「あなたの食生活に野菜は足りていますか?」 その答えを手のひらが教えてくれるシステムを、カゴメとドイツのBiozoom servicesが共同開発した。センサーに手のひらを乗せて数十秒待つと、皮膚のカロテノイドレベルを測定して野菜摂取量の充足度を推定できるという。カゴメは、このシステムを使い、2019年夏以降にサービスを開始する意向だ。


 カゴメといえば野菜。こちらが「デジタリスト」と名乗れば「ベジタリスト」と聞き間違えるくらい野菜が中心にある。これまで、野菜ジュースやトマトケチャップなど製品(モノ)の販売を中心に事業を行ってきたが、2018年10月にはトップ直轄部門として「健康事業部」を新設するなど、最近は野菜の摂取を通じて健康増進をサポートするサービス(コト)の開発・提供にも注力している。


 Biozoomは、皮膚や血液中のバイオマーカーといった生体情報を非侵襲で測定する際に用いる光学機器を開発している企業で、独自の光学的センシング技術を持つ。今回のシステムで使用するセンサーも同社の製品で、皮膚にLEDを照射して光の反射や変化を細かく読み取り、カロテノイドレベルを測定する。カロテノイドは動植物に広く存在する黄色や赤色の色素。トマトに含まれるリコピンや、人参に含まれるカロテンなどもカロテノイドの一つだ。


 新サービスの開発にあたって、カゴメは従業員1100人を対象に、毎日の食事内容や野菜摂取量を調べ、カロテノイドレベルを測定した。このデータをBiozoomとともに分析し、野菜摂取量の充足度を推定するアルゴリズムを導出した。


開発中のシステムイメージ(画像提供:カゴメ)※写真にある「VITALITY CHECK」はBiozoomが提供している別のサービス名称で、今回の新システムとは無関係。

 野菜の摂取は、各種疾病の予防につながるとされ、厚生労働省が推進する健康作り運動「健康日本21」では、健康増進の観点から1日350g以上の野菜を食べることを目標としている。しかし、厚生労働省が2017年に発表した「国民健康・栄養調査報告」によると、20歳以上の平均的な野菜摂取量は約288gで、60g程度足りない。また、カゴメが2018年7月に実施した「野菜不足になりがちな要因」の調査では、朝食の品目数や、栄養バランスへの意識、野菜の価格、調理の手間、野菜の好き嫌いが要因として見つかった。


 今回のシステムを開発した狙いは、利用者に “気づき” を与えること。健康経営を推進している企業や、住民の健康増進に力を入れる自治体を対象に提供していくことを考えている。利用者が野菜摂取量の充足度を簡単に把握できるようになれば、食事に対する意識の変化を期待できる。カゴメは、野菜を上手に摂取できるレシピを提供したり、セミナーを開催したりすることで、人々の健康をサポートしていく。健康診断の現場における食事指導なども視野に入れる。ただし、健康や栄養素ばかりを意識して、特定野菜の摂取を強く促すような提案はしない。やはり食事は、好きなものを、美味しく、楽しく食べることが大切だからだ。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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