)として、東京・北青山のいわば一等地に、491平米と広い面積を占めている。

クルマ販売店のイメージを払拭し、誰でも気軽に入ってデジタル体験ができることをねらったという
ユニークなのは、「デジタルネイティブ世代と言われる若年層のお客様にとっても垣根を低く」したという、ここのコンセプト。
「デジタル体験を通じて、ボルボが培ってきた“セーフティ”と“サステナビリティ”に対するイノベーティブな価値と発想を知っていただき」たいとは、プレスリリースの文言。
歩道に面する建物は全面ガラス張り。中には、北欧家具が並べられていて、ふらりと立ち寄った人には、無料でコーヒーや水が振る舞われる。販売員はおらず、待ち合わせ場所に使う人もいる。
一見、デジタル体験と無関係のような内装だが、入口で自分のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすると、言ってみれば、見えない世界の入口が開く。
ショールーム内のいくつかの場所に(最初はイースターのときの卵探しのように)マーカーと呼ばれるチップが置かれている。それを画面で読み取ると、さまざまなコンテンツが展開するのだ。
例えば、テーブルに置かれたマーカーを読み込むと、「フィーカ」と呼ばれる、英国でいえばアフタヌーンティーのように、コーヒーとスイーツを楽しむ“おいしい”食習慣がバーチャルで紹介される。
「デジタル体験を通じて、ボルボが培ってきた“セーフティ”と“サステナビリティ”に対するイノベーティブな価値と発想を知っていただき」たいとは、プレスリリースの文言。
歩道に面する建物は全面ガラス張り。中には、北欧家具が並べられていて、ふらりと立ち寄った人には、無料でコーヒーや水が振る舞われる。販売員はおらず、待ち合わせ場所に使う人もいる。
一見、デジタル体験と無関係のような内装だが、入口で自分のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすると、言ってみれば、見えない世界の入口が開く。
ショールーム内のいくつかの場所に(最初はイースターのときの卵探しのように)マーカーと呼ばれるチップが置かれている。それを画面で読み取ると、さまざまなコンテンツが展開するのだ。
例えば、テーブルに置かれたマーカーを読み込むと、「フィーカ」と呼ばれる、英国でいえばアフタヌーンティーのように、コーヒーとスイーツを楽しむ“おいしい”食習慣がバーチャルで紹介される。

「フィーカ」というスウェーデンの食文化も理解できる(残念ながらスイーツの提供はなし)
キャンプの風景も観られる。「アッレマンスレッテン(Allemansrätten)」という法律で、スウェーデンではほとんどどこでも(私有地でも)ハイキングやキャンプなどをしてもいいことになっている。
誰でも自然を自由に使えるために、法整備がされているのがユニーク。それこそ文化だなあと感心させられるデジタル体験で、これはふらりと訪れた女性客にも特に評判がよい模様。
誰でも自然を自由に使えるために、法整備がされているのがユニーク。それこそ文化だなあと感心させられるデジタル体験で、これはふらりと訪れた女性客にも特に評判がよい模様。

施設内の「マーカー」を読み取るとバーチャルな風景が自分のスマートフォンの画面に展開
ボルボの歴史やブランドストーリーを紐解くデジタルコンテンツ、ARで出現するサステナビリティを学ぶためのトリビアクイズ、ボルボ車に搭載のGoogleアシスタントの体験もある。
最新のボルボ車は、Googleアシスタント搭載。いわゆるスマートホーム機器と、クルマとがつながっている。
展示車両に乗りこんで、「OK、グーグル、灯りをつけて」などと発語すると、離れたところに設置されているランプがオンになる。
展示車に乗り込み、そこでマーカーを読み込むと、眼前の大スクリーン(ウインドシールド越しの走行風景として)にストックホルムの街が展開。そこを駆け抜けるEV走行のバーチャルドライブだ。
最新のボルボ車は、Googleアシスタント搭載。いわゆるスマートホーム機器と、クルマとがつながっている。
展示車両に乗りこんで、「OK、グーグル、灯りをつけて」などと発語すると、離れたところに設置されているランプがオンになる。
展示車に乗り込み、そこでマーカーを読み込むと、眼前の大スクリーン(ウインドシールド越しの走行風景として)にストックホルムの街が展開。そこを駆け抜けるEV走行のバーチャルドライブだ。

