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Business 公開日: 2020.04.14

オペルが語る、新時代に向けての企業戦略

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2021年から、日本での販売を再開すると発表したドイツの自動車メーカー「オペル(Opel)」。2020年2月には、本国からCEOが来日し、東京・虎ノ門で行った記者発表会で「電動化戦略も同時に推進していく予定」と発表した。

 オペルは、1862年創業と古い歴史を持つメーカーで、1929年から米ゼネラルモーターズと資本提携。日本での販売もかつては積極的で、ゼネラルモーターズの日本法人の下、1990年代は日本でも販売を伸ばした実績を持つ。

 2017年からグループPSA(プジョー)に入り、新時代に向けての企業戦略を展開し始めている。その代表的なものが、冒頭で触れた電動化戦略だ。

 欧州市場では、コンパクトハッチバック「オペル・コルサ」にBEV(バッテリー駆動の電動車)を設定。ほかにもプラグインハイブリッドなどをラインアップに持つ。
日本におけるオペルについての記者会見で話す、オペル本社のミヒャエル・ローシェラーCEO(写真右)
日本で売られるオペルコルサにはBEVの設定もある
 オペルのエネルギー戦略に関する最新の話題は、2020年1月30日に発表された。フランスに本拠地を置くエネルギー企業「トタル(Total)」とともに、バッテリー工場を設立する計画だという。

 トタル傘下のバッテリー会社「サフト(Saft)」も加わったこのプロジェクトでは、まず2021年をめどに8ギガワット時のパイロットプラントを設立。その結果を受けて、ゆくゆくはフランス北部での24ギガワット時のバッテリー工場の設立が視野に入っている。

 その先には、48ギガワット時のバッテリー工場を、2030年をめどにドイツで稼働させる計画がある。さらにその先には、世界主要国にバッテリー工場を建設するというのが青写真だ。

 オペルが傘下に入っているグループPSAとトタルが計画するバッテリー生産。個数にすると100万基で、欧州市場全体の10%から15%をカバーする量になる、としている。

 石油化学の分野におけるトタルは現在、石油のいわゆる「スーパーメジャー」6つのうちの1つと、存在は大きい。ただし同社では、近い将来トタルは環境負荷の低いエネルギー分野のメジャー企業になる、としており、化石燃料でなく、大きなビジネスを新たに掘り起こすのに躍起だ。
グループPSAとResponsible Energyの分野で事業を始めるトタルは石油のスーパーメジャー
トタルの技術研究開発部門である「CSTJF(The Centre Scientifique et Technique Jean Féger)」
 今クルマメーカーは、近未来の企業戦略を語る際、バッテリー工場の話を避けては通れなくなっているようだ。

 例えばトヨタ自動車は、車載用バッテリーの技術的蓄積が豊富なパナソニックと合弁による新会社「プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社」を設立し、2020年4月をめどに事業を開始すると発表。工場は日本と中国が予定されているそうだ。

 電動車に熱心なドイツの自動車メーカー各社も、欧州を中心にバッテリー工場の建設計画を打ち出している。米ではテスラが、「ギガファクトリー」の名で、各地に大規模なバッテリー工場を作っている。

 最初の「ギガファクトリー1」は2016年、ネバダに建設された。パナソニックと共同による同工場の生産量は年を追うごとに上がっており、2019年末には、近い将来の目標生産量は54ギガワット時と発表された。

 さらにニューヨーク州の「ギガファクトリー2」、上海の「ギガファクトリー3」と続き、現在の計画ではベルリンに「ギガファクトリー4」の建設が予定されているという。
バッテリーもクルマも生産するテスラ「ギガファクトリー1」(ネバダ州リノ郊外)
テスラ「ギガファクトリー2」(ニューヨーク州バッファロー)の外観
 オペルの話に戻ると、グループ企業であるプジョー系のブランドと、輸入から販売にいたるロジスティクスを共用できるメリットはあるだろう。ただし、ドイツ製だから日本で売れる、という時代ではなくなっているように思える。

 この先、オペルに期待するのは、日本でも新しいバッテリー戦略などを打ち出して、近未来の自動車流通など販売のモデルケースになってくれることだ。
日本で2021年から販売が予定されている、オペルのマルチワゴン「コンボライフ」

小川フミオ

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