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Features The Dawn of DX ── デジタル変革が導く未来 公開日:2022.07.14

デジタル化のメリット・デメリットとは?導入手順や活用事例を徹底解説

 デジタル化の必要性について叫ばれるようになって久しいが、企業経営に携わるビジネスパーソンの場合、必要とわかってはいても、優先度が高くなければデジタル化への着手を後回しにする、という判断もあるかもしれない。  そこで本記事では、ビジネスパーソンの意思決定に資するよう、デジタル化の概要やメリット・デメリット、課題などを整理していく。

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デジタル化とは何か

 デジタル化とは何か、イマイチ理解できていない読者もいるだろう。そこで本項では、デジタル化の定義や、DXとの違いについて解説する。

デジタル化の定義と意味

 デジタル化とは、今までアナログベースで行われてきた作業をデジタルベースに変更することを意味する。例えば、これまで紙ベースでやっていた稟議書類のやり取りや契約プロセスなどをデジタルベースで行うようにすることも、デジタル化を意味する。

 デジタル技術を本格的に用いてアプリを作ったり、ウェブサイトを作ったりすることなどばかりが注目されるが、今までアナログでやっていた事務作業をExcelに置き換えるなど、ちょっとしたところからデジタル化に着手することもできる。そう考えれば、デジタル化に対応するハードルは高くはないだろう。

DXとの主な違い

 DXとデジタル化は似ているが、厳密には異なっている概念だ。デジタル化は今までアナログベースで行っていたことをデジタルベースに置き換えることだが、DXはそれだけでは足りない。DX(デジタルトランスフォーメーション)は変革という意味を含んでいるため、デジタルテクノロジーを用いてビジネスを根本的に変革することを意味する。デジタル化はDXのファーストステップ、いうイメージを持ってもらえばよいだろう。

デジタル化のメリットとは?

【画像】Shutterstock
 デジタル化のメリット・目的を簡潔に言ってしまえば、企業競争力の向上である。しかし、改めてデジタル化のメリットを考えると、自社にとってのデジタル化の必要性も見えてくるはずだ。以下、デジタル化の9つのメリットを紹介する。

業務の生産性向上

 デジタル化の最大のメリットは、業務の生産性向上にある。例えば、今まで印鑑を必ず押さなければならなかった稟議書や契約書の捺印をデジタル化すれば、アナログで捺印するためにかけていた時間を大幅に削減でき、労働者一人当たりの労働生産性を大幅に向上できるだろう。

 一人当たりの労働生産性を向上させれば、より売上向上に資する企画の検討や営業先への提案準備などの業務に時間を割けるようになる。そうすることで、企業競争力の向上も狙える、という算段だ。

コスト削減

 生産性向上と表裏一体とも言えるデジタル化のメリットが、コスト削減だ。例えば、今まで紙でやっていた業務プロセスを全て電子データに置き換えたとする。すると、紙の費用や、印刷費、紙を印刷する業務に携わっていた人件費など、さまざまなコストを減らすことができる。

正確さの向上

 効果の大きさにもかかわらず、意外と忘れ去られているメリットが、業務の正確さが向上する点だ。人間は誰しも必ずミスを犯すものであり、そのミスについては俗に「ヒューマンエラー」と呼ばれている。単調なルーティーンのような業務はデジタル化してしまった方が、人の作業による間違いもなくなり、業務の効率化につながる。

 特に、金融機関や医療機関、公的機関など、重要度が高い個人情報について扱う企業においては、正確さの向上というデジタル化のメリットは重要だ。

蓄積されたデータから分析が可能になる

 今までアナログでやっていた業務をデジタル化することで、日々の業務データがデジタル上のソフトやアプリ上に蓄積されていく。それらのデータが蓄積されていけば、業務全体を可視化することができる。

 「ビッグデータ」と呼ばれるほどデータ量が貯まれば、意思決定を導き出せるような含蓄のあるデータになることも期待できる。データを分析することで、新たな事業展開が見えてくることもあるだろう。

業務の属人性が減り、外注・自動化が可能になる

 業務プロセスをアナログベースにしていると、どうしても属人的なものにならざるを得ない。業種によって、業務によってはある程度仕方がない面もあるが、業務の属人性は企業経営においてはリスクになる。人材の配置換えのたびに業務の引き継ぎプロセスに時間や手間がかかってしまう。

