オペルは、1862年創業と古い歴史を持つメーカーで、1929年から米ゼネラルモーターズと資本提携。日本での販売もかつては積極的で、ゼネラルモーターズの日本法人の下、1990年代は日本でも販売を伸ばした実績を持つ。
2017年からグループPSA(プジョー)に入り、新時代に向けての企業戦略を展開し始めている。その代表的なものが、冒頭で触れた電動化戦略だ。
欧州市場では、コンパクトハッチバック「オペル・コルサ」にBEV(バッテリー駆動の電動車)を設定。ほかにもプラグインハイブリッドなどをラインアップに持つ。


オペルのエネルギー戦略に関する最新の話題は、2020年1月30日に発表された。フランスに本拠地を置くエネルギー企業「トタル(Total)」とともに、バッテリー工場を設立する計画だという。
トタル傘下のバッテリー会社「サフト(Saft)」も加わったこのプロジェクトでは、まず2021年をめどに8ギガワット時のパイロットプラントを設立。その結果を受けて、ゆくゆくはフランス北部での24ギガワット時のバッテリー工場の設立が視野に入っている。
その先には、48ギガワット時のバッテリー工場を、2030年をめどにドイツで稼働させる計画がある。さらにその先には、世界主要国にバッテリー工場を建設するというのが青写真だ。
オペルが傘下に入っているグループPSAとトタルが計画するバッテリー生産。個数にすると100万基で、欧州市場全体の10%から15%をカバーする量になる、としている。
石油化学の分野におけるトタルは現在、石油のいわゆる「スーパーメジャー」6つのうちの1つと、存在は大きい。ただし同社では、近い将来トタルは環境負荷の低いエネルギー分野のメジャー企業になる、としており、化石燃料でなく、大きなビジネスを新たに掘り起こすのに躍起だ。

