Lifestyle
2018.09.11
競技と調査を両立 “世界で最も過酷”なヨットレースの舞台裏
多くの企業がプラスチックストローの使用禁止を表明した。海のデータを見れば理由がわかる。

風力だけで進むヨット競技では、「世界最大のセーリングレース」と呼ばれるトップクラスの大会が3つある。オリンピック、アメリカズカップ、そして今回紹介する「ボルボ・オーシャンレース」だ。風を読み、波を読んで競い会っている様子を観るのがセーリングの醍醐味で、現代のヨットには数多くの電子機器が搭載されてもいる。艇内はデジタルテクノロジーの博覧会といった様相だ。
筆者は2018年のレースを香港で観戦する機会を得た。艇内の機材の数たるや宇宙船(ちょっとおおげさ?)という趣である。ボルボ・オーシャンレースは世界3大セーリングレースの中でも、「世界で最も長く、最も苛酷なスポーツイベント」とされる。元オリンピックの金メダリストなど世界屈指のヨットマンが集まり、時計まわりに世界の海を航行してタイムを競うのだ。
「ボルボ65」という全長65フィートの専用艇は、可動式キール(船の構造部材)を備えるなど高機能艇である。加えてデジタル装備も充実している。航行ルートの計算、陸地とのコミュニケーション、それにクルーの安全確保などは、デジタルテクノロジーあってこそ。艇には、インマーサットのセイリング用衛星通信モジュールも完備されている。
筆者は2018年のレースを香港で観戦する機会を得た。艇内の機材の数たるや宇宙船(ちょっとおおげさ?)という趣である。ボルボ・オーシャンレースは世界3大セーリングレースの中でも、「世界で最も長く、最も苛酷なスポーツイベント」とされる。元オリンピックの金メダリストなど世界屈指のヨットマンが集まり、時計まわりに世界の海を航行してタイムを競うのだ。
「ボルボ65」という全長65フィートの専用艇は、可動式キール(船の構造部材)を備えるなど高機能艇である。加えてデジタル装備も充実している。航行ルートの計算、陸地とのコミュニケーション、それにクルーの安全確保などは、デジタルテクノロジーあってこそ。艇には、インマーサットのセイリング用衛星通信モジュールも完備されている。

衛星ナビゲーションなど高度な技術を使って海洋調査(写真=Volvo Ocean Race)
もう一つ興味を惹かれたのは、デジタルテクノロジーを駆使した環境への取り組みだ。参加したチームのうち1艇は「ターン・ザ・タイド・オン・プラスチック(Turn The Tide On Plastic)」と名づけられている。このレースの醍醐味は湾内ではなく外洋でのレースにあって、それはビデオでしか観られないけれど、かなり苛酷そうだった。そして筆者がレースとともに面白いと思ったのが、そのターン・ザ・タイド・オン・プラスチックだ。
レースに参加しながら汚染調査
ターン・ザ・タイド・オン・プラスチックは、もちろんレースにも参加しているのだが、同時に国連の「クリーンシーズ(Clean Seas)」というプラスチックによる海洋汚染防止キャンペーンに協力している。焦点は最近ニュースなどで取り上げられる機会が増えたマイクロプラスチック(マイクロビーズとも)。微少な粒子であり、サンゴなどはエサと間違えて摂取し、衰弱死したり繁殖に悪影響が出ることが報告されたりしている。しかも影響範囲はサンゴに限らない。海洋投棄されたプラスチックが微少な粒子へと分解された後、海洋生物からそれを摂食する生物に至るまで、その影響は食物体系全体に負の連鎖として広がりかねないと、懸念されていている。

世界各地でマイクロプラスチックによる汚染度合を調べる「ボルボ・オーシャンレース」参加艇のクルー(写真=Volvo Ocean Race)

特殊なポッドで海水を採取してマイクロプラスチックの量を調べる(写真=Volvo Ocean Race)
今期のレースの途中、セーリングレースの寄港地である米西海岸ニューポートで開催された「ボルボ・オーシャンレース・オーシャンサミット」の会場において、ターン・ザ・タイド・オン・プラスチック号が集めたデータが一部公開された。その中でも、海洋で陸地から離れた地点といわれる「ポイント・ネモ」で収集したデータは衝撃的だったという。
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