人口が過密している都市部では満員電車が続出。地方では交通手段が足りず、“移動弱者”が生まれている。これらの移動がスムーズになれば、人々が効率的に時間を使えることになり、経済にもいい影響が出てくるはずだ。


 そのモビリティの問題点を解決する一つの手段として考えられた、日本のサービスがある。車に乗りたい人と乗せたい人をつなぐモビリティプラットホーム「CREW」がそれ。UberやLyft、Grabといったオンデマンド配車サービスと、イメージはよく似ているものの、サービスのコンセプトは違う。CREWを展開しているAzitの共同創業者で、取締役CCOの須藤信一朗氏に話を聞いた。


「CREW」はどんなサービスなのでしょうか?


須藤 車に乗りたい人と、乗せたい人をつなぐモビリティプラットフォームです。クルマに乗りたい人が、迎えに来てほしい場所と行きたい場所を入力すると、CREWパートナー(ドライバー)がマイカーで迎えに来るというサービスです。乗車した人は、ガソリン代などの実費を払う他に、任意で謝礼を支払うこともできます。我々は、こういったスキームをすべて国土交通省に伝えた上でサービスを提供しています。


謝礼は0円でもいいんですか?


須藤 0円に設定することは可能です。運転した人と料金の交渉をするということではなく、運転した人のホスピタリティや思いやりに感謝して決めていただきます。この“任意の謝礼”が「CREW」のサービスのポイントです。「“おもてなし”と“ありがとう”の循環」と我々は呼んでいます。


オンデマンドの配車サービスでは、米国のUberや中国のDiDiといったものがあります。いわゆる「白タク」として扱われ、日本国内では本来のサービスは展開できていません。それに比べて、CREWについてはビジネスを展開できているのはなぜなのでしょうか。


須藤  理由は先ほどお話した、“任意の謝礼”にあります。CREWでは実費と謝礼のやり取りはありますが、いわゆる「運賃」の支払いがなく、国土交通省が定める平成30年3月30日付通達(国自338号)に沿った運営内容となっております(道路運送法第78条で規定される登録又は許可を要さない)。また、CREWの利用者(CREWライダー)には、CREWのドライバー(CREWパートナー)の運送行為への対価支払い義務はありません。だから、CREWのサービスは道路運送法の区分における旅客自動車運送事業には該当しません。


なるほど。ただそうなると、実費以外のお金のやり取りがなく、全くビジネスにならない可能性も考えられます。CREWのビジネスモデルはどのように考えたらよいでしょう?


 決済の内訳は、ガソリン代などの実費、任意の謝礼、そしてプラットフォーム手数料の3種類です。このプラットフォーム手数料が私たちにとっての収入で、プラットフォームの利用頻度が高まるほどビジネスが成長していきます。


サービスは、どこで提供されているのですか?


須藤 東京都内一部エリアと、地方で展開中です。都内は夜の8時~午前3時の間になります。「Local Mobility Project」として地方での展開に注力していて、2019年4月以降に鹿児島県の与論島でサービスをスタートします。また、長崎県の久賀島でも実証実験を行う予定です。


CREWパートナー(ドライバー)の審査はどのような内容なのでしょうか。


須藤 大きく分けて書類審査、面接、安心安全に関する講習会の3つのステップがあります。車好きや運転好きの方たちがすごく多いですね。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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