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Features The Dawn of DX ── デジタル変革が導く未来 公開日:2022.09.06

電子帳簿保存法に関する電子取引とは? 保存要件や方法を解説

 電子帳簿保存法における電子取引とは何か、説明を読んでもイマイチ理解できない読者も少なくないのではなかろうか。そこで本記事では、電子帳簿保存法における電子取引の概要や対象、電子取引に関係する保存要件など、電子帳簿保存法を理解するために必要な情報をまとめて解説する。

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【画像】Shutterstock

電子帳簿保存法における電子取引とは?

 電子帳簿保存法における電子取引とは何か、その概要を解説したい。

電子取引とは?

 電子帳簿保存法によれば、電子取引とは取引情報の授受を電磁的方式により行う取引のことを言う。つまり、注文書や契約書、領収書や請求書といった取引情報をPDF化してメールでやり取りすることが、電子取引にあたるわけだ。  

電子帳簿保存法とは?

 電子帳簿保存法は1998年に成立した法律で、税金関係の書類(請求書や見積書など)を電子データで保存することを認めた法律である。もともとは税金関係の書類を電子データで保存したい企業向けに作られた法律であった。しかし何度も改正が重ねられてきた結果、2022年の1月1日には抜本的な改正が実施された。これまでは電子メールで送られてきた請求書などを印刷して紙で  保存することも可能であったが、改正の結果、電子データを紙にして保存することは認められず、電子データでの保存に限られるようになった。  

電子帳簿保存法の内容

 電子帳簿保存法とは国税関係に関する電子データの保存法に関する法律である。電子データを保存する際には「電子帳簿等保存」、「スキャナ保存」、「電子取引データ保存」の3つの方法が認められていた。

 「電子帳簿等保存」とは、電子データとして作成した請求書や見積書、決算関係書類などのデータを、電子データでそのまま保存する保存方法である。「スキャナ保存」とは、もともと書類として受領した請求書などを、画像データとしてスキャンして保存する方法を指す。最後に、「電子取引データ保存」とは、請求書などを電子データで受領した際に、その電子データをそのままデータとして保存する方法のことだ。以前は電子データを書類として保存することも認められていたが、2022年1月1日以降は認められなくなった。

電子帳簿保存法の改正に伴う電子取引の対象

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 電子帳簿保存法の改正による影響を理解するにあたっては、電子取引の対象を押さえておかなければならないので、本項で解説したい。

EDI取引

 EDI取引とは、電子的にデータを取引する方法の1つである。特定のデータ変換システムを用いて、請求書や契約書、見積書などの国税関係書類を直接的に相手のシステムに送付する方法のことだ。EDI取引の「EDI」は「電子データ交換」という意味である。

インターネット等による取引

 インターネット等による取引とは、インターネット上の特定のアプリやシステムを利用して請求書などの国税関係書類を取引する方法を指す。経費生産システムや電子レシートアプリ、請求書Web配信システムなどがその一例である。

電子メールによる取引情報の授受

 電子メールによる取引情報の授受とは、その名の通り、メールソフトを使って請求書などの国税関係書類を受領することを指す。メールソフトだけでなく、ファイル転送サービスによる書類のやり取りも含まれる。

インターネット上のサイトを利用した各種取引

 インターネット上のサイトを利用した各種取引とは、主にECサイトのようなインターネット上のWebサイトを通じて請求書などの国税関係書類が取引されることを指している。

電子取引に関係する保存要件とは

 電子取引に関係する電子データの保存方法については、要件が定められている。本項で解説したい。

タイムスタンプの付与

 電子取引の上保存された電子データには、タイムスタンプを付与しなければならない。タイムスタンプは、取引情報を交換する直前か、あるいは直後に付与する形で取引が行われた時間を記録する。また、内容についての修正が行われた場合、修正内容が確認できるシステムか、そもそも取引が行われた後では修正ができない電子データを交換しなければならない。その上で、正当な理由がなければ訂正や削除をしてはならない旨をお互いに確認する規定を作成し、それを遵守する。

関係書類を備え付ける

 電子取引に係る電子データの保存にあわせて、自社開発のシステムを利用して電磁的記録を行った場合、電子計算処理システムの概要を備え付ける必要がある。

見読性を確保する

 見読性を確保することとはつまり、いつでも電子データを見られるような状態にしておくことである。そのために電子データを保存する場所に電子計算機やプリンタ、ディスプレイ、プログラムの操作説明書を備え付けなければならない。さらに、電子データは整然と並べ、すぐに出力できる状態にしておく。

検索機能を確保する

 電子データについては、検索機能を確保しておかなければならない。検索機能についても細かな要件が定められている。まず、取引年月日などの日付、取引金額などの項目を条件として検索できること。日付と金額については範囲指定が可能なこと。任意の2つ以上の項目で絞って検索できること。この3つが要件である。

電子取引データの保存方法

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 電子取引データの保存方法について解説する。

データを受け取る際にすること

 電子データを受け取る直前あるいは直後に、タイムスタンプを付与する必要がある。タイムスタンプがあらかじめされる仕組みになっているシステムを使うのが手っ取り早いだろう。

