みずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)とみずほ銀行は2019年3月、電子マネーとQRコード決済システムを組み合わせたスマホ決済サービス「J-Coin Pay(ジェイ コイン ペイ)」を開始した。地方銀行を中心に約60の金融機関と協働し、各金融機関に口座を持つ利用者が自身の口座から専用アプリ(J-Coin Pay)にチャージした残高を「電子マネー」として使えるようにした。


 利用者は、J-Coin Pay加盟店での支払いの際、店舗側が提示するQRコードをスマホで読み込み、チャージした電子マネーで支払う。電子マネーを自身の口座で現金に戻すことも可能で、「チャージする・支払う・現金に戻す」のいずれの操作も手数料無料で利用できる。


 J-Coin Payを含め、2019年に入ってからQRコードによるスマホ決裁市場への「新規参入」が相次いでいる。金融機関では、りそなグループが2月に「りそなウォレットアプリ」の提供を開始した。りそな銀行と埼玉りそな銀行の口座と紐付け、アプリにチャージして実店舗でQRコードを読み込んで支払うスタイルだ。チャージ不要で支払える「口座即時決済機能」も備えている。りそなグループのデビットカードやクレジットカードの登録も可能で、その他にも「後払い機能」など、各種決済機能を備えている。4月からドラッグストアのウエルシア薬局やハックドラッグなどで利用できるようになる。


 さらに2019年5月には、ゆうちょ銀行もQRコードによるスマホ決済に参入する。GMOペイメントゲートウェイの銀行Payのプラットフォームを活用し「ゆうちょPay」をスタートする。

先行するライバル達が抱える「手数料」の悩み

 金融機関による新規参入が相次ぐスマホ決裁市場だが、同市場には既に楽天Pay、LINE Pay、PayPay、Pringといった先行する競合サービスがあり、市場は過当競争の様相を呈している。そうした中でも金融機関が後発でも勝機があると判断しているのは、銀行などの金融機関が「個人口座を保有している」からだ。


みずほフィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 坂井辰史氏

 冒頭に触れたJ-Coin Payで注目されたのは、約60という参加金融機関の多さである。QRコード決裁に紐付く個人の口座数は約5600万に達する。みずほFGの取締役 執行役社長 グループCEOの坂井辰史氏は、2月に都内で開かれた記者会見の席で、「今後の成長が期待できるQRコード決済市場で、銀行が『サービス提供者』として、スマホ決裁市場に本格参入すること」を強調した。そして今後、協働する金融機関をさらに拡大し、「銀行系デジタル通貨のプラットフォームを構築する」(坂井氏)と方向性を示した。


 では、銀行口座を保有していることが、どれほどの競争優位性をもたらすのか。現在、QRコードによるスマホ決裁には、大きく2つの仕組みがある。一つはクレジットカードを登録し、代金をクレジットカードで支払うもの。もう一つは、銀行口座を登録し、その口座から専用アプリにチャージして支払う、あるいは口座から即時決済する仕組みである。その他にもデビットカードと連携した仕組みなどがあるが、大きくはクレジットカード会社の決裁システムを活用するか、銀行口座を使うかのどちらかになる。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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