体を測定するウエアラブルデバイスもそのような状況が起こっていますよね。


新城:はい。なので、この「みえる」「わかる」の領域と「できる」の領域を結び付けて「かわる」まで持っていきたいんです。


 例えば、基礎体温計。基礎体温の変動が見えるようになって排卵のタイミングが分かれば、妊活や避妊のタイミングが示唆できるようになるため、自分の生活をハンドリングできるように変わる。これは基礎体温計の基本的な使われ方です。


 しかし、同じデータでも基礎体温とホルモンバランス、ホルモンバランスと代謝の相関が分かってくると、今度はダイエットタイミングがコントロールできるようになり、ダイエットの効率化ができる生活に変わる。こうなると基礎体温計というセンサーを用いた、ダイエット市場における新しいサービスを生みだせる可能性が出てきますよね。


 さらに、基礎体温とホルモンバランス、ホルモンバランスとパフォーマンスや集中の度合いが分かってくれば、今度は学習タイミングのコントロールができるようになり、初潮を迎えた女子中高生の学習市場に対して価値を生み出せるかもしれません。


 つまり、組み手を変えれば同じセンサーでも全く違う価値提供ができる。それを生み出すために異なる領域の人との出会いをどんどん生み出していきたいんです。そうすることで世界が変わる可能性がすごい勢いで増えていくと思っています。


名刺の肩書きを気にする日本人の心の壁を取り除く

すでにカンブリアナイトは20回以上開催されています。異業種の交流となると、共通言語が異なる可能性もあります。うまく交流できるものなのでしょうか?


新城:確かに「交流してください」と言われても、日本人は真面目でシャイな人が多く、会議室で紹介すると、すぐに名刺交換をして、相手の会社や肩書きを考えてしまう。肩書きなんて役割でしかないのに遠慮して、通り一遍の話だけで終わせてしまったりします。もっと本質的な話をすればいいのに…って思うことが多いです。だから、カンブリアナイトでは最初から来場者にお酒を飲ませています(笑)。


 イベントでは、いろいろな領域の人にプレゼンテーターとして登壇してもらいますが、参加者は飲みながら、聞きたい話を聞く。それを基にディスカッションをする。


 でも、そもそも目指してる未来が違う人同士が「こんなことやれるかもね」となっても、目指す未来が違うので共に歩み続けられない。食の趣味が全く違う人同士が「今度飯食い行きましょう」と口約束したのと同じで、行かずに終わるんです。


 だから、一番大事なのは世界観や価値基準を握り合う事です。それを共有できた人同士なら5年後、10年後の目指す社会を話し合える。価値基準が同じなら、関心領域が違っても、様々な未来を一緒に考えられる。こういう未来を作りたい。こういうことが大切だと思う。なんだか青臭いことのように思えるかもしれませんが、そういったことを恥ずかしげもなく話せる環境って、これからの時代においてとても大切だと思うんです。


 この価値基準のすり合わせができて初めて、具体的に実現するための施策について話せると思うので、カンブリアナイトでは、どうせ酔っ払っているので、その根っこの話をしたほうがいいんです。


お酒も入って覚えてないですしね。


新城:そう、覚えてない(笑)。ここで契約の話しても仕方がないので、酔った勢いで青臭い話をしてほしい。同じ未来を描く人と出会えたらいいじゃないですか。その未来の妄想を現実にするのが実事業なので、続きを会議室で話せばいい。でも最初は、未来を一緒に思い描くことが大事だと思っています。