加速する建設RXは建設業界をどう変革する

加速する建設RXは建設業界をどう変革する

 こうしたゼネコン各社によるロボット開発や技術革新の取り組みにより、建設業界におけるRXはさらに進展すると予測される。ただし、建設業界でのRX進展の妨げとなる課題も指摘されている。


 これまで見てきたように、ゼネコン各社では施工ロボットや施工支援ツールの開発を進めている。しかし、それを実際に使用する協力会社にとっては、それぞれ異なる操作方法を習得する必要があるなど、負担が大きいことが挙げられる。また、ゼネコン各社で個別に施工ロボットを開発していては、開発コストが膨大になり、コストを回収できるまでの量産が難しく、結果的にロボットの本体価格が高騰し普及を妨げてしまう。


 これらの課題の解決に必要なのは、「自前主義(クローズドイノベーション)」から「オープンイノベーション」への転換だ。その取り組みとして注目すべきは、鹿島建設と竹中工務店による技術連携だ。両社は「建設RXプロジェクト」チームを立ち上げ、開発済みの技術の相互利用に着手しているほか、今後の技術開発についても積極的に協働を進めることで、建設業界全体の生産性向上、魅力の向上を推進するとしている。


 具体的には、重複して行っている類似の技術開発をなくして無駄を省き、施工ロボットの普及を加速させる。施工ロボットの普及加速により生産台数が増加すれば、ロボットの本体価格の低下にもつながる。また、個別ではなく両社が協力してロボット開発を進めることでロボットの種類が減り、実際に使用する協力会社は操作方法の習得数が減る。これにより、操作方法習得の負担が減り、生産性の向上が見込める。


 今後は両社で、「機械遠隔操作システム」や「場内搬送管理システム」を共同開発する予定だという。また、開発済み技術の相互利用として、鹿島建設が開発した「溶接ロボット」や竹中工務店が開発した「清掃ロボット」を両社の現場で活用していく。


 このほかにも大成建設はオープンイノベーションの取り組み「TOI Lab.」を展開。共創によるイノベーション実現に向けた各種プロジェクトを行っている。また清水建設はオープンイノベーションの取り組みとして、10棟を超える実験棟を活用し、大学や公的研究機関、異業種の民間企業などと共同研究、共同開発を進めている。


 このように、オープンなテクノロジーで建設業界全体がRXに取り組み、共通の課題である労働力不足や作業員の高齢化、生産性向上などの解決に向けた変革が求められている。建設業界ではRXの進展が一つの契機となって、自前技術に固執した「競争」から、協力会社や異業種も巻き込んだオープンイノベーションによる「共創」「協創」へ転換しつつあると言えるだろう。