RPAによる定型業務の削減で、「労働の質の向上」を目指す企業

 定型業務の効率化にRPAを活用する企業においては、単純に業務効率の向上や労働時間の短縮だけではなく、「労働の質の向上」を目指した取り組みが進められている。


6. キリンビール株式会社

 キリンビールは、国内の9工場でRPAの本格導入を開始。例えば、購買業務で注文から見積もり依頼、承認までを自動化したほか、残業集計を分析してグラフ化する労務管理業務もRPAに対応させた。2020年第3四半期までに9工場への導入を完了させ、年間1万時間の労働時間削減を目指している。この背景には、2021年に9万時間の労働時間削減という目標をキリングループ全体で掲げ、働き方改革への対応と労働の質の向上に本腰を入れて取り組んでいることがある。


7. JFEスチール株式会社

 同様に、定型的な作業の量を減らし、より付加価値の高い業務に従事できる体制を整えることを目指しRPAを導入・活用しているのが、JFEスチールだ。同社ではRPAを導入したことで、定型作業に費やしていた約2400時間を600時間に短縮。削減された時間を他の創造的な業務に使うなど、労働の質の向上に結び付けたとしている。


8. 帝人株式会社

 帝人では、RPAによる業務効率化と併せて「作業品質」を向上させた。同社では、取引先コードの改廃を申請する業務において作業品質にばらつきがあったが、RPA導入により品質が向上。毎月60時間をかけていた改廃作業を80%削減し、12時間に短縮した。ミスをしてはならないというストレスからも解放され、結果的に労働の質が高まったという。同社では毎年100業務のRPA化を進め、2021年度には300の業務で導入を計画。約10万時間分の業務をロボットが対応する体制を確立するとしている。


9. 横河電機株式会社

 RPAの活用で定型業務を効率化し、余力となった人材をより生産性の高い業務に配置する取り組みを検討しているのが、計測・制御機器メーカー国内最大手の横河電機だ。同社は、中期経営計画の重点項目として「高効率グローバル企業への変革」を掲げ、その具体的施策としてRPAの導入を決定。複雑な業務手順が求められ、時間のかかる業務をRPAで自動化し、作業時間を約80%削減。RPA導入に当たって作業プロセスを可視化したことで、無駄な手順を省き、業務品質の向上にも効果があったという。


残業集計をしてグラフ化

社員自らロボットを開発し、業務プロセスを改革した企業

 RPAの導入・活用では、自社の業務フローにあったロボットをいかに開発するかも重要なポイントとなる。


10. 参天製薬株式会社

 参天製薬では、2017年頃のRPA導入・活用に取り組んだ当初から社員自らがロボットを開発するという基本方針を打ち出していた。この基本方針の下、ロボット開発者育成に向けた実践的トレーニングを実施。2019年4月頃から開発スキルを習得した社員が、各部門で行っている定型的な業務を対象にロボット開発に着手。社員が開発したロボットが、2019年6月から順次稼働している。また、ロボットを設計する過程で、ブラックボックス化していた業務の作業手順を可視化でき、業務プロセス改革の方向性が明確になったという。


活用期に突入したRPAの未来

 製造業におけるRPAの活用において、各社では具体的な効果だけでなく、労働の質の向上や業務プロセスの明確化など派生的な効果も出始めている。今後も継続的かつ高い成長が期待されるRPAは、導入期、そして成長期を経て、活用期に入ったと言えるだろう。今後は、BI(Business Intelligence)やAIなどとの連携によって、迅速な経営判断を支援する重要なシステムとしての活用がさらに進むことが予想される。


製造業でRPAを活用