※ 上の写真は2019年2月末に開催された「MWC19 Barcelona」のNTTグループのブース

 移動体通信技術は、1990年代に「2G(第2世代)」、2000年代に「3G(第3世代)」、2010年代に「4G(第4世代)」が世界的に普及、ほぼ10年ごとに世代を重ねてきた。2020年代には、4Gに続く「5G(第5世代)」が広がることが見込まれる。そしてローカル通信では、次世代の無線LAN「Wi-Fi 6」が登場、こちらも2020年代前半に普及拡大する見込みだ。


これらの無線技術が広く使われる2020年代。社会のデジタル化は、通信速度の向上、サービス開発スピードの向上という、2つの「スピード向上」によって、さらに加速する。時代に合わなくなった既存事業の崩壊と、新しい時代に合致した新しいビジネスモデルの創出、いわゆる「破壊と創造」の動きは、ますます拡大するだろう。

5Gと共に広がる「即時判断」サービス

 2020年代に向上するスピードの1つは、よく言われる「通信媒体としてのスピード」だ。


 5Gについては、規格上の最大伝送速度が20Gビット/秒となる。4Gの最大伝送速度が1Gビット/秒だったから、20倍となる計算だ。しかも伝送遅延は4Gの10ミリ秒から1ミリ秒まで小さくなる。接続デバイス数が4Gでは1平方km当たり10万だったのが、10倍の100万まで増加することも、5Gの魅力の一つだ。


Wi-Fiについても2020年1月に規格化が見込まれている「Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)」では、最大通信速度は9.6Gビット/秒となる。現行の最新規格Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)の6.9Gビット/秒と比べると1.5倍弱だが、ネットワーク全体の容量を示すスループットでは4倍以上となり、複数のユーザーが同時に通信しやすくなる。


Wi-Fi 6を展示した米インテルのブース

これにより増えそうなのが、映像を活用した用途だ。2019年2月25日から28日、スペインのバルセロナで開催されたモバイルの専門イベント「MWC19 Barcelona」(旧称:Mobile World Congress)では、映像を活用したサービスが至るところで見られた。いずれも、5G時代における利用を想定したものである。


 例えば、NTTグループは臨場感を伝える技術「Kirari!」を使った、新しいスポーツ観戦体験を披露した。具体的には、複数のカメラを用いて撮影した4K映像をリアルタイムに合成して同期伝送する「サラウンド映像合成伝送技術」を用いたものであり、視聴者の視野を広げることで、あたかもスポーツの競技会場にいるような体験を提供する。展示会場では、視野が広いことのメリットを示すため、陸上トラック競技の映像を映し出していた。5G時代には、こうした臨場感ある体験が競技場の外でも得られるようになるだろう。


NTTグループは、複数の4K映像を組み合わせることで「超臨場感」を実演

 米インテルは展示ブース内に工場を模したスペースを用意し、人間の視覚をコンピュータが担う技術であるコンピュータビジョン(CV)を用いて、作業員の事故を未然に防ぐ用途を実演した。ロボットが稼働するゾーンに作業員が侵入したことを自動検知し、作業中のロボットを瞬時に停止するというものだ。5GやWi-Fi 6のリアルタイム性が生きる用途である。


コンピュータビジョンによる、工場の自動停止システムを展示した米インテルのブース

 出展品ではないが、MWC19 Barcelonaの会場入口では、顔認識システムによる自動入館ゲートが用意された。事前に登録しておいた顔写真と、入場ゲートで撮影した顔写真を照合する。これまでMWCの入場時には、写真付きIDを提示することによる来場者チェックが行われており、自動認証の初採用となった今回は、人手を介した来場者チェックと併存させる形で導入された。


顔認証システムを導入したMWC19 Barcelonaの入場ゲート

本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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