sansansansan
Created with Snap
Pocket HatenaBlog facebook Twitter Close

Features The Dawn of DX ── デジタル変革が導く未来 公開日:2022.08.31

働き方改革推進支援助成金とは?内容や申請方法、注意点を解説

 「働き方改革を自社で実践するにあたり、補助金や助成金があれば利用したい」。そのように考えるビジネスパーソンにとって、働き方改革推進支援助成金の存在は好都合だ。  そこで本記事では、働き方改革推進支援助成金の概要や申請方法、助成の対象となる取り組みなどについてまとめて解説したい。

お気に入り
【画像】Shutterstock

働き方改革推進支援助成金とは

 働き方改革推進支援助成金とは、年次有給休暇取得や、時間外労働時間削減の推奨、そのための環境・制度づくりなど、働き方改革で打ち出された諸方針の実現のために取り組む中小企業を対象に支給される助成金のことである。

 令和四年度の交付申請受付はすでに始まっており、予算が消化され次第、締め切りよりも早く申請を打ち切られることもあるので注意が必要だ。内容によって異なる四つのコースを見ていこう。

 「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、時間外労働時間の削減や有給休暇の促進などに積極的に取り組む事業者が対象となる。

 勤務終了後から次の勤務開始までに一定の休息を設ける勤務間インターバル制度の導入を支援するのが「勤務間インターバル導入コース」だ。勤務間インターバル制度をまだ導入していない事業場に加え、「9時間未満の勤務間インターバル制度を導入している」、もしくは「対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下」の事業場が対象である。

 令和二年から労務管理書類の保存期間が5年に延長されたことに対応しようとする事業者を対象としているのが「労働時間適正管理推進コース」。

 「団体推進コース」は、事業主そのものではなく、働き方改革を推進する事業主を集めた事業主団体を支給対象としている。

働き方改革推進支援助成金の交付申請期限

【画像】Shutterstock
 令和四年度の働き方改革推進支援助成金の交付申請期限は令和四年11月30日となっている。ただし前段で触れたように、11月30日になる前に国の予算が消化されてしまった場合には、締め切りが早められることもあるので注意したい。

 働き方改革推進支援助成金を申請するにはまず、「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を管轄の都道府県労働局長に提出しなければならない。また、助成金に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額を減額した上で申請する必要もある。

働き方改革推進支援助成金の対象となる取り組みと期間

 働き方改革推進支援助成金の対象となる取り組みと期間を詳しく紹介する。

働き方改革推進支援助成金の支給対象となる取り組み

 働き方改革推進支援助成金の対象となる取り組みは、四つあるコース全てにおいて基本的には同様である。助成対象となる取り組みには、労務管理者に対する時間外労働削減のための研修や、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家によるコンサルティング、労務管理のための就業規定作成や変更、労務管理用ソフトウェアや機器の導入・更新などがある。パソコン、タブレット、スマートフォンの導入は助成対象にはならないので注意したい。

事業実施期間

 働き方改革推進支援助成金を活用した事業が実施できる期間は、助成金の交付が決定した日から対象年度の1月31日までとなっている。事業実施予定期間については、事業実施計画においてあらかじめ指定しなければならない。

働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」内容

【画像】Shutterstock

「労働時間短縮・年休促進支援コース」とは?

 働き方改革推進支援助成金「労働時間短縮・年休促進支援コース」とは、時間外労働時間の削減や年次有給休暇取得の推奨、特別休暇の設置や取得の推奨などの取り組みを実施する事業主を対象とした助成金である。主に中小企業の事業主が対象で、中小企業が助成金を活用することによって、生産性を向上させることを狙いとしている。

「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給対象となる事業主

 「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給対象となるには、労働者災害補償保険の適用事業主であること、交付申請時点で後述する成果目標1〜4のうち一つ以上を選択していること、交付申請時点で年5日の有給休暇取得に向けて就業規則等を整備している必要がある。

「労働時間短縮・年休促進支援コース」の成果目標

1、36協定について時間外労働、休日労働時間数を月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に設定し、労働基準監督署長に届け出ること
2、二年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに設けること
3、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入すること
4、病気休暇やボランティア休暇などの特別休暇の規定をいずれか一つ以上新たに導入すること

「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給額

 「労働時間短縮・年休促進支援コース」の支給額は、上述した成果目標の達成状況に応じて支払われる。それぞれの支給額は条件によって異なるが、25万円から数百万円までと幅が広い。

 例えば、成果目標2を達成した際の上限額は50万円、成果目標4を達成した際の上限額は25万円など、それぞれに  設定されている。

働き方改革推進支援助成金「勤務間インターバル導入コース」内容

【画像】Shutterstock

「勤務間インターバル導入コース」とは?

