スマホ決裁サービスのプラットフォーマーを目指す銀行など金融機関にとっては、利用者をいかに獲得していくかが鍵となる。そのためには、そのサービスを使える加盟店を増やさなくてはならない。銀行によるスマホ決裁サービスは、後発であるだけに利用できる加盟店が多いとは言いがたい。例えば、りそなグループのりそなウォレットを利用できるのは、りそなグループの発表によるとウエルシアやハックドラッグなど、小売サービスを中心とした約20事業者の店舗に限られる。


 J-Coin Payでもこの状況は変わらない。J-Coin Payでは2019年3月1日に、みずほ銀行の口座保有者を対象に先行サービスが始まったが、その時点ではまだ、J-Coin Payを利用できる加盟店は具体的に明らかになっていなかった。利用可能となる「予定」として示されたのは、ドラッグストアのウエルシア、100円ショップのダイソー、ビックカメラ、ヤマダ電機、ファミリーマートなどの小売、すかいらーくやロイヤルホスト、松屋などの外食、コスモ石油やJR東日本、東急、JapanTaxiなど20事業者以上が検討中とされた。


 こうした状況から、現時点では先行してスマホ決裁サービスを提供している楽天ペイやLINE Pay、PayPayなどのほうが、加盟店数では優位に立っているといえる。また、りそなグループやみずほFGとほぼ同じ時期の2019年2月に新規参入したメルカリの子会社メルペイが提供するスマホ決裁サービス「メルペイ」も、利用できる店舗は全国で135万カ所に達する。


 利用できる店舗が多ければ多いほど、「やっぱり便利で使やすい」と感じる利用者も増えてくる。そこをどう覆し、加盟店を増やし、利便性を高め、利用者を増やしていくのか。そこでも、銀行など金融機関が手にしている個人口座が最大の武器であり、その活用が大きな意味を持つことになる。

<見出し> 資金決済法による「上限100万円」の縛りがない

 J-Coin Payでは、利用者の利便性を高めるための施策として、個人間の電子マネーの送金を手数料無料でできるようにした。利用者は受け取った電子マネーを自身の口座で、手数料なしで現金化できる。参画する約60の銀行・金融機関のいずれかを使う個人同士であれば、送金手数料なしで送金できるようになるということである。


 例えば、みずほ銀行に口座を持つ利用者が協力金融機関である群馬銀行の利用者に電子マネーを送金し、その利用者が自身の口座に戻して現金化すれば、みずほ銀行口座から群馬銀行口座への送金はかからない。


 もちろん、自身の口座からJ-Coin Payにチャージする際にも手数料はかからない。例えば、関西圏の地方銀行に口座を持つ利用者が、ATMや支店のない北海道エリアでお金を引き出したいとき、通常であれば提携する銀行か金融機関の支店やATMを利用して、1回当たり100~200円(税別)の手数料を払ってお金を引き出すことになる。


 そんなとき、自身の口座からJ-Coin Payにチャージして、加盟店での支払いに利用すれば、ATMや支店を探す手間もかからない。みずほFGの専務執行役員 CDIOの山田大介氏は、「ATMを探して現金を引き出さなくても、口座からJ-Coin Payにチャージすれば加盟店で使える。『スマホにATMが入った』ようなサービス」と説明する。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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