増え続けるR&D投資と消費者向け新製品

 GAFAのこれまでの収益源は、Appleは消費者向けエレクトロニクス機器販売とサービス収入、Amazonはネット通販とクラウドサービス収入、GoogleとFacebookは広告収入である。

 GAFAは、収益源であるコア事業の売り上げの拡大と併行して、収益の新しい柱の構築に向けて2010年代から大規模なR&D投資を継続的に行っている。2017年のグローバル企業のR&D支出ランキングによると、Amazonが第1位で、Alphabet(Google)が第2位、Appleが第9位、Facebookが第20位になっている。

 2018年度についてもAmazonは212億ドル (第1~3四半期の9カ月、前年同期比30%増)、Alphabet(Google)は154億ドル (同、同25%増)、Appleは142億ドル(12カ月、同22%増)、Facebookは74億ドル (第1~3四半期の9カ月、同27.5%増)と、R&D投資をさらに増やしている(表3)。

(表3)GAFAのR&D投資額(出所:各社のIR資料)

 2010年代半ばころから、GAFAに共通するR&D投資のテーマとして、AIベースのインターネットサービスの技術や製品の開発が挙げられる。R&D投資領域には、ウェアラブルデバイス、ストリーミング動画デバイス、スマートスピーカーのようにコネクテッドデバイスと呼ばれる新しい消費者向けエレクトロニクス製品の開発と、インターネットサービスのエコシステム構築が含まれる。

 2018年度はその領域でのR&D投資をさらに加速し、従来のモバイル端末であったスマホに限らないIoTデバイスによる多様なインターネット接続を具現化することを成長戦略の柱としている。

 2018年度の各社の動向には以下のとおりである。
 ・Apple:AppleWatchやAppleTVなどのIoTデバイスのiOS・SDKのバージョンアップ、開発事業者とのエコシステム構築
 ・Amazon:スマートスピーカーに限らない多様なAmazon Echo家電のリリース(例えば、マイクロオーブン音響システム、セキュリティカメラ、時計など)。スマートホーム向けのAmazon Alexa/Echoに基づく消費者向けエレクトロニクス事業の展開
 ・Google:GoogleのスマホであるPixelとコンピュータビジョン、AIのソフトウエア技術を組み合わせた消費者向けエレクトロニクス事業の強化。Google Assistanceを主軸とするIoTやスマートホームの実現に向けたエコシステム強化施策の展開
 ・Facebook:買収した米Oculusのハードを主軸とするVR(バーチャルリアリティ)のエコシステムの強化

AIアシスタントによる消費者向けと自動車向けサービス

 GAFAは、Amazon AlexaやGoogle Assistant、Apple Siriといった自然言語・音声認識入力による新しい各種のインターネットサービスの創出を推進している。多様な家電のインターネット接続を通じたスマートホームの実現など、IoTデバイスとAIアシスタント技術を連携させた新しい消費者向け製品のエコシステム構築がその狙いである。各社がバラバラに普及・推進を図っているAIアルゴリズムやハードウエアOS・プラットフォームのデファクト標準の獲得をめぐる激しい競争を繰り広げている。

 GAFAはApple CarPlayやGoogle Android Auto、Amazon Alexa/Echo Autoといった自然言語・音声認識アルゴリズムを、車載情報システム向けに展開している。各社の戦略は、OS・プラットフォームの自動車産業でのデファクト標準化とエコシステムの構築である。2018年の目立った発表としては、Googleとルノー・日産自動車・三菱自動車との間での2020年に向けた長期提携が挙げられる。スマホの接続を介さずに、Android AutoのOS・プラットフォームに基づく車載情報システムを開発するとしている。

 GAFAは自動運転に対してもR&D投資を継続している。2018年を通じて、Googleはグループ会のWymoによる自動運転のテスト運転を継続している。Appleは自動運転関連の事業方針については未発表であるものの、自動運転関連のR&Dを継続的に推進していることが第三者の調査会社から報告されている。AmazonはAmazon Alexa/Echo Autoに加えて、自動運転に関連するクラウドサービスの提供を図っている。

エンタープライズ顧客向けクラウド事業を拡大

 GAFAは企業、政府・公共セクターなどのエンタープライズ顧客向けに、Amazon AWSやGoogle Cloud、Facebook Chatbotといったオープンクラウドサービス事業を拡大している。 Amazon AWSは断トツのトップシェアを持ち、Google CloudはMicrosoftと共に、Amazonを追撃している。

 GAFAは、2015~2016年にかけて、消費者向けインターネットサービス用のAI(機械学習)のAPIや開発環境の整備に本格的に着手した。エタープライズ顧客向けについても、2018年に具体的なAI(機械学習)のAPI・開発環境製品の提供を展開している。

IoTデバイスとAI技術に基づく成長シナリオ

 2018年12月下旬の「Appleショック」(Appleの株価下落を引き金とするハイテク株全般の下落)に見られる通り、スマホン需要の飽和が業界で話題となっている。ただし、こうした傾向は過去2~3年の中期的トレンドであり、GAFAの成長戦略にとっては織り込み済みと考えるのが妥当である。この市場環境下で、GAFAは今後、IoTデバイスとAI技術ベースのインターネットサービスを組み合わせた成長シナリオがより鮮明となると予想される。

 GAFAの中核事業は従来、消費者向けインターネットサービスをベースとしていたが、今後、AI技術ベースのEnterprise顧客向けのビジネスモデルとエコシステム構築が、成長戦略の中核を占めると予想される。具体的には、自動車、家電、流通、物流、メディア・コンテンツ、デジタルヘルスケアといった業界で顕在化していくであろう。

中国BATはGAFA追随戦略を展開

 急成長している中国のBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)は、GAFAが次世代の成長戦略の柱と位置付ける事業で追随戦略を展開している。事業開発においてもGAFAと同様に提携パートナーの囲い込みと、エコシステム構築戦略を踏襲する。

 例えば、AI技術開発への投資(AI技術者の採用、シリコンバレーでのAI研究センターの設立)や、BaiduやAlibabaなどが開発したOS・プラットフォームに基づく自動運転ソフトのオープンソース化が挙げられる。これらは、GoogleがAndroidで展開したエコシステム構築戦略を踏襲したものである。

 BATは2017年ころから、欧米の自動車メーカーやエレクトロニクスメーカー、自動運転のテクノロジープロバイダー関連企業との提携関係を急速に展開しており、欧米や日本の百数十社の企業がエコシステムの参画に手を挙げている。

 自動運転プロジェクトには中国資本の自動車メーカーが参画しており、スマートシティにおけるIoTにおいてはBATと中国地方政府によって推進されている状況もあり、欧米・日本企業のBATのエコシステム参画は、中国市場での同ビジネス機会を狙いとしていると見られる。

 一方、BATも、GAFAと同様に成長が期待される途上国市場でコア事業を展開しており、IoT関連事業に関しても今後、途上国市場でのGAFA対BAT間でデフクト標準化やエコシステム構築における競争が展開されることが予想される。

新興市場でBATと競合へ  

 BATは、中国中央・地方政府の支援の下、自動運転やスマートコミュニティなどの公共セクターでエコシステムを構築している。これらは中央政府や地方政府双方の規制・許認可を前提としているため、GAFAにとっては参入障壁の高い領域となっている。

 GAFAのグローバル展開は周知の実績であるが、一方、BATも過去数年で中国本土以外の市場地域でGAFAへの追随戦略に着手している。 今後、アジアやアフリカ、中東といったの新興市場で、IoTや MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)のテーマで、GAFA対BATのデファクト標準の獲得やパートナー囲い込みの競争が顕在化してくると予想される。