※ 上の写真は「障がいVR体験」の様子


 障がいの有無にかかわらず、誰もが通常の学校で学べるようにする「インクルーシブ教育」。デジタル技術は、そんな場面でも活躍しそうだ。富士通は香川大学や香川県教育委員会と協力して、教員が障がいを持った児童・生徒が学校で感じている困難や不自由さを理解する試みを始めた。現場の教員や教育関係職員がVR(バーチャルリアリティ)を使って、障がいを持つ児童や生徒が学校で感じている困難や不自由さを疑似体験するという取り組みである。小豆島町教育委員会や土庄町教育委員会も協力して、障がい理解を促し、特別支援教育の専門性向上を目指す。

広がるインクルーシブ教育、課題は教員のスキル

 文部科学省によると、国内の小中・高等学校などの教育現場で、知的障がいや肢体不自由、弱視、難聴などの理由から、特別支援教育を受けている幼児児童生徒数は48万6377人。小・中・高等学校などの在学者全体に占める割合は3.2%で、例えば全校生徒300人の学校であれば、約10人の生徒に特別支援教育が必要ということになる。


 特別支援教育といっても、特別支援学校や特別支援学級での教育もあれば、障がいによる困難を改善・克服するために週に1から8単位だけ別室で特別な指導をする「通級」もある。


 通級は、1993年から20年以上にもわたって小・中学校では実施されており、2018年度からは高等学校でも実施されるようになった。これを受けて、例えば神奈川県では2018年10月に県内の公立高校14校を、障がいのある生徒が通常学級で学ぶインクルーシブ教育の実践推進校に指定している。同様の取り組みは、全国でも進められている。


 こうしたインクルーシブ教育の実践において、新たに課題として浮上してきのが、教員の「専門性の向上」だ。とりわけ難しいとされるのが、障がいを持つ児童・生徒が、学校生活において実際にどのような困難や不自由さを感じているのかを正しく理解すること。学校や現場の教員が障がいへの理解をいかに深めていくか、その手段として期待されているのがVRである。


 実は、富士通や香川大学による実証研究が始まったのは2015年1月のこと。特別支援が必要な児童・生徒の教科学習や生活単元学習、自立活動などに、どのようにICTを活用するかの研究からスタートした。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
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