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Business 公開日: 2019.02.04

会社員の7割が睡眠に不満、「睡眠テクノロジー」で解消へ

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思いのほか深刻で企業全体の生産性に影響しかねない、従業員の睡眠不足。デジタル技術でどう解決する?

「午後どうしても仕事中に眠くなる」「思わず会議中に居眠りをしてしまう」――こんな悩みを抱えている人は、案外多くいるのではないだろうか。

 この「睡眠課題」を解消するテクノロジー・サービスが、この春に登場する。睡眠改善をテーマに据えたベンチャー企業、ニューロスペースによる「睡眠改善プログラム」だ。2019年4月に提供開始予定の企業向けのコンサルティングサービスで、最大の特徴は専用の睡眠計測デバイスとスマートフォン用アプリを組み合わせて、従業員に個別のアドバイスを提供するところにある。

 導入プロセスは現状把握から始まる。ニューロスペースによるヒアリングやアンケート調査などを通じて、従業員の睡眠状況の全体像を把握する。さらには、同社が用意する睡眠計測デバイスで、従業員の睡眠状況をデータとして取得。ニューロスペース側のサーバーで解析した上で、アプリを通じて各従業員に合わせた個別の睡眠アドバイスを提示する。また企業組織に対してその実態や課題に応じたコンサルティングや研修を提供する。ニューロスペースは60社のべ1万人以上の睡眠に関するデータを取得しており、これをプログラムに反映させるという。

 ニューロスペースは以前から、企業に対して従業員の睡眠状況の調査やコンサルティング、研修サービスなどを提供してきた。4月に始める睡眠改善プログラムでは、デジタル機器を加えることで、個々の従業員の事情に合わせたアドバイスまでを手がける。例えば、睡眠のパターンから日中眠気が発生しやすい時間帯を予測した上で仮眠を提案する、子供の夜泣きで夜中に起こされる傾向がある従業員に対しては最初の3時間における睡眠の質を上げる提案をする、シフト勤務の状況を考慮した睡眠方法を提案する、といった具合である。

 「研修では全般的なノウハウはお伝えできるが、個別の事情を考慮したアドバイスはできなかった。4月からのプログラムでは個々の従業員の事情を考慮した、具体性のあるアドバイスに踏み込める」(ニューロスペース広報)。

 なお同社は2018年に、吉野家、KDDI、東京電力エナジーパートナー、三井物産の4社のべ100人に対して同プログラムの実証実験を実施しており、平均睡眠時間の30分以上の増加という結果を得たという。睡眠改善プログラムは既にロート製薬とフジクラが採用を決定済み。
睡眠改善プログラムの全体像
組織と個人両方へのアプローチで睡眠の改善を試みる。アンケートを通じた全体像の把握、計測デバイスとスマホアプリによる個人の睡眠データ取得、ニューロスペースが保有する過去データを組み合わせた分析、アプリを通じて個々人に提示する睡眠改善提案、企業組織に対するアドバイス、といった要素で構成する。(出所:ニューロスペース)
睡眠計測デバイスは、イスラエルのベンチャー企業であるEarlySenseが開発した製品で、ベッドのマットの下などに入れて使用する。圧力センサーを搭載しており、寝つくまでの時間、中途覚醒の時間とその回数、ノンレム睡眠・レム睡眠といった睡眠ステージを精緻に解析できる点が特徴である。そこから睡眠の質を総合的に判定し、スマートフォンのアプリを通じてアドバイスを提示する。スマートフォンとはBluetoothを通じて接続する。
睡眠改善プログラムで導入する睡眠計測デバイス
(出所:ニューロスペース)
スマホアプリの利用イメージ
(出所:ニューロスペース)
 プログラムの実施期間は基本3カ月。「3カ月の間に行動様式や習慣を変えて睡眠を改善し、最後には“卒業”していただく」(ニューロスペース広報)というイメージである。

従業員の睡眠課題は経営課題

 ニューロスペースは会社員の睡眠課題に関するアンケート調査も実施しており、2019年1月に発表した。調査結果によれば「会社員の7割以上が睡眠に不満」という現状がある。

 調査結果の見どころは下記の通り。調査対象は都内日勤企業を中心にした会社員約500人、調査期間は2018年7月~12月。

・回答者の7割以上が睡眠に不満
・自身が理想と考える睡眠時間は平均7.37時間。一方、実際の睡眠時間は6.18時間と、1.2時間少ない。
・睡眠を妨げる要素のトップ3は、「仕事による帰宅の遅さ」が33%、「ベッドでのスマホ」が21%、「通勤時間」が18%。
・仕事中に眠気を感じるかという問いに対しては、「毎日」が15%、「週に3回以上」が14%と合計約3割を占める。
・眠気を感じる時間帯として一番多いのは「13時~14時」と「14時~15時」。
・回答者の約6割が眠気により「業務効率の低下」という影響があると回答。
・約半数の回答者が「仮眠をとるのは不可能」としている。
・性別対比でみると、女性のほうが睡眠に関する課題や不満を抱えている。
 
就寝時刻を早める、休日も定時に起床し朝日を浴びて睡眠のリズムを整えるといった根本的な睡眠改善と合わせて、職場での仮眠も効果があるという。「調査からは勤務時間中における仮眠はハードルが高い現状が読み取れるが、適切な仮眠は眠気を解消し集中力を高める。これは実証実験でも明らかになっている。仮眠を戦略的な手段として推奨する企業がもっと増えていくことが望ましい」(ニューロスペース広報)。


高下 義弘


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.

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