スポーツをもっとエキサイティングに、もっと幅広い層の人々が、好みに合わせて多様な楽しみ方を選べるように。スポーツ領域のデジタル化は、そんな未来をもたらす。そんなスポーツのデジタル化の中で、最近とりわけ注目度が挙がってきた分野に、選手個人やチームのコンディションの可視化がある。


 かつてラグビーのワールドカップでは、日本代表は負け続けてきた(2015年の大会以前までの通算成績は1勝21敗2分)。ところが2015年のワールドカップでは、常にトップ集団にいる南アフリカ共和国に日本が勝利した。対戦前は、誰しも南アが勝つと思っていたに違いない。この“奇跡”を起こしたのは、選手の根性でもなければ、神風でもない。背景にあったのは、スポーツ選手のコンディションを可視化し、ベストコンディション作りを支援したベンチャー企業の力、もっと言えば科学の力である。


 選手のコンディションの可視化をビジネスとして手掛けているこのベンチャー企業は「ユーフォリア」。スポーツチーム向けのシステム開発・コンサルティング業務に携わり、S&C(Strength and Conditioning)領域をはじめスポーツの現場で必要とされるアスリートのデータを包括的にモニタリングできる情報プラットフォーム「ONE TAP SPORTS」を2012年から開発してきた(図1)。



図1 ONE TAP SPORTSの管理画面例(出所:ユーフォリア)
上図はある選手の運動の履歴。下図は他の選手との比較。

 ユーフォリアはもともと、ビジネスコンサルティングや企業再生を手がける企業で、企業のビジネス状況をKPI(Key Performance Indicator)などの指標で可視化することを得意としていた。そんな同社に対し、「2012年、スポーツ界から、アスリートのデータを可視化したいという相談が来ました」(代表取締役兼CEOの橋口寛氏)。状態を指標を使って可視化し、管理するという考え方は、確かにビジネスコンサルティングにもチームづくりにも通じる。これをきっかけに、S&C領域をはじめとするアスリートモニタリングを手がけるようになった。


 今回は、このONE TAP SPORTSを中心に、ユーフォリアのアスリートモニタリングの取り組み内容や、そこからつながる未来の社会の姿を紹介しよう。