※上の写真は、YCデモデイの会場(筆者撮影)

 最初に、Yコンビネーターとは、AirBnB、Dropbox、Stripe、Twitch、Cruise、Coinbase、Doordash等を排出したアクセラレーターである。シード期のベンチャーに対して1社当たり約1600万円を出資し、成長戦略等、様々な事業立ち上げ支援を提供する。Yコンビネーターに入るのは狭き門となっており、合格率は3%台とも言われている。Yコンビネーターに選ばれたベンチャーはシリコンバレーに3カ月間移住し、プログラムの最後にデモデイが開催され、招待制の投資家に対して資金調達のピッチを行う。プログラム卒業後もYコンビネーターの4000人以上が属する卒業生のネットワークに入り、様々な情報交換、ビジネス・ディールが行われる。


 今回のデモデイは28回目となるが、過去最大の189社がプレゼンテーションを行った。エリアでは、B2Bソフトウエア/サービスが40%、ヘルスケアが14%、その他、航空宇宙、農業、自動車、ブロックチェーン、エネルギー/エンターテイメント、フィンテック、建設、教育等、幅広い。また、グローバル化も進んでおり、40%が米国外の起業家である。


 宇宙の分野では、Loonify Spaceが、バルーンを使って小型衛星を軌道に乗せるサービスを発表した。バルーンを使って地上35キロメートルまでロケットを運び、空中で発射する。既存の地上からの発射では、厚い空気層を高速で飛行するためコストとストレスがかかるが、同社はほぼ真空状態の環境でロケットを発射できる。


 成層圏飛行のバルーンとカスタム・デザインの超軽量のロケットを使用する。ロケットをゼロから開発するのでなく、現在市販されているハードウエアを使う。同社の強みは、商用のハードウエアのパフォーマンスを最大化し、発射の正確さを実現する分析ソフトウエアにある。これにより、試行錯誤を何回も繰り返すことができ、開発期間を短縮できた。既に155もの衛星発射の覚書を獲得している。既に開発段階を脱しており、最初の発射は5月を予定している。


Loonify Spaceのバルーンでの小型衛星発射 (同社ウエブサイトより)

 製造の分野では、テスラで自動製造を担当していた技術者がAIとカメラを使った、工場のアセンブリー・ラインのモニタリング・サービスを発表した。製造が自動化されると、工場内で機械は24時間動き続ける。機械の故障を事前に検知、問題のある機械を止めることで、大きな損傷に繋がるのを防ぐ。Overviewのスマート・カメラは自動で工場内の機械の通常のルーチンを学習し、故障などのルーチンからの異常な動作を検知する。工場に設置された動く機械の破損、シーケンスの異常、ミスアライメント等を製品や機械へ損傷を与える前に捉える。


 Overviewのシステムは、24時間、複数の機械をライブで監視可能で、問題が発見されればリアルタイムで警告を上げる。監視のためのオペレーターも最小限で済む。映像が残っているため、事後に故障原因分析も可能である。現在、ケーブル/ワイヤーの工場で導入されている。同社のサービス使用料は月額カメラ1個につき約1万8千円(ベーシック版)から4万5千円(詳細管理版)となっている。


Overview社(同社ウェブサイトより)

本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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