Data Science BOOTCAMPは、SOMPOグループのデジタル戦略を担う新しい戦力の獲得が、大きな目的の一つと言える。しかし、その参加者は、既にスタートアップを立ち上げていたり、ある企業のチーフデータサイエンティストとして働いていたりするケースも少なくない。そのため、優秀な人材がいたとしても、フルタイムでの雇用が難しい。そこでSOMPOホールディングスとしては、BOOTCAMPの受講生と“弱いつながり”を持つことに価値を見出し、「プロジェクトに応じて、できる範囲で協力してもらうフレキシブルな契約を取り入れています」(楢﨑氏)という。自社と外部の知見の交わりが生み出す化学反応によって、新しい事業のタネを創造しようというわけだ。


 さらにSOMPOホールディングスは、2018年6月にデータサイエンティスト人材を中心に新事業を創出するプラットフォームとして「SOMPO D-STUDIO」を設立した。BOOTCAMPで育成した人材とともに、新しい事業の創出に関心のあるさまざまな企業や人材がプロジェクト単位で集まり、スピード感をもって事業化を目指すことで、イノベーションを加速させることを狙っている。


 楢﨑氏によれば、このSOMPO D-STUDIOに興味を示す企業は多いそうで、なかには自治体もあるという。特区であれば法規制の緩和や税制上の優遇を得ることも可能となるだけに、実証実験の展開やスムーズな事業化の場としての連携も期待しているのだろう。

保険会社が取り組むサイバーセキュリティ事業とは?

 新規事業への取り組みという点で、SOMPOホールディングスは2017年11月にサイバーセキュリティ事業への新規参入を発表した。既存の保険は、事故や災害などが起こった後にその補償に対応するものだが、このサービスは被害の発生自体を未然に防ぐことを目的としている。いわゆる「サイバー保険」は既に存在しているが、これらはサイバー攻撃の被害を補償するもの。SOMPOがやろうとしていることは、それとは違う。事故の予防を意識したセキュリティ対策事業を保険会社が手掛けるのは非常に珍しい。


 この取り組みでは、サイバーセキュリティ事業者と提携することで、「簡易診断」「高度診断」「方針策定」「セキュリティ強化・対策」「監視・検知」「インシデント対応」「保険金支払」という7分野をワンストップで提供するプラットフォームを構築。総合的なサイバーセキュリティをサポートする点が大きな特徴となる。さらに、グループ企業のSOMPOリスケアマネジメントに「サイバーセキュリティ事業本部」を新設したほか、ホワイトハッカーも組織して対応するなど、金融機関とは思えないほどの力の入れようだ。


 サービスの流れとしては、顧客のソリューションを診断し、問題があれば修復して予後管理にも対応。普段はセキュリティオペレーションセンターが24時間365日で常時監視し、万が一インシデントが発生した場合でも、ファーストレスポンスチームが迅速に対処する。もちろん、最悪の状態に陥ってしまった場合は、保険による弁済にも対応する。しかし、楢﨑氏は「顧客が被害を受けて保険を支払ったら、我々としては“負け”と言わざるを得ません」と断言し、既存のセキュリティサービスや保険とは決定的な違いがあることを強調する。