左下に置かれているのがスマート機器。右の展示車両内から音声でオンオフの操作ができるデモンストレーション
クルマも揺れて、まさに臨場感抜群。「実際に日本から撮影クルーを派遣して撮影しました」と、ボルボ・カー・ジャパンで企業広報を担当する赤堀 淳氏は教えてくれた。

クルマに乗りこむとバーチャルなドライビング体験ができる
2023年初頭まで、表参道交差点寄りに「Volvo Studio Aoyama」があり、そこではハンディカメラで展示車の詳細を見せてくれたり、バーチャルショールームの先駆的存在だった。
そのコンセプトをさらに進めたのが、この「Volvo Studio Tokyo」なのだ。
クルマを販売しないのもユニークな点。上記のように、EX90と、まもなく発表が予定されている小型EVのEX30と、電動化を急ピッチで進めるボルボのEV的世界の紹介が目的というのも注目点。
もちろん、実車に触れることもできる。建物の一部では高いアンペア数の急速充電器を備えたパーキングがあり、そこにはXC40 RechargeとC40 RechargeというEVの試乗ができる。
そのコンセプトをさらに進めたのが、この「Volvo Studio Tokyo」なのだ。
クルマを販売しないのもユニークな点。上記のように、EX90と、まもなく発表が予定されている小型EVのEX30と、電動化を急ピッチで進めるボルボのEV的世界の紹介が目的というのも注目点。
もちろん、実車に触れることもできる。建物の一部では高いアンペア数の急速充電器を備えたパーキングがあり、そこにはXC40 RechargeとC40 RechargeというEVの試乗ができる。

ボルボのBEV(バッテリー駆動のピュアEV)の試乗もできる
最長90分のドライブが可能といい、もちろん、このときはバーチャルでなく、東京の街を実際に走れる。そして最新のボルボのEVを体験できる。
「デジタル体験からEV走行まで、全てをシームレスにつなげているのが、このショールームのありかたです」
前出の赤堀氏による解説だ。
「Volvo Studioは、現在、ストックホルム、ニューヨークシティ、上海、ワルシャワ、ミラノといった都市で展開中ですが、ここまでEVに振り切ったコンテンツは東京だけのものです」
「デジタル体験からEV走行まで、全てをシームレスにつなげているのが、このショールームのありかたです」
前出の赤堀氏による解説だ。
「Volvo Studioは、現在、ストックホルム、ニューヨークシティ、上海、ワルシャワ、ミラノといった都市で展開中ですが、ここまでEVに振り切ったコンテンツは東京だけのものです」

ここでのデジタルコンテンツはほぼ日本法人独自が手がけたもの
「2040年までにクライメートニュートラル(気候中立)な企業になることを目指すボルボ・カーズは、2025年にグローバルでEV販売の割合を 50パーセントまで伸ばし」ていくことを目指すそう(プレスリリースより引用)。
2030年までにグローバルで販売する全ての新車をEV化するのがボルボの目標。楽しいデジタル体験によって“地ならし”をしていく努力にも感心させられる「Volvo Studio Tokyo」なのだ。
【施設概要】
東京都港区南青山 3-1-34 「3rd MINAMI AOYAMA」1F
営業時間 :月~金 12:00-19:00、土日祝日 10:00-19:00
定休日 毎週水曜日、第1・第3火曜日
施設URL https://www.volvocars.com/jp/studios/tokyo/
Photo/ボルボ・カー・ジャパン提供
Text/小川フミオ
2030年までにグローバルで販売する全ての新車をEV化するのがボルボの目標。楽しいデジタル体験によって“地ならし”をしていく努力にも感心させられる「Volvo Studio Tokyo」なのだ。
【施設概要】
東京都港区南青山 3-1-34 「3rd MINAMI AOYAMA」1F
営業時間 :月~金 12:00-19:00、土日祝日 10:00-19:00
定休日 毎週水曜日、第1・第3火曜日
施設URL https://www.volvocars.com/jp/studios/tokyo/
Photo/ボルボ・カー・ジャパン提供
Text/小川フミオ
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