 業務プロセスをデジタル化してしまえば、業務の属人性は低下する。属人性が低いため、自社業務の一部を切り分けてアウトソーシングや自動化することも可能になるのだ。

情報共有が容易になる

 会議の内容や、商談時のメモをデジタル化することで、情報共有が簡単になる。また、業務上のデータが収集されていれば業務報告のための会議なども必要なくなり、業務効率化になる。また、管理者以外の社員からも他の社員の動きが見えるようになり、透明性が高まる。

リモートワークができるようになる

 業務を全てデジタルでできるようにすると、リモートワークが容易になる。製造業や小売業など、現場の仕事がどうしても必要になる業種もあるが、それ以外の多くの職種ではデジタル化によって現場に赴くことなく、リモートでの業務へと移行できる。

 リモートワークがベースになれば、社員の生産性の向上や会社に対する満足度の向上、オフィスコストの削減などを一挙に実現できる。また、コロナ禍のような緊急事態に強くなる点もメリットだ。

手続きが容易になる

 業務をデジタル化することで、アナログベースで業務を進めていたときよりも、手続きが簡素化される。稟議の承認プロセスのデジタル化が一番わかりやすい例だ。稟議のためだけにわざわざ紙に書き起こさなければならなかった内容を、デジタルデータで申請できるようになれば手続きが非常に楽になる。

 これは顧客に対しても同様だ。顧客が紙で申込み用紙などを提出しなければならなかったところをデジタル化すれば、手続きが容易になって顧客満足度の向上が期待できる。

デジタル化のデメリットとは?

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 デジタル化にはさまざまなメリットがあるが、デメリットもまた存在する。以下、デジタル化のデメリット・弊害についても解説したい。

現場からの理解が得られない

 デジタル化に対して抵抗感のある現場社員もいるだろう。特に、工場や店舗などの現場で働いている社員の中には、デジタル化の必要性を理解できず、ツール活用に積極的でない社員が一定数出てくることもあるだろう。

 ベテラン社員の中には、デジタル化への拒否反応から退職を考える社員も出てくるかもしれない。デジタル化実行の際には、あらかじめ現場社員から理解が得られない可能性については織り込んだ上で事前の対応と説明が必要だろう。

事業がデジタル環境の避けられないリスクに左右される

 あらゆる業務をデジタル環境上に集中させていくと、デジタル環境におけるリスクに事業全体が左右されることも出てくる。例えば、サイバー攻撃によって顧客の個人情報が流出したり、自社サービスや業務で利用するサーバーが攻撃を受けてダウンしたりするリスクだ。

 他にも、地震や津波などの天災によって停電が起きた際などにも、業務が全て止まってしまうリスクがある。このようなリスクに備えることも、デジタル化を進める際には、考えておきたい。

デジタル化が注目される背景

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 個々の企業が、それぞれの企業競争力の向上のためデジタル化を推し進めるのは当然だ。しかし社会全体でデジタル化が急激に推し進められているのには他にも理由がある。それではなぜ社会からデジタル化が求められているのか、その理由を解説したい。

グローバル化と「2025年の崖」問題

 経済産業省は、2018年に発表したレポートの中で、「2025年の崖」という比喩を用いて日本のデジタル化の遅れを指摘した。レポートの骨子は、2025年までに社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めなければ、年間の経済損失が12兆円程度にまでのぼる、というものだ。
 世界経済のツートップであるアメリカと中国は、デジタル化の面で日本よりも大きく進んでいる。この両国を拠点とするグローバル企業に負けないためにも、日本企業のデジタル化は急務となってきている。

少子高齢化による人手不足

 止まらない少子高齢化も、企業がデジタル化を推し進める遠因だ。内閣府によれば、2019年には7,507万人いた生産年齢人口が、2029年には6,951万人、2065年には4,529万人にまで減少すると予測されている。他方、2019年における65歳以上人口は3,589万人で、2042年に3,935万人になるまで増加し続けるだろうと言われている。
 労働人口が減れば、企業が採用できる人材数も減る。働き手が減る環境の中でも企業が生産性向上を追い求めるために、デジタル化が必要とされるのだ。

コロナ禍を経ての衛生意識の高まり・働き方の多様化

 2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことにより、世界が変わった。飲食店をはじめとするリアル店舗では、新型コロナウイルス感染症対策として、あらゆる接触が避けられるよう、厳重な衛生体制が敷くことが事実上の義務になった。また、企業においては、オフィスに出社して感染してしまわないよう、自宅からのリモートワーク体制を採用する企業も増えた。

 2022年現在もコロナ禍は終息していない。しかし仮にコロナ禍が終息したとしても、社会全体の衛生意識の高まりと、仕事のリモートワーク化の流れは止まらないだろう。それらの土台となるデジタル化も、推し進められていくに違いない。

