※ 上の写真はヨーロッパシティの全体像

 ネットを通じて買い物をすることが当たり前になっているミレニアル世代以降の台頭で、リアル店舗の役割が大きく変わり始めた。「すぐに買わなくてもいいものはネットで買えばいい」。そう考える消費者たちは、代わりにリアル店舗に対してネットショップでは経験できない「特別な体験」を当然のように求める。この傾向はミレニアル世代以下の年代に特に顕著で、地域によらず全世界で共通した動きとなっている。小売業界はこうした層を「UX世代」と定義。今、彼らのニーズに応えるため、全世界で小売店舗やショッピングセンターのテーマパーク化が急速に進んでいる。

最終目的地になるショッピングセンターに

 生き残るリアル店舗は2種類ある。一つは、消費者が欲しいと思ってから商品を入手するまでの時間と労力を、徹底して圧縮できる店。そしてもう一つは、そこに行くこと自体がレジャーの目的となる「デスティネーション」となれる場所。この二極化が一層加速していく――。


 欧米最大のショッピングセンター・デベロッパーであるウニベイル・ロダムコ・ウェストフィールドのクリストフ・キュビリエCEOは、2018年11月に開催された小売業向け展示会「MAPIC」のキーノートスピーチの中で、ショッピングセンターの「デスティネーション化」を強力に推進していくと話した。念頭にあるのは、UX世代の台頭である。人気ブランドや有名シェフのレストランをセンターに誘致するだけでは、観光地としてそこを目指してもらうだけの顧客吸引力を作りきれない、という現実がある。


 欧州、中国、そして米国と、世界中のデベロッパー、小売店が集まるMAPICでは、いかにUX世代を取り込んでいくのかに話題が集中した。


 多くのショッピングセンターや小売店はどのようにしてUX世代に訴えかけられるだけの、新しい吸引力を生み出そうとしているのか。その一つが、世界の著名建築家とタッグを組むなどして、その地域のランドマークとなるような強いイメージと風景を生み出す建築物を作ること。そして、その施設の特徴を生かしつつ、デジタル技術も駆使しながら「そこでしかできない体験」を創造することだ。

食材からコンテンツまでを「内製化」

 2024年、フランスのシャルル・ド・ゴール空港から地下鉄で7分という場所に、総工費31億ユーロ、年間3000万人の来場者を見込む一大商業施設「ヨーロッパシティ」が完成する。このセンターがターゲットにするのが「まさにUX世代」(ヨーロッパシティのブノワ・チャンCEO)だという。


2018年末に開催されたショッピングセンター業界向けトレードショー「MAPIC」で講演をするヨーロッパシティのブノワ・チャンCEO
ヨーロッパシティの全体プラン

本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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