データを受け取った後にすること

 電子データを受け取った後には、検索機能を確保しなければならない。その方法はいくつかあるが、一番簡単な方法は電子データのファイル名に取引年月日、取引金額、取引先を記録することだ。例えばPDFファイルのファイル名を「220520_50000円_〇〇商事株式会社」などと記録することだろう。このような方法が一番着実で、簡単である。ファイル名にこれらの項目を盛り込むのが難しい  場合には、ファイル名とは別にExcelなどで索引簿を作り、関連づければよい。そうした方法も面倒であれば、専用のソフトを用いて検索可能にする方法もある。いずれにしても、検索ができるように上記3つの項目を漏れなく盛り込むことは必須だ。  

それ以外にすること

 取引のタイミング以外でやらなければならないこととして、各種マニュアルの作成が挙げられる。 例えば、パソコンの基本的な操作や、ファイル作成ソフトを使って、保存したデータをPDFにする方法をマニュアル化する必要がある。また、いつでもデータを見やすく閲覧できるよう、フォルダの構成・ファイルの並びなどについてもわかりやすく整理しておく必要もある。

中小企業や個人事業者に必要な対応とは

 経理部の体制が整っている大企業などでは対応は容易かもしれないが、中小企業や個人事業者の場合、対応するだけでも一苦労だ。そこで本項では、中小企業や個人事業者が電子帳簿取引法の法改正に対応するための方法について解説したい。

 中小企業や個人事業者が保存方法の要件を満たすためにはまず、請求書や納品書、見積書などはPDFファイルで作成し、そのPDFにタイムスタンプを押せるソフトを導入してタイムスタンプを押す必要がある。電子帳簿保存法の改正によって、タイムスタンプを簡単に押せるサービスが市場に続々と登場してきている。既存のソフトでタイムスタンプを押すのが難しい場合、あるいは手間がかかる場合は、そうした新サービスを利用するのが無難だろう。

 タイムスタンプを押すのと同時に考えなければならないのが、真実性の担保の要件を満たすことだ。PDFファイルは保存後にいくらでも内容を変更できてしまうため、「変更  できないファイルを提出する」ということにはならない。そこで一番簡単なのが、「不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程」を作り、運用することだ。この規定については、国税庁が公開しているテンプレートを参考に、自社の規定を作って運用してみてはいかがだろうか。

これからどうなる? これまでの税制改正から見る今後の方向

【画像】Shutterstock
 これまでの電子帳簿保存法の歴史を振り返ってみることで、これからの法改正の流れについて考えたい。改正の大きな流れを踏まえておけば、法改正を見据えた行動をとりやすくなるためだ。  

令和元年度

 令和元年度には、電子帳簿保存法に関するいくつかの事項が改正された。承認前に受領・作成した重要書類のスキャナ保存が可能になった  他、スキャナ保存の場合のタイムスタンプや入力、定期的な検査頻度の緩和などが行われた。他にもいくつか条件が改正されたが、令和元年度の法改正のポイントは「緩和」にあった。

 厳しかった保存条件が緩和されたことによって、保存業務の負担が減り、業務がやりやすくなったと言えるだろう。電子データの保存業務にかけていた業務時間やコストを他の業務に充てることができるようになったことで、特に中小企業や個人事業者は得をした、と言えるかもしれない。

令和二年度

 令和二年度にも、電子帳簿保存法の改正が実施された。令和二年度の法改正でも、条件が緩和される方向に向かった。それまでは、請求書などを受領した側は必ず、ファイルにタイムスタンプを付与する必要があった。しかし法改正によって、タイムスタンプの付与が必要ないケースもでてきた。例えば、あらかじめファイルを発行する際にタイムスタンプが付与されていた場合は、受領者側はタイムスタンプを付与しなくてもよくなった。企業とフリーランスの個人事業者などが取引をしている場合、企業側がタイムスタンプを押してくれる場合が増えてくるだろう。そのため、人手が不足しがちな個人事業者側が毎回タイムスタンプを押す必要はなくなってくるはずだ。しかしだからといって、ファイルを受領する側がタイムスタンプを絶対に押さなくてもいいというわけではないので注意したい。

令和三年度と今後

 令和三年度にもいくつかの制度改正が実施された。「一定の小規模事業者については検索要件を不要とする」、「検索要件は金額、日付、取引先だけに縮小」など、3年連続で、制度が緩和されることとなったため、  今後も緩和が進んでいく方向に向かっていきそうだ。  

改正への対応にあたって

 電子帳簿保存法に関する電子取引の概要や、保存方法、法改正への対応方法などについてまとめて解説した。電子取引によって送信・受領した請求書などのデータには、タイムスタンプを付与する必要があり、さらに、検索のための項目(金額、日付、取引先)をファイルに付与するなど、さまざまな対応をする必要がある。

 電子帳簿保存法に対応した請求書を作成・受領するなら、『Bill One』の利用を検討するのはいかがだろうか。『Bill One』は請求書管理のためのクラウドサービスで、あらゆる請求書をオンラインで受領、発行や、送付を効率的に行い経理の業務を加速させることが可能だ  。電子帳簿保存法の改正への対応をお考えの方は、ぜひ資料をダウンロードしてみていただきたい。

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