月面探査で水資源を見つける挑戦

 民間企業による史上初の月面探査に乗り出すのがispaceである。2019年半ば以降に月着陸船や月面探査車を製造し、イーロン・マスク氏が率いる米SpaceXのロケットに搭載して打ち上げられる。2020年に月周回ミッションで月の情報を得て、2021年に月着陸ミッションで月面データを地球に届けるとともに地球・月輸送サービス構築に向けた技術実証を実施する。この2回のミッション後に、2022年には年間複数回の商業ミッションを実行する計画である。

 そのため、2017年に日本航空(JAL)と資本業務提携をし、2018年10月からJALの100%子会社で航空機の整備を担当するJALエンジニアリングの技術支援を受けながら、同社のエンジン整備センターで2機の月着陸船を組み立てている。

 ispaceは、月では水資源を探査する。米航空宇宙局(NASA)は2018年8月に、月の南極と北極に氷があるのを観測したと発表している。ispaceはその水資源を活用した宇宙インフラを構築し、人類の生活圏を宇宙に広げていくことを目指す。2040年に、月に1000人が定住し、年間1万人が訪問する「ムーンバレー構想」を掲げている。

ispaceの月着陸船や月面探査車のイメージ(出所:ispace)

 ispaceは2018年11月30日に、米国のチャールズ・スターク・ドレイパー研究所などとともに提案した、10年間で予算総額26億ドルの月面への輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services、以下CLPS)がNASAに採択されたと発表した。アポロ計画で月着陸船の誘導・航法・制御システムを担当した実績があるドレイパー研究所が契約主体となり、ispaceと米ジェネラル・アトミックス、米スペースフライト・インダストリーズの合計4社が参加する。ispaceは月着陸船の設計を担当するという。

 同社の袴田武史ファウンダー&CEOは、「私たちは、月を人間の活動を宇宙に広げるための重要な鍵と考えるNASAを支持しており、CLPSに参加することも『人類の生活圏を宇宙に広げる』というビジョンを実現する大きな一歩だと考えている。ドレイパー研究所をはじめチームのメンバーとともに、このNASAのプログラムに貢献していく」とコメントしている。

無人宇宙機の宇宙への到達を実証

 2018年にANAホールディングス(ANAHD)やエイチ・アイ・エス(H.I.S)など5社から出資を受け、宇宙航空機の開発を手掛けるPDエアロスペースは2019年中に、日本初となる全長12mの無人宇宙飛行機による宇宙空間(高度100km)への到達と帰還を目標にしている。並行して全長14mの有人機も開発し、無人機は2020年、有人機は2024年の運航開始を目指している。

PDエアロスペースの有人宇宙機のイメージ(出所:PDエアロスペース)

 宇宙飛行機はロケットとは異なり、航空機のように離着陸し、再利用が可能だ。空気がある領域と空気がない領域を1つのエンジンで飛行する、世界初のジェット燃焼モード/ロケット燃焼モード切り替えエンジンを搭載する。エンジンは2017年に実証に成功し、実用化に向けた開発を続けている。

 今後は、ANAHDが旅客機の運航の知見を生かした宇宙機のオペレーションを支援し、H.I.S.が宇宙旅行や宇宙輸送サービスの販売を担うという。