デジタル化における課題

 デジタル化を進めようと思っても、社内にデジタルに精通する人材がいなければ難しいのが実態だ。本格的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現しようと思えば、社外から人材を獲得するのが現実的な策となる。自社人材を育成する方法もあるが、時間もコストもかかってしまう。

 また、デジタル化が進めばコストは削減されるが、導入段階ではコストが嵩んでしまうことも多い。そのため、企業体力に余裕があるときに初期投資を行い、デジタル化を推し進めるのがよいだろう。

企業におけるデジタル化の活用事例

 企業においてデジタル化をどう活用していけばいいのか、事例を紹介するので参考にしていただきたい。

デジタル上のチャットツールの利用

 コロナ禍を経てすでに利用し始めた企業も多いだろうが、ビジネスチャットツールなどを利用してコミュニケーションのデジタル化を図ることは一案だ。SlackやChatwork、Microsoft Teamsなどのツールを利用することで、コミュニケーションをより効率的なものにできる。

 メールもデジタル上のコミュニケーションではあるが、不必要な形式などもあるため、迅速にコミュニケーションを取ることは難しい。しかしデジタルチャットツールはそのような暗黙のビジネスマナーなどもあまりないゆえ、気軽にコミュニケーションできる。これらのツールは、プライベートで利用するLINEなどとは違い、業務上のコミュニケーションに特化しているツールである点が特徴だ。

ウェブ会議ツールの利用

 ビジネスプロセスのデジタル化には、ウェブ会議ツールの利用も欠かせない。コロナ禍で爆発的に普及したZoomがその筆頭だ。普段の会議をオンライン会議ベースに変更することで、時間や場所を選ばずに自由に会議をすることが可能となった。

 社内会議だけではなく、社外の取引先との会議などもウェブ会議ベースにすることで、より多くの商談機会を獲得することができる。

タスク管理ツールの利用

 サービス開発や営業のマネジメントなど、さまざまな場面でタスク管理が必要になる。ステークホルダーが多くなるほど、簡易なExcelなどのアプリで管理することは困難になり、業務上の支障も発生する。そこでおすすめしたいのが、タスク管理ツールの利用だ。

  「Trello」や「Redmine」、「Backlog」などさまざまなツールがある。それぞれに特色があるが、これらのアプリを用いれば、プロジェクト全体のタスク管理と個々人のタスク管理を一覧の下に管理でき、進捗の進み具合を可視化できる。そうすることで、進捗の遅れや課題を早期に発見ができる。

 これらのタスク管理ツールはIT業界の開発現場などでよく利用されているが、他の業界でももちろん利用可能だ。自社で複雑なプロジェクトマネジメントを実施しなければならない場合は、利用を検討してみるとよいだろう。

デジタル化を推進するための手順

 デジタル化を推進するための手順を紹介したい。

①デジタル化できそうな業務の洗い出し
 デジタル化を成功させるためには、まず日々の業務を洗い出すことから始める。特にいまだにアナログで実施しているビジネスプロセスを洗い出すことだ。そこで、デジタル化できそうな業務をリストアップする。

②デジタル化する業務の選定
 デジタル化できそうな業務をリストアップしたら、次は実際にデジタル化する業務を選定する。この時点で、デジタル化できるツールを個別に検討することはないが、チャットツールを利用するのか、タスク管理ツールを利用するのかなど、検討しておく必要がある。

③デジタル化する際に利用するツールの選定
 デジタル化をした先に使うツールを選定する。例えば、チャットツールであればSlackやChatworkなど、数あるチャットツールの中からどれを利用するのか、選定する。

④デジタルツール導入手順の検討・決定
 現場に丸投げするだけではデジタル化は達成できない。デジタル化に利用するツールをIT部門が導入し、現場で使えるようにマニュアルなどを作成して説明する必要がある。その一連の導入プロセスを設計しなければならない。

⑤デジタル化の実施(デジタルツールの導入)
 デジタルツールの導入フローが決定されたら、実際に導入する。デジタルツールが導入された後も、IT部門が継続的社内のデジタルツール運用をサポートしていかねばならない。

まずは身近なとことから少しずつ始めよう

 デジタル化には多くのメリットがあるが、全社的にデジタル化しようと思うとコストもかかる。まずは身近なところから少しずつ始めていくのもよいだろう。デジタル化のメリットを存分に享受し、企業経営を有利に進めていただきたい。

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