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Business 公開日: 2019.03.12

【欧米デジタル化事情】 新たな潮流「空港で、家庭で、オフィスでフィットネス」

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ビジネスの隙間時間を生かしてリフレッシュ!意外な場所に広がるフィットネスとデジタル。

 出張、特に海外出張の多いビジネスパーソンは、飛行機の窮屈なエコノミークラスでの移動に辟易しているのではないか。そんな方々に向けた、新しいサービスが広がりつつある。移動時などに生じる空き時間を有効活用してリフレッシュできる、フィットネスだ。

 例えば出張前。直前にネット予約し、空港のセキュリティゲートを通過したあと、搭乗時間になるまでの間、フィットネスで一汗流す。あるいは目的地に到着後、空港内でマッサージやシャワーでリフレッシュする。いわゆるウェルネス・ツーリズムの一種である。

 ウェルネス・ツーリズムとは、心と体の健康向上を主眼とした旅行/観光である。グローバル・ウェルネス・インスティチュートによると、ウェルネス・ツーリズムの市場は2017年時点で6394億ドル(約70兆円)に達し、2015年から2017年まで年間6.5%で成長している。(参考資料
世界のウェルネス・エコノミー市場(出所:Global Wellness Institute)
 成長するウェルネス・ツーリズムの中で、米国メリーランド州のROAM Fitnessは、観光地ではなく、飛行機を使う出張者をターゲットとし、マッサージよりもアクティブな、フィットネスを提供している。特徴は、ROAMのフィットネスは空港のセキュリティゲートの向こう側にあること。入国審査、セキュリティチェックを済ませた後なので、あとは飛行機に乗るだけ、時間も計算しやすい。タオルはもちろん、フィットネスのウエアと靴も貸し出してくれる(購入も可能)。トレッドミル、エアロバイクなどのフィットネスマシン、ヨガができるストレッチ用スペースがあるほか、シャワールームではAmazon Alexaを通じて音楽ストリーミングを楽しんだり、到着地の天気をチェックしたりできる。料金は1日利用で25ドル、年間のメンバーシップは月30ドルである。
ROAM Fitnessのジム(ROAMのWebサイトより)
ROAM Fitnessのシャワー(ROAMのWebサイトより)
 ROAMは2017年2月にボルチモア-ワシントン国際空港に1号店をオープンした。2019年中にはサンフランシスコ国際空港、ニューヨークのJFK国際空港にオープン予定で、5年間で20店程度オープンしたいとしている。

 一方、サンフランシスコのTONALは、家庭やオフィスの限られたスペースで利用できるインテリジェントなフィットネス(ウェイトリフティング)・システムを開発している。特徴は、電磁気力を使ってウェイトを調整する仕組み(デジタル・コントロール・ウェイト)と、バーチャル・パーソナル・トレーナーである。
 まず、電磁気力を使っているため、ソフトウエアで細かく重さを制御できる。大きく重いウェイトは必要ないため安全で、かつ場所も節約できる。最大90kgまで負荷をかけることができる。TONALは2メートル四方の場所を推奨しており、小さなオフィスでも使用可能だ。

 バーチャル・パーソナル・トレーナーは、壁にかけるディスプレイに表示される。利用者は最初に複数のトレーナーの中から、自分の目的や嗜好に合わせてトレーナーを選ぶ。トレーナーは、パーソナライズされたトレーニング・メニューを提供してくれる。家にいながらにして、ジムとパーソナル・トレーナーを手にできるというわけだ。パーソナル・トレーナーを利用する場合は、月額サービス料を支払う。最初に利用するときは10分程度のトライアルがあり、上半身、下半身の強さを点数付けしてくれる。複数人のアカウントを作成でき、家族やオフィスの従業員で共有することもできる。

 ニューヨークに本拠を置くMirrorも、ウェルネスの新サービスを展開しようとしているスタートアップだ。Mirrorのサービスはオンデマンド・フィットネスで、サービスにはスピーカー、カメラ、マイク、大型ディスプレイを使う。スマートフォンなどからの整体データをベースにプログラムを推奨してくれて,利用者はバーチャル・フィットネス・インストクターを見ながら、トレーニングする。ちなみに、TONALのようなウェイトリフティングの機能はない。

最も市場に受け入れられているのが、家庭で使えるエクササイズ・バイクのPelotonで、IPO(株式公開)の準備中である。ニューヨークに拠点を置くPelotonは創業以来、9億9400万ドル(約1000億円)の資金を調達、2018年8月時点で企業価値は41億ドル(約4500億円)に達している。売上高は2019年2月締めで7億ドル(約770億円)とみられる。

 提供するものは、エクササイズ・バイクと同社で作成したオリジナルのエクササイズ・プログラムの組み合わせ。創業以来、40万台以上を販売、2018年末にはトレッドミルの販売も開始した。家にいながらにして、ハイテクバイクで、一流のサイクリング・クラスを受けることができる。利用者のコミュニティもある。陸上のウサイン・ボルトやバージングループのリチャード・ブランソンもコミュニティの一員である。バイクは1995ドル(約22万円)、ライブ/オンデマンドのクラスの月の受講料は39ドル(約4400円)かかるが、利用者数は伸びている。人気のインストラクターはインスタグラムで約20万人のフォロワーがいる。
Mirrorはオンデマンド・フィットネスを提供(MirrorのWebサイトより)

川口 洋二=Delta Pacific Partners CEO


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.

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