RPA(Robotics Process Automation)の導入・活用が、ここに来て急速に進んでいる。ミック経済研究所の市場調査によれば、RPAソリューションの市場規模は、2018年度に前年度比215.6%の395億5000万円に急成長。2019年度も同174.3%の689億5000万円に達し、2023年度には3120億円にまで拡大するという。2018年度から2023年度までの年平均成長率は51%と、しばらくはRPAの導入・活用の勢いが継続しそうだ。


 これまでは、金融機関などを中心に導入が進んできたRPAだが、近年では製造業での導入が本格化している。しかも、国内拠点だけではなく海外拠点への導入にいち早く取り組み、グローバルで工数削減などの効果を上げている企業や、定型業務の自動化だけではなく生産管理・在庫管理といった他のシステムとの連携で業務効率をさらに高めている企業も出てきた。


 こうした企業に共通することは、RPAの導入によって業務効率を高めたり、労働時間を短縮したりと具体的に「目に見える効果」を上げていることだ。


国内に先駆け、海外拠点からRPAを導入した企業

1. YKK株式会社

 RPAの活用に先進的な企業には、導入・活用の当初から海外拠点への展開を視野に入れている企業も少なくない。その中でもYKKは国内ではなく、海外拠点からRPA導入に取り組んだ。同社は2016年12月から、アジア地域の拠点にいち早くRPAを導入。納期短縮と営業業務の効率化を図り、主力のファスナーの受注業務などでも大幅な工数削減を実現した。その後、2017年5月から国内拠点にもRPAを導入し、業務効率化に着手。しかし、部門や事業所ごとに異なるRPAが使われていたことから、管理負荷も急増させてしまう。そこで、標準化に取り組み、全拠点に統一のRPA導入を検討した。


 さらに、運用フローや開発ルールなどのガバナンスルールを策定。2019年1月から全社への展開に取り組み、海外拠点でも国内と統一のガバナンスルールの適用を進めた。RPA導入の効果としては、2019年末までの試算で年間7900時間分の業務量削減を見込んでのスタートだった。


2. 株式会社リコー

 リコーもRPA導入当初から海外拠点への展開を視野に入れていた。同社は2018年春からRPA導入プロジェクトをスタートさせたが、グローバルの事業所や関連会社での展開を当初から検討。多言語対応など海外でも活用しやすい機能を備え、国内から海外へと業務が拡大した場合でも利用できる拡張性を備えたRPAを選定し、導入した。


 また、新規にRPA導入を予定している海外事業所などを対象に教育プログラムも実施。最短1週間程度での導入を可能とし、一気にグローバルでの導入を加速。その結果、2019年9月時点で国内外30拠点に展開した。国内拠点だけでも60業務以上、全体で約130業務にRPAを適用し、年間約1万9000時間分の業務量の削減に成功した。


製造業のRPA導入

受発注や在庫管理にRPAを活用する企業

 一方で、RPAが得意とする基幹システムへのデータ入力といった定型業務の自動化だけではなく、発注書や納品書、請求書などを電子データでやり取りするEDI(電子データ交換)システムや受発注管理システムなどとRPAを連携させることで、さらなる業務効率の向上効果を上げている企業もある。


3. マックス株式会社

 ホッチキスの最大手であるマックスは、メールでの受発注業務を自動化するためにRPAを活用し、メールEDIシステムを構築。それまでは、オペレーターがメールに添付された発注書などのデータを受発注管理システムに登録するといった手作業が必要だったが、基幹システムとメールでの受発注業務をRPAで連携させ、受注から発注までのプロセスや海外倉庫の入出庫、在庫管理などの業務を自動化。作業工数を最大90%削減し、従来8時間かかっていたデータ突合作業をわずか50分に短縮した。


4. モランボン株式会社

 焼き肉のタレで知られるモランボンも、ウェブ受注システムとRPAの連携で受注業務の完全自動化を目指した取り組みを進めている。同社ではウェブ受注システムで年間約150件を受信しているが、当面はそのうち100件の受注データのダウンロード自動化を目指す。2019年9月の時点で16件の自動化に成功し、現在は毎月2件程度のペースで処理できる件数を増やすことを目指して自動化に取り組んでいる。


5. マルコメ株式会社

 多くの取引先企業を抱える中、各取引先からPOSデータを集計する業務の自動化に取り組んだのがマルコメだ。これまでは、約50の取引先ごとにPOSデータのダウンロードサイトにアクセスし、各種条件を入力・設定してデータを取得していた。RPAによる自動化で、1社につき約20分かかっていた作業時間を約5分に短縮。業務にかかる時間を約70%も削減した。


在庫管理にもRPAを活用