 働き方改革推進支援助成金「勤務間インターバル導入コース」とは、勤務終了後から勤務開始までに一定時間のインターバルを設ける「勤務間インターバル制度」を導入するための取り組みを行う事業主を対象とした助成金制度である。

 「勤務間インターバル制度」自体を導入していなくとも、始業時間と就業時間が決まっており、なおかつ時間外労働をしない規定が定められていて、実質的に勤務間インターバル制度を  目指すことが実現されている場合には、「勤務間インターバル制度」が導入されていない事業主でも助成の対象になる。

「勤務間インターバル導入コース」の支給対象となる事業主

 「勤務間インターバル導入コース」の支給対象となる事業主は、以下の五つの条件に該当しなければならない。

1、労働者災害補償保険の適用事業主であること
2、次の三つのうちのいずれかに該当する事業場を有していること。
・勤務間インターバルを導入していない事業場
・休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場
・休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが、対象労働者が事業場の労働者の半数以下である事業場
3、全ての対象事業場について36協定が締結され、届け出られていること
4、全ての対象事業場について過去二年間に月45時間を超える時間外労働の実態があること
5、全ての対象事業場について年5日の年次有給休暇の取得のための就業規則等を整備していること

「勤務間インターバル導入コース」の成果目標

 「勤務間インターバル導入コース」の成果目標とは、対象となる事業場全てについて休息時間数が9時間以上となるような「勤務間インターバル制度」を導入し、その定着を図ることである。

「勤務間インターバル導入コース」の支給額

 「勤務間インターバル導入コース」の支給額は基本的に、対象となる経費の合計金額に補助率4分の3を乗じた金額となる。細かな条件によって数十万円から数百万円まで金額は変動する。

働き方改革推進支援助成金「労働時間適正管理推進コース」内容

【画像】Shutterstock

「労働時間適正管理推進コース」とは?

 働き方改革推進支援助成金「労働時間適正管理推進コース」とは、令和二年から労務管理書類の保存期間が5年に延長されたことに対応し、労務時間の適正管理のための取り組みを実施する中小企業の事業主を支援するための助成金である。

「労働時間適正管理推進コース」の支給対象となる事業主

 「労働時間適正管理推進コース」の支給対象は、以下の五つの条件に該当しなければならない。

1、労働者災害補償保険の適用事業主であること
2、勤怠管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を管理できるITシステムを用いた労働時間管理をしていないこと
3、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていないこと
4、36協定が締結され、届け出られていること
5、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること

「労働時間適正管理推進コース」の成果目標

 「労働時間適正管理推進コース」の成果目標は以下の三つである。

1、勤怠管理と賃金計算等をリンクさせて賃金台帳等を管理できるようなITシステムを用いた労働時間管理をすること
2、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則等に規定すること
3、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者・労働管理者に実施すること

「労働時間適正管理推進コース」の支給額

 「労働時間適正管理推進コース」は条件の達成具合などによって異なる。例えば成果目標達成時の上限支給額は100万円であるが、数十万円〜数百万円まで幅広い。

働き方改革推進支援助成金「団体推進コース」内容

【画像】Shutterstock

「団体推進コース」とは?

 働き方改革推進支援助成金「団体推進コース」は、傘下の労働者を雇用する事業主が時間外労働削減などに取り組むことを支援した事業主団体を対象に助成金を支援する制度である。

「団体推進コース」の支給対象となる事業主

 「団体推進コース」の支援対象となるのは、1年以上の活動実績があり、特定の条件を満たしている三事業主以上からなる事業主団体等である。

「団体推進コース」の成果目標

 「団体推進コース」では、支給対象となる取り組みについて、その事業主団体等が時間外労働の削減、または賃金引き上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の半分以上についてその取り組みを活用することが成果目標である。

「団体推進コース」の支給額

 「団体推進コース」では、以下に示したいずれかのうち  最も低い金額が支給される。

1.対象経費の合計額
2.総事業費から収入額を控除した額
3.上限額500万円  

働き方改革推進支援助成金を申請する際の注意点

 働き方改革推進支援助成金を申請する際には、条件に合致しなければ申請できないのは当然のこと、申請期限に注意しなければならない。繰り返すが、令和四年度の申請期限は令和四年11月30日までになっているものの、予算の消化状況具合によって申請期限が早められる可能性もある。そのため、助成金を早めに申請しておくに越したことはない。

働き方改革推進支援助成金の活用にむけて

 働き方改革推進支援助成金を活用することで、生産性向上につながる労働時間の削減などの諸施策をさらに推進できる。助成金の申請にあたっては労働環境の整備など専門的な知識が必要になるので、専門家などに依頼すべき場面も出てくるだろう。

関連記事

DIGITALIST会員が
できること

  • 会員限定記事が全て読める
  • 厳選情報をメルマガで確認
  • 同業他社のニュースを閲覧
    ※本機能は、一部ご利用いただけない会員様がいます。