※ 上の写真はジャパンディスプレイが神谷コーポレーション湘南と共同開発した、コンシェルジュ機能付きミラーで全面を覆ったドア。(ジャパンディスプレイのニュースリリースより)

 調査会社のMarketsandMarketsによると、世界のスマートミラー市場は2018年時点で約28億2000万ドル(約3100億円)。市場としてはまだ小さいが、注目すべきはその成長性。5年後の2023年には、1.5倍以上の44億2000万ドル(約4860億円)にまで拡大するという。この成長の裏には、スマートミラーの進化がある。


 少し前のスマートミラーといえば録画機能やネット接続機能を備え、タッチパネル操作で情報端末としても活用できるといったことが特長だった。それが今では、AI(人工知能)やAR(拡張現実)機能を搭載し、小売業が目指す「次世代型店舗」の中心に位置するキーアイテムへと進化している。


 例えば、メガネショップのジンズが2019年1月、東京・上野のJR上野駅構内にオープンした次世代型新店舗「JINS BRAIN Lab.(ジンズ・ブレイン・ラボ)エキュート上野店」にも、スマートミラーが採用されている。「JINS BRAIN Lab.エキュート上野店」は、リアルとオンラインの利便性を融合させた「購入受付専門」の店舗。顧客が店内に設置されたスマートミラーに向かってメガネをかけると、「似合うか似合わないか」をAI(人工知能)が判定して、似合うメガネをリコメンドしてくれるというサービスを提供している。


 このユニークな顧客体験を実現するAIを活用した仕組みを、ジンズは独自開発している。約3000人のJINSスタッフが、膨大な情報から「メガネが似合うか似合わないか」を手作業で評価し、約30万件のデータとして蓄積。独自開発のAI「JINS BRAIN」に学習させた。そして、「JINS BRAIN」をスマートミラーに組み込んでいるのだ。


 AIが男性店員と女性店員の役割をし、顧客がメガネをかけて、スマートミラーに向かうと、その場で男性目線と女性目線のそれぞれで「似合い度○○%」というように判定する。スマホアプリと連動して似合ったメガネをそのままオンラインショップで、キャッシュレスで購入までできてしまう。


 来店し、メガネを選んでスマートミラーに向かうと、「似合い度」がわかる。新たな顧客体験にとどまらず、スマートミラーが起点となって、試着から意志決定、そして購入(決裁)までをサポートしている次世代型店舗といえる。

3Dアバターとスマートミラーでバーチャルフィッティング

 また、アパレル店舗向けのスマートミラーもテクノロジーでさらに進化している。顧客のアバターを作成し、実際には着替えなくても試着できるといったバーチャルフィッティングミラーが普及しつつあることからもわかる。既にメイキップが、AR・VR技術を専門としている韓国のスタートアップ企業FXGearと販売代理店契約を締結。同社のバーチャルフィッティングミラー「FXMIRROR」を、2018年9月から販売している。


 このスマートミラーを設置した店舗では、来店した顧客が鏡の前に立つだけで身体のサイズを測定し、3Dアバターをその場で作成できる。あとは、そのアバターに好きな洋服を選んできせていくだけ。試着した画像がミラーに映し出される仕組みだ。


FXMIRRORの紹介動画

 アバターには、顔の表情や身体の動作もリアルタイムで反映されるため、生身の人間が試着しているのと変わらない自然なバーチャル試着が可能となっている。ヘアスタイルを変えることもできるほか、商品に添付されたQRコードをミラーでスキャンするとアイテムの詳細情報をミラー上で確認でき、購入ページへアクセスすることもできる。


 店舗に在庫がない商品や、ネット限定商品などの試着も可能なので、試着できないことによる販売機会の損失を減らせる可能性が高まる。FXGearは、中国のEC大手であるJDグループ(京東集団)とも連携しながら、2020年5月までに5万台の供給を目指しているという。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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