<シンガポール>
国を挙げて各種の自動運転車の導入を推進

 アジアでは、シンガポールが国を挙げて推進しているスマートシティ・プロジェクト「Smart Nation Singapore」の中で、自動運転車を市内交通システムに積極的に導入し始めている。同国の交通当局であるLTA(Land Transport Authority:陸上交通局)は、オンデマンド型のバスシャトル・サービスをスタートしているが、そうしたラストワンマイルの交通手段として自動運転車の導入を支援している。


 シンガポールでは、米国の自動運転車のベンチャー企業であるnuTonomyが自動運転車の公道走行テストをスタートさせたほか、LTAは2017年4月、シンガポールのエンジニアリング会社であるST Kineticsと共同で、電動バスの自動運転プロジェクトを推進していくと発表した。2020年までの3年間に、NTU(Nanyang Technological University:ナンヤン工科大学)やジュロン島などで走行試験を行い、将来的にはオンデマンド型のバスサービスを市民に提供していく考えだ。


 NTUは、自動運転の開発拠点としての存在感を高めており、2018年4月に、同国の公共交通運営会社のSMRTおよびオランダの自動運転開発企業の2getthereとの3者共同で、自動運転システムを導入するプロジェクトを進めることで合意し、MOU(覚書)に署名した。NTUが導入を計画している自動運転システムは、2getthereが開発した「GRT(Group Rapid Transit)」である。座席数は8人分、24人乗りで、磁気ペレットからなる軌道上を自動走行するタイプで、最高時速は40㎞である。2017年11月にNTUキャンパス内の350mのルートで実証走行が行われており、MOUを受けて2018年から本格導入を進め、2019年までにNTUキャンパス全体に拡大する計画である。毎日200〜300人の乗客にサービスを提供する予定という。


シンガポールNTU(ナンヤン工科大学)キャンパス内に試験導入された2getthereが開発した自動走行システム「GRT(Group Rapid Transit)」(出所:NTU)

 こうした都市ニーズに応えて、ラストワンマイル向けの自動運転車を開発する企業も登場している。フランスの自動運転車の開発企業であるNavyaは、電動の自動運転シャトルバス「Autonom Shuttle」を開発し、自治体の交通当局と連携しながら実証走行を進めている。特に、公共交通機関の運用機関である仏Keolis、オーストラリアのモビリティ会社であるRAC(Royal Automobile Club)と提携し、フランス、オーストラリア、カナダ、シンガポールで「Autonom Shuttle」を使ったラストワンマイルの走行実証と商用化を検討している。