5Gとテクノロジーが創る広告の未来

 AR(拡張現実)技術を使った動画広告配信サービスも開始されている。先端テクノロジーを扱うZEPPELIN(ツェッペリン)は、電通デジタル、KDDIとともに、AR技術を使った広告サービス「ARaddin」の提供を開始した。


 このサービスは、事前に登録されたビルなどの建物に、スマートフォンのカメラを向けるとAIが認識し、人物やキャラクターなどが動画広告としてビルから飛び出したり、ビルの中に商品を着用したモデルが登場したりするというもの。


 同サービスには、米Sturfee社のVPS(Visual Positioning Service)技術が使われている。VPSは、スマートフォンに搭載されたカメラ越しの画像と3Dマップを照合し、向きや方位などを含む位置情報を特定する技術で、「ARaddin」ではこの技術によってビルの場所や形を認識して広告を配信できるようにした。5Gに加えてAR技術やVPS技術といったテクノロジーを組み合わせることによって、ダイナミックな顧客体験とともに自社の商品やサービスを印象付けることができる。


ARaddin利用イメージ

 このように5Gによって広告の可能性が広がりつつある中、動画広告の制作サイドにも新たな動きが出ている。5Gを使った動画コンテンツによるプロモーションは、コンバージョン率の向上や、自社製品のアピールに大きな効果が期待できる一方で、高額な動画制作費と広告出稿費が企業にとってはネックとなる。さらに、通常の広告より制作工数がかかることも課題となる。


 そのような課題を解消しようとする動画広告制作サービスが、メトロ アド エージェンシーから提供されている。チラシなどの紙媒体やウェブサイト用の静止画データを活用して動画広告を制作するというサービスで、動画素材がなくても動画広告を作成できるというものだ。


 また、動画を使ったマーケティングソリューションを提供するNewsTVは、ニュースリリースを60秒から90秒ほどの動画にして、企業が伝えたい商品やサービスの特長を紹介する「ビデオリリース」という動画制作・配信サービスを提供している。マス向けのニュースリリースとは違い、ターゲットとするユーザーのスマートフォンに直接リリースを配信することができる。年齢や性別、趣味嗜好に応じて配信先をターゲティングすることで、ニッチな商材やBtoB商材で効果が出ているという。


5Gはデジタルマーケティングを変えるのか

 通信技術は10年ごとに大きな節目を迎えてきた。2000年代は、「インターネットの時代」。ADSLや光回線などのインフラが普及したことで、個人のインターネット普及率が伸びた。スマートフォンの所有率が急増した2010年代は、あらゆる情報がスマートフォンから得られるようになった「スマートフォンの時代」だったと言えるだろう。そして、次の2020年代は「5Gの時代」。5Gサービスの段階的提供が始まった2020年は、まさにそのスタートを切る1年となるであろう。


 サイバーエージェントの調査によると、2019年の動画広告市場は、前年比141%の2592億円、2020年には3289億円、2022年には4470億円にまで拡大する見込みだという。最近では、YouTubeなどの動画視聴サイトに加え、FacebookやInstagramなどのSNSでも動画広告に対応したフォーマットが提供されるなど、企業にとっては動画広告によるプロモーションの幅が広がりつつある。こうした傾向は、5Gの普及によってさらに加速すると考えられる。


 また、例えば電車内やエレベーター内、タクシーの車内のディスプレーにインタラクティブ動画広告を配信するプラットフォームが構築されれば、5Gによって実現する動画広告とデジタルマーケティングが展開されるシーンは増え続けていくだろう。


 2020年から始まる、5Gの時代。動画広告の活用がさらに進み、インタラクティブ動画を活用したone to oneマーケティングがさらに拡大していくと考えられる。5Gは、広告配信のスタイルだけでなく、デジタルマーケティングの在り方も変えていく。その可能性に、いま多くの企業の視線が集まっている。