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Features Lifestyle 公開日:2018.08.21

BMWのデジタル化はアマゾンとともに

560万円超のBMWの最新モデルは、アマゾンの「カートに入れる」ことができる。

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 BMWとアマゾンのユニークな試みが始まっている。BMWの日本法人ビー・エム・ダブリューが新型車「BMW X2」をアマゾンのサイト上で販売し始めたのだ。X2は同社が「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」と定義するジャンル横断型のクロスオーバービークル。従来の「SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)」に比べて、スタイリングも走りもスポーティな方向へと振っているのが特徴である。

 アマゾンで7月16日から販売されているのは「BMW X2 xDrive20i M Sport X」で、価格は560万6000円。その頭金10万円をアマゾンで決済できる。注文するとBMWの販売店から連絡が来て、その先は通常のクルマの購入と同じプロセスを踏むことになるようである。
全長4375ミリ、全高1535ミリの車体に2リッターエンジン搭載
車体色はオプションのガルバニックゴールド
 アマゾンで注文するメリットとしては、ドライブレコーダーの無料提供が挙げられる。ただ、おそらくそれ以上のメリットがあり、それが販売店に連絡するわずらわしさから解放されることだろう。クルマをポチッと「カートに入れる」のは違和感があるというか、思い切るのにある種の勇気が必要では……と思うのだが、実際に売れているのだそうだ。

 「X2は発売後1分以内に成約があり、その後さらに数台が成約しました」。BMWジャパンの広報担当者は8月5日時点での販売状況についてこう述べていた。

 同社は2015年4月に電気自動車「i3」をアマゾンで販売したことがある。これも日本独自企画だった。実績についてBMWジャパンは「十分な数の販売と、それに伴う宣伝効果を得られました」としている。
ルーフ後端が伸ばされ、それが全体のシルエットにうまく溶け込んでいる
 「BMW i3の場合は販売方法が特殊で、全国にネットワークを展開しない代わりに、BMWジャパンの担当者がオンデマンドで販売店不在地へ向かう『モバイル・セールス・アドバイザー』という手法を採用していたため、通信販売への展開が容易だったのです」

 背景には「全社をあげてデジタル化に取り組む」という企業方針があるそうだ。BMW i3とX2で終わりではなく、「今後も可能性を模索していきます」と広報担当者は述べている。

存在感のあるクルマを、あえてネット販売

 BMW X2は現時点で、1.5リッター3気筒に前輪駆動を組み合わせたX2 18i sDrive(436万円〜)と、2リッター4気筒に4WDのxDrive20i(474万円〜)がラインナップされている。アマゾンのサイトにあるのと同じX2 xDrive20i M Sport Xに乗った印象は、SACというだけあって確かにスポーティだった。141kW(192ps)の最高出力と280Nmの最大トルクを持ち、加速力のよさがなにより印象に残る。
アマゾンで販売される「xDrive」は4WD
機能的なレイアウトのダッシュボード
後席はイメージよりずっと広い(写真はMスポーツ)
 そもそも1.5リッター3気筒エンジンだって、いまや3シリーズに搭載されているほど。その上をいくパワーを、よりコンパクトな車体に組み合わせているのだから、信号からの発進だろうが、高速での追い越し加速だろうが、不足感はない。

 M Sportパッケージだとスポーツカーのように人工スウェードを張った立体的なシートも用意され、機能性とともに雰囲気もよい。キャビンを小さく見せるとともに、タイヤの存在感の大きなスタイルは、従来のクルマにはなかなか類がない。キドニーグリルと呼ばれるBMW独自のフロントグリルは台形型で安定感と力強さを感じさせる。そう、存在感のあるクルマなのだ。

 自分たちが「これでよし」と信じている製品であっても、従来と同じやりかたを続けていてはビジネスとしての将来性が見込めない。そこでBMWではデジタルに活路を見出している。クルマをアマゾンで売ろうという、その心意気が最高にクールだ。


本記事は、日経BP総研とSansan株式会社が共同で企画・制作した記事です。
© 2019 Nikkei Business Publications, Inc. / Sansan, Inc.

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