ANAはシェアリングサービスで楽しむ「新たな旅」を提案

 旅行関連業界でも既存のサービスを提供する企業がシェアリングサービスと連携する動きがあった。全日本空輸(ANA)が、シェアリングサービスを活用した旅の提案サイト「Look for your style」を開始したのである。ここでは、Airbnbをはじめ、SPACEMARKETやVacation STAY、airClosetといったシェアリングサービス10社と連携。旅先での体験型宿泊やライドシェアによる移動、地域との交流体験、旅先へ洋服を届けるファッションレンタルなど、多様なシェアリングサービスを活用できる。


 ANAは、飛行機での移動とホテルでの宿泊といった既存サービスを提供してきたが、そこに、さらに旅先でのが、シェリングサービスと連携して、新たな旅のプランを提案したかたちだ。

東京建物はモデルルームをシェアリング

 既存のビジネスとシェアリングサービスの連携・融合は、不動産業界にも波及した。東京建物は11月、スペースの時間貸しサービスのスペースマーケットとの業務提携を発表した。不動産関連のビジネスは、Airbnbに代表されるように、建物や部屋、スペースの有効活用という視点で、シェアリングサービスと相性が良い。東京建物とスペースマーケットとの連携も、東京建物が保有する遊休不動産の有効活用が目的だ。東京建物が公開しているモデルルーム内の施設を、スペースマーケットを介して貸し出し、地域コミュニティなどに活用してもらう。


 さらに、東京建物では、東京・八重洲の再開発エリアにある音楽ホールを、スペースマーケットを経由して貸し出すサービスも始めた。不動産ビジネスといえば「売買や賃貸」といった選択肢に、「時間貸し」という概念を取り込み、新たなビジネスを創出しようとしている。

東京建物のヤスメッグビル。東京・八重洲のビルにある音楽ホールをシェアサービスで貸し出している。(写真提供:東京建物)

知られた企業が介在することの「安心感」がさらなる普及のカギ

 こうした事例からもわかるように、2018年はシェアリングサービスのスタートアップと既存の業種・業界が協調して、新しいニーズの掘り起こしや、新しいサービスの創出を推し進めた1年だったといえる。


 そもそもシェアリングサービスは、ライドシェアや民泊のように「CtoC」の色合いが強い。さらに、伝統的なビジネス構造を破壊するインパクトとパワーを持ち合わせていただけに、既存業界とは相容れない部分もあっただろう。しかし、昨今のシェアリングサービスの急成長を受け、既存業界も方針転換し、排除するより自社のビジネス戦略に取り込み、共存共栄する道を模索し始めたと考えられる。


 こうして提供され始めた、いわば「BtoC」的なシェアリングサービスは、大きな企業が介在するケースもあり、その点で利用者に安心感を与えられ、安全面も一定水準は担保される点がメリットだ。2019年も、既存企業が参入し、BtoC的な色合いの強いシェアリングサービスが登場してきそうだ。


(後編に続く)


[参考資料]
  • 矢野経済研究所
    https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1988
  • みずほ銀行
    https://www.mizuho-fg.co.jp/company/activity/onethinktank/pdf/vol014.pdf
  • フジタクシー
    http://www.fujitaxi.jp/service/ubertaxi
  • Uber
    https://www.uber.com/ja-JP/newsroom/uber-milight-taxi-partnership/
  • 日本経済新聞(2018年2月19日)
    https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27074310Z10C18A2MM0000/
  • ANA
    https://www.ana.co.jp/group/pr/201809/20180925.html
  • 東京建物
    http://pdf.irpocket.com/C8804/BXIb/a6No/G4QU.pdf
  • 楽天LIFULL STAY
    https://www.rakuten-lifull-stay.co.jp/press/20180920_01.html
  • 楽天LIFULL STAY
    https://www.rakuten-lifull-stay.co.jp/press/20180827_01.html