<中東UAE>
自動運転車を交通手段の中核にする構想が進展

 中東を代表するスマートシティである「Masdar City」でも、ラストワンマイルの手段として、「Autonom Shuttle」の採用が決まり、2019年から走行実証がスタートする。「MasdarCity」は、UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ政府が建設を進めているスマートシティで、2030年ごろまでに人口約5万人、面積約6.5km2の人工都市を建設する計画だ。Masdar Cityでは2006年の建設開始当時から、二酸化炭素を発生しない自動運転モビリティを模索してきたが、ようやく候補が見つかったことで、UAEだけでなく中東各国でもモデルケースとして普及する可能性が出てきた。中東・地域で自動運転車が採用されるのは初めてである。


UAEのスマートシティ「MeadCity」で採用が発表された仏Navyaの自動運転シャトルバス「Autonom Shuttle」(出所:Masdar)

 UAEのドバイ政府は、ドバイ全体をスマートシティ化する「Smart Dubai 2021」の中で、2030年までにドバイにおける交通手段の25%を自動運転とする戦略「Dubai Autonomous Transportation Strategy」を策定した。そのために、交通当局であるRTA(Roads and Transport Authority)は、ラストワンマイルの交通手段として、米Next Future Transportation製の自動運転EVバス「pods」の導入を検討している。RTAは「pods」を実用化するための開発費として41万ドルを拠出し、2018年からドバイ市内でテスト走行を始めた。「pods」の特徴は、走行中に15〜15秒で連結、5秒で切り離しが可能で、各乗客の目的地に合わせて、複数の車両を切り替えながら最適に運航できる点だ。連結した車両間を乗客が移動することもできる。複数が連結すれば自動運転バスとなるが、1台ならばオンデマンドの配車タクシーとして機能し、乗客はスマートフォンから呼び出すことも可能だ。


ドバイ政府が導入を検討している自動運転EVバス「pods」(出所:RTA)

 ドバイ政府はさらに、地上交通だけでなく、自律飛行するマルチコプターを使った「空中タクシー」や、減圧したチューブ内を車両が空中浮上して時速1220kmで進む「Hyperloop」の導入も進めている。こうした先進交通手段を積極的に採用することで、モビリティのイノベーションハブになる意図を持っている。


 世界最大の産油国であるサウジアラビアは、エジプト・ヨルダンに隣接する紅海沿岸に大規模スマートシティを建設するプロジェクト「NEOM」を推進している。同国皇太子のMohammad bin Salman Al Saud氏が2017年10月に開催された投資フォーラムで明らかにしたもので、化石燃料に依存した同国のこれまでの経済構造から脱却し、先進技術分野への投資を拡大して、製造業、物流、観光など経済の多角化を目指す。


 NEOMに導入されるソリューションは、エネルギー・水、バイオテクノロジー、食品、デジタル技術、先進製造技術、メディア産業、エンターテインメント産業など広範におよぶが、モビリティも重要なテーマの一つとして挙げられている。消費電力は太陽光や風力などの再エネですべてまかなうとしており、EVが移動手段の中心になるとみられる。さらに、自動運転車やドローンを活用して自動化を徹底したモビリティシステムを導入する計画である。


自動運転、MaaSを取り入れたモビリティ・スマートシティの世界動向については、2018年12月に日経BP総研が発行した「世界モビリティ・スマートシティ総覧」に詳細を掲載しています。詳しくは、こちらをご参照ください。