※ 上は中国のスーパーマーケット(写真は「小象生鮮」)。小売りにデジタル技術を取り入れた「ニューリテール」の代表例で、競争が活発化している。

 2018年の中国デジタル変革と言ったら何だろう。変化が激しいといわれる中国。近年はインターネットテクノロジーが変化の根幹となっている。以前は特に人が集まるショッピングモールで生活環境が変化を感じたが、ネット空間に変わっていったように感じる。


 2017年まではネット業界は元気だったが、ofoをはじめとしたシェアサイクルビジネスの限界が見えたこと、オンラインゲームの新規ライセンス許諾が停止されたこと、ネット起業株価の下落や雇用の停止、リストラ、それにスマートフォンメーカーの「金立(Gionee)」や「Smartisan」が経営に行き詰まるなど、暗い話題が目立った。一方で、まだまだ元気だと感じるニュースも多数あった。多数のニュースがある中で、特に今年目立った、いい意味で変わったことを中心に書いていきたい。

新零售(ニューリテール)普及年、フーマ鮮生がけん引

 2018年の中国のインターネットを象徴するのが「新零售(ニューリテール)」だろう。ニューリテールとは「オンラインとオフラインと物流を融合した新しい小売り」であり、阿里巴巴(アリババ)が提案した。


 ニューリテールの代名詞であるアリババの「盒馬鮮生(フーマ鮮生)」は2016年の1店舗目のオープン以来、2017年も2018年も店舗を中国各地にオープンさせているので、2018年に登場した新しいモノやコトではない。とはいえ、フーマ鮮生が中国各地に展開され、フーマ鮮生のビジネスモデルを真似たサービスが多数出てきたことから、2018年はニューリテールが中国全土の都市部で普及し始めた年といえるだろう。


 スーパーマーケット「フーマ鮮生」の特徴は3点。「配達範囲内における30分以内の配達」「いけすの魚や蟹を購入してその場で調理して食べられる」「スマートフォンで商品詳細を見たり自動精算レジでキャッシュレスで支払える」という点だ。実際は配達面については公称の「30分以内の配達」を実現していないようだが…。


 アリババのフーマ鮮生の影響は大きかった。騰訊(テンセント)や京東(JD)や美団(メイチュアン)などのネット大手が、フーマ鮮生を模倣した「スマートフォンによるセルフキャッシュレス決済+フードコート+新鮮な魚の調理+迅速配送」のスーパーをリリースした。フーマ鮮生を模倣したスーパーのうち、テンセントが2017年末に投資した企業「永輝」による超級物種というスーパーが北京、深セン、広州、福州などに61店舗を展開、JDのスーパー「7FRESH」は北京や西安で10数店開店、メイチュアンは「小象生鮮」というスーパーをオープンした。またテンセントが資金投入するカルフールやウォルマートでも一部店舗をフーマ鮮生に対抗してリニューアルした。「その場で買った食材を調理して食べられる」としたうえに、「スマホのセルフ決済で完了する」といった仕掛けをしたのである。


 いずれのニューリテールのスーパーも、買い物をしながら料理を楽しく食べられる家族連れ向けの店舗となっている。「超級物種」については、ステーキ肉を購入するとその場で調理するというサービスを行っている。肉を選んで購入後、その場で焼いてもらうサービスだ。こうした魚以外の食材を扱うかどうかも、この手のスーパーの今後の検討課題であろう。