これからのクルマには「第三者」が存在するようになる。運転者をドライバー、その他の人をパッセンジャーと呼ぶが、さらに「エージェント」が車内に入り込むからだ。


 今、このエージェントが注目されている。エージェントは「仮想人格」のようなものであり、乗員とコミュニケートする車載AI(人工知能)のことだ。iPhoneの音声アシスタント「Siri」を想像してもらえれば、どのようなものかわかるだろう。


 そんなエージェントの存在を強く意識させるのが、メルセデス・ベンツが先頃発表したばかりの新型Aクラスだ。

新型Aクラス(写真提供:メルセデス・ベンツ)

メルセデス・ベンツ・Aクラスでクロアチアを走る

 Aクラスは1997年に初代が発表されたコンパクトハッチバック。オリジナルは水素自動車として開発されため、電池を収めるべく床が2重構造になっているなどの特徴を持っていた。初代Aクラスが日本で導入されたタイミングと、初代iMacが1998年に発売された時期がやや重なったことで、筆者は、新しいテクノロジーが一気に一般化したという印象を強く受けたものだ。水素自動車の開発と普及に熱心なメルセデス・ベンツは、バラード・パワー・システムズと共同で開発を進めていたが、当時、水素自動車版が発売されることはなかった。


 4代目までモデルを重ねた最新のAクラスが発表されたのは、2018年の初頭のこと。一般には3月のジュネーブ自動車ショーで初披露された。


 筆者が新型Aクラスに乗ったのは4月、場所はクロアチアだった。高速や簡単な山岳路がドライブコースで、予想以上によく仕上がっており、走りを含めてAクラスのクオリティに感心した。


 ここで書きたいのは、新型に搭載された「MBUX」である。「Mercedes-Benz User Experience」(メルセデスベンツ・ユーザーエクスペリエンス)の略で、一言で表現するとAIと乗員とをつなぐ新システムである。これがかなりよくできている。ボイスコントロール、つまり発語による各種操作が特徴で、エアコンやヒーター、カーナビゲーションやオーディオなどを音声でコントロールできる。