2018年会計年度第4四半期決算で売上高3億100万ドル。VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)という部品のメーカーであるLumentumが好決算を発表した。ウォール街予想の2億8700万ドルを上回る数字である。特に、拡張現実、3Dセンシング分野の成長が牽引している。次の2018年第3四半期には、3億4000万~3億5000万ドルの売上高のガイドライン示しており、引き続き成長が見込まれる結果となった。

Lumentumの快進撃の背景には、売れ行き好調なiPhone Xがある。Lumentumが提供するVCSELは、3D顔認証セキュリティシステム「Face ID」用としてiPhone Xに搭載された「TrueDepthカメラ」に利用するパーツで、同社はパーツの75%のシェアを占める。その好調な決算と明るい見通しは、Appleが今後もLumentumのパーツの利用を拡大させ、強力な需要が見込めることを表している。
その秘密は、TrueDepthカメラ導入と拡大
Face IDを実現するためのTrueDepthカメラには、小さなスペースにレーザーを組み込めることからVCSELが利用されていると考えられる。ちなみにVCSELを1977年に考案したのは、現在の東京工業大学の学長、伊賀健一氏である。
TrueDepthカメラは、これまでの700万画素のFaceTime HDカメラ(自撮りカメラ)に、3万点ものドットを照射する赤外線プロジェクターと赤外線センサーを組み合わせることで、被写体の深度を計測し、立体的に捕らえられるようになる仕組みだ。
赤外線の波長は0.94μmの近赤外線で、人の目には見えないが、太陽光エネルギーの半分を占める一般的な赤外線波長域。Appleによると、眼や肌に影響のない弱い光を用いており、人体に影響はないという。
赤外線の利用によって、真っ暗な場所での顔認識を実現する一方で、太陽光の下ではドットが潰れてしまうことになる。このため、赤外イメージと通常のイメージのハイブリッドによるシステムを作っていると考えていいだろう。
また、Face ID実現にはTrueDepthカメラだけではなく、読み取った画像をモデル化し、瞬時に照合したり、顔の変化を学習する処理が必要となる。そこでAppleは、毎秒6500億回の機械学習処理できるA11 Bionicプロセッサを開発し、iPhone Xに利用している。
本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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